4 ウキとバランスの話 前編 (2003年掲載分)コラムの目次に戻る ホームページのトップに戻る |
近年は当地庄内においての海における釣り方も、ウキ釣法を用いる釣り人がかなり多くなりました。 当地で最も盛んなクロダイ釣りに関しては、約半数以上の釣り人がこのウキ釣法を用いて釣りを楽しんでおります。 これらのウキ釣法が庄内の磯場で活躍するにしたがい、従来から受け継がれてきた庄内中通し釣法に親しんできた釣り人も、ウキ釣法に転向したり、もしくは、庄内中通し釣法とウキ釣法のいずれの釣りも使い分けて楽しんでいる釣り人もおります。 ただ、これらの釣り人の多くは、ウキ釣法の基本となるノウハウを持っていないため、見よう見真似であったり、参考書や関連の雑誌で勉強しながら必要とする技術を学んでいる方も結構多い様です。 因みに、新たにウキ釣りを始めようとする釣り人に対して、自分がレクチャーしたりアドバイスしたお客様(釣り人)である皆様の数は、ここ10年ほどで延べ数2000人を超えるほどなのですが、残念な事に、その約半数以上の方はウキ釣法に馴染めず、結局は途中でやめたり、やめないまでもウキ釣法紛い?のそれなりのウキ釣法を相変わらず続けておられる方がほとんどの様なのです。 確かに、ウキ釣法そのものが時代の流れと共に、タックルは勿論の事、釣法的にもその技術的な進歩には目を見張るものがある程ですから、一般の釣り人であれば、それらの実態や情報などからすれば、自分の持つ知識とのレベルの違いや、理論上の混乱などは避けられないのかも知れません。 現に、ウキメーカーの人間すらこんなことを言ってました。 「最近の釣り具メーカーも釣り人も、こぞって釣りを難しくしている」と・・・ 現場に携わる自分から見ても、最近の釣り界の風潮として、釣りを難しくしている事は否めませんが、しかし実質的には、釣り人一人一人の個人的な楽しみ方に全てがかかっていると感じています。 敢えて釣りを難しくして、自分にプレシャーをかけながら釣りを楽しむ人もいれば、釣りはシンプルに、そしてお気楽な遊びとして接している程度の釣り人も多くおられると思います。 釣りはやっぱり個々のポリシーで異なるものであるし、大袈裟に言えば人間としての自分の生き方の縮図である様な気がしますから、やっぱり自分自身とのバランスがとれた無理のない釣りを楽しむ事の方が、趣味としての釣りの場合には大切な事だと感じています。 釣りと言っても色々ありますから、どのような釣りを楽しむかは、人それぞれのポリシーで異なりますが、案外その人の置かれる立場や環境で個々の釣りに対する考え方や嗜好が制限されたり、大きく変化してしまう事も多いと思います。 釣りのタックルに関しても同じ様な事が言えるような気がします。例えば、同じ磯釣りであっても、地磯釣もあれば沖磯釣りがあったりで、更に細分化すれば、同じ磯釣りでもその釣法たるや数種類、いやいや、数え上げたらもっともっとキリがない程の釣法があります。 そんな釣法の中でも使うタックルの種類が多彩なのはルアーや釣針それにウキなどがありますが、今回のバランスの話しではこの中のウキで、それもクロダイ用の磯釣りに使うウキについて考えてみたいと思います。 今、多くのメーカーなどから発売されて実際販売店に並ぶこれらのウキの種類は、大きく分けて棒ウキと玉ウキになりますが、使用する側の好みと用途で使い分けられるものの、比率から言えば約80%は玉ウキを使っているのが現状です。 どちらにも一長一短はあるのですが、その事に関してはまたの機会に説明する事にして、今回はこの玉ウキについての話しに絞ります。 玉ウキと一口に言っても、多くの形状と種類があり、市販される価格も500円〜5000円と丸が一つ違うほどに格差があります。 勿論高額なウキには高いなりの理由があるわけですが、これらの高額なウキには必ずと言っていいほど○○名人作とか、名人使用とかの肩書き?がつくものです。 そんな事もあり、その名人に憧れていたり、その名人の様に釣れる事を期待するする人達はこれらの高額なウキを買って使う事になるのですが、はたしてこれらのウキを使うと、本当に○○名人の様に釣れるのでしょうか? 高いウキを使えば必ず釣れる事が保証されるとすれば、爆発的に売れるのは明かな事なのですが、特別釣れる事が保証されていなくとも結構売れているのは事実なのです。 ところが、これらの高額なウキを使う場合、ウキだけを買って付け替えて使用したとしてもそのほとんどは失敗に終わります。 ウキ一つの問題なのですが、本当はタックル全体のバランスがとれないとウキの性能は全く発揮さず、宝の持ち腐れになってしまう事を案外知らない釣り人が多いと言う事なのです。 ウキに限らず、釣り人の使うタックルについての評判や情報は右から左と釣り人の間で広まってしまうものなのですが、これらを鵜のみにすると大きな間違いを犯す事が少なくありません。 ある程度の知識を持ったレベルの釣り人であれば、耳や目から入ってくる色々な情報の精度を自分なりに整理して上手くコントロールしながら、取り入れるものは吸収し、不要なものは排除してしまうのが普通ですが、何でもかんでも取り込もうとするのがビギナーの性です。 ところで、話しをウキの話題に戻しますが、ある人がある釣り場で、例えば形の良いクロダイを数尾釣ったとします。 ほとんどの人は、このクロダイを釣ったポイント(場所)を聞きたがりますし、釣ったその日の諸条件や、仕掛けを流し込んだ細部のポイントと、釣れた(釣った)タナや、使ったウキと仕掛けの詳細を聞き出したいのが釣り人としての本能?であると思います。 しかしながら、これらを例え聞いたところで、どれだけの事が判ってしかも自分の釣りに引用できるのか、自分は疑問に思うのです。 よく釣った事を自慢する釣り人は、釣ったポイントは教えても釣れたタナは教えたくない釣り人が多いものです。 あたかも、釣ったタナこそが、自分の腕の範疇とでも言いたいのでしょうか?そこで自慢下に始まるのはウキ下○○尋と言うタナ調整の技術?解説です。 尋(ヒロ)とは、両手を広げた長さですが、一般的には1.5mとされています。 ところが、釣った時のウキ下を聞いたところで、何の意味も成さない事にビギナーの方は気付くどころか、凄い裏技でも会得したかのような錯覚に陥ります。 クロダイが釣れるタナなどは同じポイントであっても、その日の条件は基より、釣っている間にも刻々と変化するものであり、極論からすれば、全く意味を成さないものなのです。 実際はそんな事より、そのポイントがどの程度の水深なのか、また、水中の根はどのような状態なのかをイメージできる範囲の情報こそが大切なのです。 これら一部の情報から知り得たヒントから、この場所に適応するタックルをバランス良くチョイスできる技術的能力を身につける事の方がずっと大切なのですが、ほとんどの釣り人は、釣った人のタックルを真似る事に執着してしまいます。 |