|
昔の教育は「家庭」であり、そして学校でありました。その家庭では、社会には掟というものがあることを教えられた。それは、「うしろ指をさされることはするな」とか「恥を知って生きろ」であり、「先輩後輩の序」を習い、「弱い者をいじめるな」ということです。それらは社会の中での最低限度守らなくてはならない「掟」であり「常識」だったのです。
しかし、経済大国日本の推進力となった団塊の世代の多くは「仕事」を免罪符としてがむしゃらに働き、子供の教育は自然に母親の役割でもありました。その母親も共働きですから子供を保育所に預ける。その子供を名門志向の期待もあって小さなうちから塾通いをさせられる。家族揃っての食事も週に一度か二度しかないという家庭の子供にとっては下校を好まぬ生徒が増えたというのもわかるような気がします。家族不在での食べて寝るだけの家庭では侘びしいものでしょう。
いつからこのようになったのか・・・。
日本の教育は「教育基本法」によるが、団塊の世代に合わすように昭和36年の全国一斉学力テストから点数だけで生徒を判断する体制が確立し、これによって軌を一にして進学に必要のない学科や好奇心探求心が抑えられるようになった。これではいけないと「ゆとり教育」に方向転換するものの、それが学力低下の基であるという理由で全員競争の全国学力テストがまた再開された。しかし、一人一人の学力を追跡し確かめることのない小学校6年と中学校3年のみの学力調査だけで本当のところがわかるものでしょうか。
平成19年末に教育再生が審議された教育方針とは国を愛し国の発展のためになる人間を育てるために行うものであるといった考えのようです。しかし、大切なことは、子供一人一人が「生きる目的が見える」子育てではないでしょうか。そうでなければ、教師も「教育とは何か」を自主性をもって考えることはできにくいであろうと思う。
 |
| 須川湖 栗駒山 |
本題に入ります。
現実に我が子が「登校拒否」であれば気が動転して外に出る気持ちさえも失せるでしょう。しかしメソメソしていても解決しません。
子供が登校拒否ともなれば、何とかして『登校させなくては』と思います。一般的には『学校には行かなくてはいけない・学校は休んではいけない』という思いこみがあります。『登校拒否は絶対いけない』と思う頑なな親にしてみれば、子供が学校へ行きたくないといえば、それは『サボり・怠け・ズル休み』という考えしか浮かばない。でも、それでは「なぜ子供が学校に行きたくないのか」を考えていませんから、その子供の居場所は心的には無くなります。朝になると頭痛や腹痛で登校拒否をする子供とは、「いい子であろう」としてがんばって疲れているのに、さらに無理して「学校へいかなければ」と思っているので身体が防衛反応を起こしているのです。我が子が「登校拒否」であれば気が動転して外に出る気持ちさえも失せる親の立場と同様です。教室でいじめを受けていた小学五年の男子に母親が「我慢する時は我慢しなさい!」と叱ったところ、「僕は思いきり我慢しているよ・・」それが最後の会話になり、「不登校」となった事例もあります。まじめで優しく、気配りのできる子供ほど感情のガス抜きが苦手でストレスをためこみやすいところがあるものですし、対する子供の中には、家族関係に見切りをつけて勉強だけする、いわば冷めたタイプの「いい子」も多いのです。

一昨年、鳥取県境港市で主婦をナイフで襲いケガをさせた中学生二人は「事件を起こせば、学校に行かなくて済むと思った」と語っていました。多くの子供は学校に行きたいと考えている。その子供が学校に行きたくない、というのは、それだけ切実な事情があるからでしょう。
もし子供が、いじめに遭っているとうちあけられたら先ず訴えをしっかり聞くことです。本来、人は自分の思いを相手に伝えたい、本当の自分をわかってほしいと思っているものです。「気にするな」とか「相手だって本気ではないだろう」と親の勝手な判断ではなく、子供の呼吸を感じ取り、子供の呼吸が落ちつくように聞いてあげることです。誤解を覚悟でいえば、「学校に行きたくなければ行かなくてもいい」という親自身の覚悟によって親自身の腹も据わります。それによって子供の居場所を心的に作ってあげることができます。人とのコミュニケ−ションで大事な基礎になるものは小さい頃の親の愛情です。多少の矛盾や言い訳も片目をつぶって聞いてやり、やんちゃも許す親の態度は必要でしょう。逆に親の価値観を押しつけるならば、「わがまま」はいわない「よい子」になろうするでしょうが、本当の心を隠して生きていれば、それが思春期になってから暴発する因縁ともなるでしょう。
不登校は家庭の不和とか対人関係、教師との問題、身心発達の問題とからむのでその要因は複雑です。子供の心が不安定ならば成績が伸びなくなったりすることもある。コミュニケーション力が低い子供による集団無視(シカト)などがあれば学校に行きたくないということも当然でしょう。登校拒否の性格傾向としては、「他人とうまくかかわれない」「内向的」「自発性や忍耐力のなさ」、又、思い通りにならないと親や家族にもグズるケ−スのように「情緒的未成熟」ということもありますが、ここでは、学校での対人関係に要因があるということで話を進めます。
