11 ノッコミのクロダイを釣る事にについての論争 (2002年掲載分) コラムの目次に戻る ホームページのトップに戻る
 釣り人の場合、どうしても我田引水的、かつ自分の都合に良い意見ばかりを述べて、相手の意見には耳をかそうとしない部分がある。
そのくせ、論点となる根拠が曖昧になリがちであり、時として、釣りの腕自慢的話しなどの筋違いな話しになってしまうケースも案外多いようだ。
ところで、クロダイに絞った場合、釣り人それぞれの考え方を大別すると次のような感じになると思います。

1、クロダイの成魚(30cm以上)ばかりを狙い、春には全く釣りをしない釣り人。
 春に釣りをする人と、当歳魚を釣る人を締め出したい。

2、春は釣りをしないし、大型魚は釣らなくても良いと言う釣り人。(高齢者に多いタイプ)
 当歳魚を秋に釣って楽しみ、食用にするため持ちかえる。クロダイの成魚を釣らなければ、もっと当歳魚が増えると思っているので、いずれにせよクロダイ釣りは程々で止めて欲しいと思っている。

3、春に釣りはするが、春のクロダイはもとより秋の当歳魚も釣らないで、クロダイの資源の保護に努めたいと思っており、秋からのクロダイにすべてをかけている釣り人。
 産卵期に釣る事を嫌い、産卵後に釣るべきだとして、春に釣る事と、当歳魚を釣る人がいるから、クロダイが減少するのだ・・・と考えている。 

4、春から秋までクロダイ釣りはやるが、当歳魚は勿論2歳魚釣りもやらず、もっぱら40cm以上を対象にして、間違って小型を釣った場合はすぐに放流している釣り人。
 釣りに春も秋もない、春釣らなくとも、秋に釣れば、この魚は春を迎えられない、だから、季節での良否を言い合ってもナンセンスだし、小型を釣るのはマナー的に問題があるから、大きくなったクロダイを楽しむのが本来の釣り人の姿であると思っている。

5、一年を通して色々な釣りを楽しんでおり、特別クロダイにはこだわらないので、その時の諸条件で対象魚と釣法を変えて釣っている釣り人。
クロダイには余り執着していないので、時期は問わずにクロダイに適した条件の時にはクロダイも釣るが、時としてはクロダイより大形の魚種でマダイやスズキも狙えば、アジやサバ、それに最近はイカも釣っている。
どちらかといえば、オールマイティーな釣り人なので、クロダイのノッコミ論争などには余り関係したくないと思っている。

大体は以上の釣り人のタイプが大勢を占めており、これらの釣り人の間で議論が交わされるものですから鶏と卵的論争になってしまう。
本来、釣りの楽しみ方と、個々のポリシーは違って当たり前なのである。
同じ魚を釣る釣り人同志で、他人の釣りや、楽しみ方をとやかくいうべきじゃない。
個々に置かれる状況と立場での考え方は違って当たり前なのだから、お互いに理解を深め合い、いつまでも、お互いが(皆が)楽しい釣りを続けられる様に自分としては願うばかりであるが、個々の釣りに対する考え方は、おいそれと変わるものではない。

正論を見出すのは難しいのが本音である。しかし、自分の意見として敢えて述べるのであれば、どれが正しくて、どれが間違いとは断言できないが、「極論からすれば、魚は釣らなければ減少はしない」との結論になる。(勿論漁業者のクロダイ漁も減少の要因ではあるが)

ところが、釣り人はクロダイを釣りたいのであり、また、釣らせてもらっているのであるから、個々の釣りを互いに誹謗し合うような事では同じ釣り人として好ましくはないのである。
しかし、次に自分が提言する事柄は、釣り人のモラルとマナーの一つとして無理をしなくとも実行できるし、考え方を改められる範囲の事だと思う。

  1、産卵期のクロダイを対象とした釣り大会は控える
(最近、釣りメーカーの釣り大会が春から初夏に地区予選的に開催される事が多いが、気候的諸条件からして、安全と、大会の成立確率を考慮した上での企画による実施であるからして、年に1度程度の大会であれば容認すべき許容範囲だと思う)
  
 2、当歳魚は、食用としないのであれば、極力釣りを控え、また、当歳魚を釣り大会の対象にはしない。
(地元鶴岡市における秋の大会では、相変わらずクロダイの当歳魚を審査の対象としている場合も多いので、今後は是正していただきたい)
  
 3、クロダイの稚魚に関す放流事業などには理解を示し、出来る範囲で協力しよう。
(釣具店や釣りのメーカーでは放流の資金を毎年寄金しており、全国的な放流事業に協賛しています。ただし、放流さえすれば魚が増えるとの考えは安直過ぎるし、放流は諸刃の剣的な諸問題が絡んでいる事実は否めない
  
 4、すべての海洋生物や魚族に対する環境保全を考え、汚染の原因となるような行為は控えよう。
(多量のコマセやゴミの投棄などには特に注意が必要だと思う。自分事で恐縮だが、近年は海岸の清掃活動の寄金を続けているが、これらも環境保全に対する協力の一つの方法だと思う)
  
以上、 簡単な自分なりの意見と提言ではあるが、如何なものだろう・・・・・ 
違法行為でない限り、他人の釣法や楽しみ方を非難したり、自分の考え方を無理に押しつける事は賢明だとは思えないし、人としてもやってはいけない行為だと思う。  (もちろん、違法でなければ何をやっても良いとは思わないが)
釣りとは、誰にも平等に許された健全なスポーツであり娯楽でもありますから・・・