エスタ近郊の砂漠地帯で、納涼祭が開かれていた

見渡す限りの砂の上に、大勢の人
そしてあたり一面に山と積まれたすいか…………

会場内にはどこから水を引き込んだのか、巨大な噴水が出現していた
そして、噴水の中に冷やされた大量のすいか………
来場者には、にっこりと微笑みかけてスタッフがカットしたすいかを手渡している

押しつけるようにして、すいかが手渡されている
会場内に並んだ品物の9割がすいか関連の代物
「動物が大量発生ってのは聞いたことがあったんだけどな……」
会場の片隅に設置された休憩所で、ラグナは静かにため息をついた
「すいかの大量発生ってのははじめて聞いたな」
目の前をすいかを抱えたスタッフが忙しそうに走り去っていく
「……発生というのは少し違うかと……」
遠慮がちな訂正と共に、目の前に絞り立てのすいかジュースが置かれる
「そうか?突然降って湧いて来たけどな」
なんたって2週間前には、こんな大量に実って無かったしな
うん?2週間?
2週間で作物は育ったりしないよな?
ラグナの脳裏を嫌な考えが過ぎっていた
………………変な実験でもしたんじゃないだろうな?
視界の隅で積み上げられていた、すいかが崩れ落ちた

後日
すいかを食べた人々に異常が現れたという話は、聞こえてこなかった

 
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