「父さんの誕生日はどうするんだ?」
そう初めてスコールに聞かれた日
「おじさんの誕生日………」
私は少し考えて
「今まではどうしていたの?」
そんな答えを返した
あれから随分時間が過ぎた

「父さんの誕生日はするんだろ?」
「いつも通りのつもり」
廊下ですれ違う際にあっさりとした会話を交わす
スコールは解ったと言う様に頷いて
そして何事も無かった様に立ち去っていく
誕生日は、家族だけで過ごす時間
ずっと遠い昔におじさんが自分でそう決めたんだって聞いた
誕生日の日には、訪ねて来る人は誰も居ない
私がここに帰ってきてからも、それはずっと変わらなくて
家族だけの時間がゆっくりと流れている
「そろそろ準備をしないとね」
当日は朝からそんな調子だから
準備はずっと前、年が変わる前にやらないと間に合わない
「それと、プレゼントはどうしようか………」
多分スコールはもう用意をしている
何を用意したのか知りたいけれど、スコールは絶対に教えてくれないことが解ってる
もしもおなじ物を選んだとしてもそれはそれで面白い
というのがスコールの言い分
幸い今の所、同じものプレゼントする事態にはなってないけれど
「今年は何にしようか」
今まで贈った物、贈られた物
そして最近のラグナの様子を思い浮かべる
実際に見ながらの方が決めやすいかな?
「スコール、ちょっと出かけてくるね」
エルオーネはただ考える事を放棄して、小さな鞄を手に街へと繰り出した

そして当日
おめでとうの言葉とプレゼントの包みを一つ
ラグナは楽しげに、プレゼントの包装をほどいた

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