 |
| 栗駒山須川湖にて |
いじめを察知するのは、教師や親の重大な責任です。いじめを受けている子は概して心の内を話しません。近年はインターネットの掲示板や、メールによるいじめも広がっています。ネット社会への対応は家庭だけでは難しいのが実状となっています。 先ずは「いじめ」の危険信号を察知する為のポイントを「職人教師」深田定平先生著から抜粋して掲載させていただきます。
○本人が学校を休みがちになる。遅刻、相対も繰り返す。
○洋服が破れたり、汚れたり、鼻血・怪我などがみられる。
○物がなくなったり、隠されたりしているようだ。また、何かと金銭をほしがるようになる。
○いつも遊んでいる友人と遊ばなくなる。
○持ち物に、こっそりと刃物を隠しているときがある。
(学校では)
○ひとり遅れて教室に入ってくる。
○椅子や机がこわされている。
○用具が散乱している。
○いじめられている生徒が発言したりすると、「ヘエ−」などの野次がとぶ。
○その子をほめたりすると、みんなで笑ったり、シラケたりする。
○休み時間など、用事もないのに、保健室や職員室あたりをうろつく。
○「バイ菌」その他の、いやなあだ名がつけられる。
さて、不登校になったら、まずは、不登校の理由を調査し担任の先生と相談して下さい。これは、いじめている子を叱ってもらう為やわが子を守ってもらうことではありません。教師と親との協力体制を組むためです。なかには、頼りにならない先生や担任もいると思いますが、その時には教頭先生や校長先生にもしっかりと相談して下さい。この時に大切なことは、子供がいじめにあっている事実と、学校側との交渉事実をノートにキチンと整理しておくことです。 いじめを受けていることが事実であっても、激怒して加害者の親に電話で直接訴えるのは禁物です。いじめた側の生徒も事実を否定するでしょう。お互いに感情のたかまりの中で言い合いとなれば親同士の感情的対立だけとなります。いじめているほうでは「いじめの自覚」が無いということも多いのです。ですから、被害者はそれなりにハラをすえてかからないと足元をすくわれたり、居直られいじめがひどくなる場合もあります。そのあたりの対応も考えておくということです。客観的に、どっちがどうしたか、その状況を正確に把握していくということです。
いじめなどの問題が改善されなくて、緊急避難的に不登校をするということがあるかもしれません。この間に、親は子供の登校が確保出来るように、この期間に学校側にしっかりと要求項目を示して下さい。この間は学校長宛に不登校届けと要望を出しておきます。病気を理由にしないでいじめなどの不登校理由をあげ、改善されない限り登校できない、早く改善してほしいと書いた方が学校側も本当のことがわかり、適切な手が打てるでしょう。
不本意とはいえ子供を緊急避難的に不登校させた時から親と先生は忙しくなります。問題を処理するタイミングを失うと不登校は長期化してしまいます。ところで、いくらじりじりしても先生だって時間外に働きたくはないのが人情というもの。超多忙の先生に時間外にも働いてもらおうとすれば、あなた自身が危機感をもってまめに誠意ある要求とお願いをすべきです。なればこそ、こちらの思いや気迫が伝わります。なぜ、早急な解決が望まれるかというと、いじめが原因で始まった不登校も、長引くとそれ以外の要因が加わり、なかなか学級への復帰ができにくくなるからです。まずは親のあなたが積極的に中心となって担任の教師、養護教諭、校医や校内の教育相談係などと連携して子供を見守ることが大切です。
学校でも、教育センタ−でも、なかなか効果のでない複雑な要因があるのであれば、児童相談所に相談する方法もあります。この他にも教育センタ−や教育相談室は地域ごとにあり、学校との連携もとりやすい面があります。
それでも、どうしても学校側が硬直化して対応が改善されないときは、人を恨んだり泣き寝入りをしないで、言いたいことは文章にして、学校の直接の上部組織である教育委員会にしっかり報告します。
申立書というのは、日本国憲法の第三章「国民の権利及び義務」にも個人の尊重と幸福の追求を掲げています。16条には請願する権利があり、申立書を出す権利もこれに属します。
権利とは英語で「ライツ」、誰にとっても当然で正しいことを指した言葉です。誰でもあたりまえに公平に生きていく為の権利ですが、とかく権利を主張すると利己的とか自己中心的という誤解を生じやすいところでもあります。第3章12条に「この憲法が国民に保証する自由及び権利は国民の不断の努力によって、
これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と戒めています。
