辺りを埋め尽くす様な花
村のあちらこちらに、花が植えられている
「私達の村へようこそ」
気が付いた村人が笑顔で出迎える
「何もない所ですけど、ゆっくりしていって下さいな」
村人が気さくに声を掛け、手に持った花を差し出す
「この花がね、この村の唯一の自慢なんだよ」
誇らしげな村人の顔
「あら、お客様なの?」
声に振り返ると、すぐ近くの家からセリスが現れた
見守る中で彼女は家人と挨拶を交わす
「大したおもてなしは出来ないけれど、ゆっくりしていってね?」
案内する程でも無いけれど……
そう言ってセリスは、ゆっくりと近づいてくる

村の広場は周囲を囲む様に花壇が配置されていた
「初めは花なんて無かったの」
広場を囲む花壇に、ほんの少し呆れた気分で見ていた事に気付いたのだろうか?
「それでも一生懸命世話をしたら次々に増えたの」
そうして、嬉しそうに微笑み掛ける
広場の中心に村の人々が集まっている
そして、漂ってくる美味しそうな匂い
「大した物では無いけれど……」
心づくしのもてなし
「村の人が作ったのよ」
小さな村を隅々まで案内されていた間に用意された歓迎の宴
セリスは手を握り、人々の輪の中へと連れて行く

花に香りに包まれながら、村人の心づくしの歓迎を受けた


 
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