年末から続く式典や行事
さまざまな所に駆り出されて
そして、一息付けるのが1月3日
―――ラグナの誕生日
休憩時間もろくに取れない程の公務の数々のお陰で大概ラグナは疲れていて
3日という日はなるべく静かに親子でお祝い
特にスコールが就職してからはお互い忙しくて、本当に些細なお祝い
それが長い間の習慣だったらしいけれど………
お祝い事だもの、少しくらい賑やかな方が良いよ

スコールから聞き出したここ数年間のお祝い
それはやっぱりお祝いなんだけれど、私が思い描くお祝いとは違う
この世に生まれてきたということ
この世界で生きているということ
―――それって凄いことなのよ
いつかレインが言っていた言葉
今此処に在るということ、その事を感謝してお祝いする日
ずっと忘れられないことだから
私はお祝いをしたい
主役のおじさんはもちろんだとして、後は私とスコールと………
みんな呼んでお祝いをしようか

毎年恒例の祝賀の行事
長い時間を掛けて願い事は適って、毎年始めに祈っていた祈りが消えた
時計の針が時間を刻む
普通言う新年よりも僅かにずれて始まる新しい年
今まではこの瞬間感じるのは焦燥といい知れない不安だった
過ぎていく時間
残されている時間を数えて
祝って貰っても素直に喜べなかった
時計の針が音を立てて時間を示す
午前0時
それと同時に勢いよく扉が開いた

「誕生日、おめでとう」
―――そして、ありがとう
午前0時時間が変わると同時に始まるパーティー
部屋から連行される様に連れてこられたおじさんはとにかく驚いていて
次々と告げられる祝福の言葉に対応しきれないで居る
おじさんと親しい人
そしてお祝いをしたいっていう人
心の底からそう思ってくれている人だけを招待して
………それなりの人数に膨れあがった
たまにはね、こんな始まりだって良いよね?
誕生日だもの
―――大切な人の誕生日ほど嬉しい日は無いわ
だからお祝いをするの

真夜中の宴
状況を理解出来ないまま、騒ぎに巻き込まれて
騒ぎの中心に成っていた
口々に掛けられる言葉
どうやら仕方なしに参加している奴は1人もいない様で不思議と嬉しくなる
人の壁の向こうのスコールと視線が合う
その隣でエルオーネがとても楽しそうに笑っている
―――こんなのもいいんじゃないか?

願いを叶えた次の年に、お祝いの宴からはじまる新しい時間

 

 

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