平たく言えば、いじめられたら「やめてください」と自分で言いなさい。いやがらせを受けたら黙っていないで学校に被害を訴えなさい。それでもだめなら他にも相談しなさい。子供やあなたの権利や自由が踏みつけにされた場合には、本気になって怒らないかぎり誰も守ってはくれません。自由とか人権というものは自分で努力や工夫をして乗り越えつかむものであり、自分は楽をして「自由及び権利」をもらうものではない。‐‐‐ ということになるでしょう。
話を続けます。 ‐‐‐ 校長先生にも相談してないのにいきなり申立書を教育委員会に出すなどということはしないでください。「うちの子に限って・・」と我が子を信じる。我が子がかわいいのもわかりますが、そんな対処の仕方では、些細な理由によって登校しないとグズる子供と同様です。申立書は切り札でもあり、最終手段でもあります。効果はありますが副作用もあります。いじめの問題は、先に示したように「いじめる方が悪い」のですが、いじめを受けた子や親が「負けまいと言い返す。その時、相手に思いを馳せ、相手の気持ちを汲み取ることがないならば「自己中心的」となってしまうからです。そのことを忘れると、あなた自身がいじめをする子や親のみならず、先生の反感も受けてしまうことにもなりかねません。何より先生とのコミュニケーションが大事なのです。 いろいろ手だてを講じたがどうにもならないというときには仕方ないでしょう。申し立ては住民の権利として保証されたものですから、その時には堂々と主張してください。「受け取っていない」と言われないためにも「申立書」には配達証明をつけて下さい。配達証明までつけるのかと思うでしょうが、教育長とは市町村の三役にあたる特別職です。県の教育長にまで申立書を書いたとしても、あなたの権利をあなたが堂々と自己責任のもとで主張する「ハラのすわりと姿勢」がなければ、見事な連係プレ−で無かったこととされてしまうことも考えられるのです。
 |
記載事項の約束があります。
申立書には、
1.申立人の住所氏名捺印 (父・母・祖父・祖母・伯父・叔母など)
2.代理人が申し立てる場合は代理人の住所氏名捺印
3.申し立てに係わる部分(どこを解決してほしいのか、要求事項の部分)
4.申し立ての理由(事実についての主張で一番大切な部分)
5.申し立ての年月日などの5項目が満たされていれば、申立書として通用します。
申立書を書く留意点としては、学校側の対応の悪さや実態を、第三者が読んでも「これはひどい」と思うように具体的な事例をたくさん出す。会話の録音、証言や経過表、真実を証明する被害写真、医師の治療を受けたらその診断書のコピー、子供自身の陳述書等を添付しながら、どこをどう解決してほしいのか、要求事項を書くと言うことになります。尚、最後に「この申立書を受理された日から、十日以内に書面にての回答をお願い致します。と締めくくること。
申立書を出したからといって、これでおしまいというのではありません。陰湿ないじめということもありますから、学校の指導方針がどう変わるか毎日、先生とコミュニケーションを交わして見極めて下さい。学校側に問題があるとして申し立てたのですから、行き違いや思い違いなど不手際の無いように教育委員会の対策係の人を入れて話し合うことになるでしょう。その際の記録を残すことはもちろん、誠意ある連絡や報告などは当然のことと肝に銘じましょう。
言うまでもありませんが、何回かの気まずい交渉をしただけで、誠意がないからと決めつけての安易な「申し立て」では先生方の協力も難しくなるでしょうし、解決に要する時間も多くかかってしまいます。又、解決を図る親自身のストレスも大きくつらいところでしょうが、善意の第三者に大きくよりかかろうとするのでは支援者を失ってしまいます。あなたを陰ながら応援してくれる人にはあまり迷惑をかけないように感謝しながらがんばることです。他人を頼りにするなということではありませんが、人に迷惑をかけずに自分一人でもやるという強さも必要です。
それにつけても、2000年4月名古屋の15才の少年が中学の同級生らに約五千万円を恐喝された事件。息子への暴力をみかねた母は学校、警察、児童相談所に駆け込んだというのでしたが・・・。《被害にあった少年はパートの母(41)と姉(17)と三人で暮らす。父は三年前事故で亡くなった。暴行を受け鼻の骨折で入院、その後も胸の骨を折られ被害は頂点に。孤立無援状態の母は「何とか子供を守りたい」と夫の保険金が底をつくまでの恐喝事件になってしまった。・・・》 何故そうなったのか。何故に対策がとれなかったのか ・・・
少年の担任は母から相談を受けながら「警察に行くよう」に勧めたという。警察は警察で、逮捕された少年の両親は被害者の母の訴えに驚き、愛知県警緑署に相談したという。しかし、二度も捜査のチャンスを逃がした同署長は「多忙な時期で手が回らなかった。放置したわけではない」との弁明でしたが、同様の不祥事が相次いでいるその責任は重大でしょう。
