誕生日は家族で過ごす
いつの間にか決定した決まり事
―――本人及び配偶者の生誕日は休日にする
エスタ国内で制定された、正式な休日
今年初めての休日はどんな風に過ごしましょうか?

きっと疲れているから何処にも行かないというのも一つの選択
いつもの様に過ごして、少しだけ特別に………
それでも多分構わない
構わないけれど………
忙しさも原因なのか、ラグナの場合どうしても自分の誕生日は忘れている
言われない限り思い出さないから、特別を演出するのが少し難しい
「どこか出掛けてみるのも良いかもしれないわね」
時間が無いから遠くには行けない
だからといって近場で済ませるなんていう訳にも行かない
「ほんと、どうしようかしら?」

新年行事の最後の一つが終わる
何故か今年は湖畔の小さな村
冬の間雪に閉ざされるというこの場所は、確かに景色は綺麗で映像を見せるには最適かも知れない
しれないが、大部分の住人は冬の間は湖畔の村を離れ別の場所へと移り住む
お陰で村の中には人の気配が無く、どこか寒々しく感じる
只でさえ寒いって言うのにな
ようやく室内が暖まる頃、全ての行事は終了
なんか勿体無いよなぁ
なんて暢気な事を思いながら交わしていた雑談
「ラグナくんは、休日をゆっくりと満喫してくれたまえ」
前後の脈絡のない言葉を挟んでキロスが指さした先に、レイン達が立っていた

「誕生日おめでとう」
人々が引き上げていって、4人だけになって直ぐに告げた言葉
ラグナは呆然と私達を見ていて、それら直ぐに慌てて時計を見上げた
時計の針は12時をほんの少し回ったところ
おめでとうの言葉はいつだって一番に言いたいから、申し訳ないけれど皆さんには少し遠慮して貰った
様々な人にいろんな協力をして貰ったけれど
今回だけはお礼はみんな後回しにして
今はただ、静かな時間を過ごしましょう

疲れ果てて眠りについた
子供達の寝息が聞こえる
「むちゃするよな」
こうなった詳しい事情は、話して貰えそうもないから解らない
けれど、言われなくても色んな所の協力が無ければどうにもならないのは解っている
いろんなトコに感謝しないとな
ラグナ幸せそうな笑みを浮かべた

こうして特別な日の少しだけ変わった日常が始まる
 

 

 

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