いじめやストーカーと同様、このような事件防止には、被害者の周囲で加害者に「やめろ」といえる人が必要です。そして、「やめろ」といえる人は、具体的記録(貯金をおろした日・その記載文書・恐喝した少年と会った日時と場所・友人の証言・できれば写真や録音等の証拠)を提示できるよう対処して下さい。
子供がいじめを受け金銭を脅し取られるということは、恐喝罪という犯罪です。 満14歳から満20歳以下は少年法上の「犯罪を犯した少年」です。子供が恐喝を受けていることが事実であれば、名前が判明している少年を、被害者の親権者として告訴すべきものです。子供が事実を語り刑事告訴すれば、警察は恐喝罪を犯した少年を捜査します。この捜査によって、事実が判明すれば、少年に対し家庭裁判所における少年審判という手続きが開始されます。その審判の結果、少年は刑事処分が相当と審判されれば、検察官は事実に基づいて裁判所に起訴します。その結果、その少年が有罪となれば、判決という公文書に事実が記載され、その判決が確定すれば公の判断による「事実」が定まります。
 |
| 栗駒山須川湖にて |

いじめは不登校というだけでは解決しません。人との関わりが嫌になってしまうと「引きこもり」になります。「いやなこと(不条理なこと)」は断る」という姿勢は教えるべきです。これを言えないと、世の卑劣なやからに餌食にされてしまいます。大の大人でも我が身を傷つけ鬱病になったり自殺したりするのですから、我が身を守る術を知らない子供たちを守るのは親のつとめです。「自分のことは自分で守る」を知らなければ卒業後も家庭から出られなくなることさえあります。
私たちは周囲の人と良い関係を保ちつつ社会の中で生きなければなりませんが、だからといって、いわれもない侮辱に対してノ−といえないから不満が重なり自信がなくなる。我慢し無理に応えようとすることによって益々自信がなくなる。不当に押しつけられたことに抗議できないから心の底で恨みを持つ。それを、上手く表現できないから心の奥底にとどまってしまうのです。相手の態度が不快であるならば、論理的な根拠など示せなくてもノ−「理由はいえないけど、私はいやだ」と言っていいのです。その態度がとれないというと、相手はどこまでもつけあがります。要するになめられているのです。
「あなたはあなた、他人は他人」です。自分を大事にするためには心の境界線を引くことも大事です。だからといって攻撃的になったりする必要はありません。「あなたはそう思っているんですね、わかりました」。それ以上言う必要もありません。それでつっけんどんだと思うのであれば「よく考えておきましょう」で充分です。わがままな人ほど、他人を「わがまま」と非難するものです。あなたがそうした態度をとれば、やがて彼らはあなたの周囲から去っていくでしょう。しかし、はっきり知らなければならないことは、彼(彼女)らは、あなた自身に真に関心をもったことなどないはず。何故なら、あなたの立場に立ってくれる人であれば、あなたのちょっとした言動にすぐに傷ついたり怒ったりはしないからです。実際の自分を知って去っていく人には、去ってもらうこともいいでしょう。あえて嫌われる必要はないけれど、あえてすかれなくてもかまわないという気持ちも必要です。理解してあげることは大切ですが賛成することとは別です。誰かからひどく挑発されたり、無理強いされたときには心の距離を置く。相手になるのをやめてしまう。もっともひどければ、すぐその場を立ち去ることです。イヤなものをイヤとはっきり主張できることと、わがままなこととは別のことだと判断できれば自分自身の感情を抑えることができます。自分に素直にということは、そのように結果として相手を失うかもしれない。それを承知で自己主張する時に落ち着きを得ることができるのです。
子供であっても大人であっても、自分の心が不安定なままではうまくいきません。いじめっ子の因縁なるところを鑑みないで、いじめっこのレッテルを貼るだけでも解決しません。引っ越しで学区を変えても親自身が変わらないのであれば同様の状況に対応できかねるでしょう。子供のこころを安定させる為には、家族が仲よく暮らすことが切なるところです。引っ越しを考える前に、どう乗り越えるか子供と一緒に考えてあげてはどうでしょう。加害者、被害者という対峙ではなく、相手と充分に向き合える自己を発見すれば本当の自信にもつながるでしょう。
18歳以下の子供たちの救済ホットライン
チャイルドライン(特定非営利活動法人チャイルドライン支援センター)
東京都新宿区住吉町8-5 http:www.childline.or.jp/
チャイルドラインは全国にあるので上記HPから調べてください
チャイルドライン4つの約束
1.ひみつはまもるよ
2.名前は言わなくてもいい
3.どんなことでも、いっしょに考える
4.イヤになったら、切ってもいい
|
|