上手な叱りかたと叱られかた
頭はク−ルに 心はホットに

蔵王 地蔵岳の地蔵尊
上手な叱られかた
 「褒めて育てる」という”ゆとり世代”に育った世代は殊に批判や叱責に対するストレス耐性が弱く、「叱られるとすぐ辞めてしまう」という人達が増えているように思う。そんな世代に対して上司のほうが精神的ストレスを受けているようにも思います。部下も上司も「叱ることは必要」と感じながらも叱り方によっては逆効果になることを恐れて悩むのです。「叱る」側の経験や能力の問題もありますが、失敗せずに仕事をするなどとうてい無理な話ですから、失敗にこだわらず前向きに智慧をはたらかすことがポイントとなるでしょう。

 さて、ミスを指摘された時には迅速且つ素直な謝罪が基本です。同じ謝り方でも遅くなればそれだけで先方を不愉快にさせてしまいます。詫びる気持ちはあったとしても、激怒している時に弁解や言い訳をすれば事態はさらに悪化します。だからといって、「とりあえず謝っておけばOK]と舌を出すような気持ちでは、自我を曲げないくせ者であることが相手に見抜かれてしまうものです。口先で詫びても、心がともなわなければ言葉が浮いてしまう。まず、相手を観察し相手がすべて言い尽くして気持ちが落ち着いた頃を見計らって事情を説明をする。多少なりとも責任があるなら「ご指摘ありがとうございました」「はっきり怒っていただいて有り難うございます」と言えるようならこじれないですむ。
 「謝り上手」は人に好かれ信頼されるのです。「どうせお前には無理だろう」などと言われてくやしい思いを味わうことがあっても、そのくやしさをバネにできれば「屈辱」の言葉を投げてくれた人に感謝できるようにもなる。「謝り上手」な人は、謝ればそれで終わりとは考えていない。「誠実な態度」とは同じことを繰り返さないよう改善し努力し続けるという姿勢なのです。断りや弁解にも先手でしっかり詫びてから素直に「NO」を言えばいい。「謝る」のを下手にしてしまうと、せっかくできた人間関係をそれだけで台無しにしてしまう。「謝り上手」になれば無闇にハラを立てる必要もなくなるし、それが何より自分の大きな自信につながります。謝ることもできず自己を省みることもなければ、文句も言われず叱られることもなくなるでしょうが状況は更に厳しくなるでしょう。
蔵王の樹氷
下手な叱り方
  チームを組んで仕事を為すには報告・連絡・相談などの円滑さが求められますが、未熟なうちは注意したり叱らなければならないこともあります。けれども、「叱る」と「怒る」とは違います。叱るとは相手を成長させるという思いやるという心で諭しますが、怒るとは怒りの感情です。「バカ、ドジ、マヌケ、ブス、デブ」などの侮辱的、「・・のくせに」などの差別的、「やめちまえ」「話しにならない」といった相手の人格を完全に否定する言葉であっては完全なパワハラでありバカドジマヌケは自分です。「君に言っても始まらないが」「見損なっていたよ」「常識だよ」「言い訳は聞きたくない」なども自らの人格を全てあらわしてしまいます。押しつけがましい叱り方、脅迫めいた叱り方、哀願するようなこびるような叱り方、グチッぽい叱り方、皮肉いっぱいの叱り方などをされたら良い絆など結びようもありません。
 「叱る」とは相手のことを思い、なんとかしなければと思えばこその諭しです。部下の失敗をなぐさめ、部下の頑張りを誉めて更にやる気を奮起させるのが上司の努めでもあろうに「ほめるところがないよ」などと言っているようでは、その本人こそがほめられる人ではないということになります。叱り方の鉄則として「ほめることができて、しかることもできる」と心得たいものです。


                 叱るには善悪を基準とする 
 子供を叱る時に「そんなことをすれば他人に笑われる」とか「見つかると叱られる」という言い方はよくない。他人の評価や、見つからなければよいというような基準ではなく、そのことの「善悪」を教えるのです。ある教諭の「叱り方五戒」に追記します。
一、理由が分かるように叱る
 子供がいけないことをした時に「いけない子」だと言わずに、「何々はいけない」と叱る。又、口の減らない子・減らず口をたたく子、いわゆる必ず口答えをするという子がいます。このような子には「その口の端をツネってやりたい」と言う。でも、ツネらない。気性の激しい子にはツネらなくてもそのぐらいで通じます。
二、短くピシッと叱る
 軽い失敗にはしっかり教えるのです。軽い失敗を軽く叱ると軽く受け止めてしまうからです。反対に、大きな失敗の時には、本人が失敗を自覚していますから強く叱らなくても理解します。
三、人前で、恥をかかせない
 人前で叱らざるを得ないときには、個人を的にしないこと。
四、激怒したときは十秒黙る
 感情むきだしでは怒るようでは、自分の頭が悪いことを露呈しているだけ。叱るということは、叱った後の自分の言葉や顔をどうするかまで考えておくことです。
五、相手の性格を考えて叱る

 同じ叱り方をしても相手の反応はいろいろです。あまやかされて育った子には敏感な子供も多く、ちょっとした叱責で全人格を否定されたようにへこんでしまう人間が増えています。叱るには、まずほめてから注意して又ほめるという気配りが一層大切になろうかと思います。
2003.1 蔵王樹氷原コ−ス
                   クレ−ム対処法
 お客様から苦情があったならばまず最善最速の対応をすること。クレ−ム処理を長引かせること自体、先延ばしすることだけで事態を悪化させます。クレーム内容によっては、対応をちょっとでもあやまれば担当者の責任問題にも発展しかねませんからいつでも誠意をもって対応することです。 電話でのクレームにはまずは「お電話をさせてしまい、申し訳ございません」と頭を下げるぐらいの心がけがいいでしょう。クレーム内容を確認してから、「すぐにこちらから折り返しお電話致しますので、お客様のお電話番号をいただけますでしょうか」とひとまず電話を終わらせます。クレームでの電話でも長引けば、電話代の負担が自分なんだということに突然気がついて、そこにも腹がたってしまうところがあります。
 クレ−ム対応では、相手の話をひたすら徹底的に聞くこと、うなずきながら話したいだけ話しをさせることです。そんなのイヤだとクレームから逃げるようではお客を失うだけでなく会社の評判も落とします。かといって、お客を言い負かすことが有能なはずがない。お客が苦情を言うにはそれなりの理由があるからこそ、そうした行動に出てくるのです。「文句をいわれた」と落ち込むのでもなく、「文句を言わせてしまった原因は何か」と受けとめるのです。不必要にクレーマーを恐れたり、面倒臭い客だナと思う態度とは同じ心の裏表、相手の話の途中で「いや、そんなことはありませんよ」などと反論すれば火に油をそそぐようなもの、おさまることも手におえないことになってしまいます。先入観や自我が正しい判断を狂わせるのです。エゴで対処すれば「わかりました」の同意のつもりでも態度に出てしまったり、「お客様」と言わねばならないのに「あなた」になったり、「ため息」になったり「目線」「声の調子」「言葉遣い」にもデリカシ−が無くなるのです。
 一方、度を超えたクレーマーもいるでしょう。逆ギレで金をゆすりとろうとする者もいる。逆ギレは話し合いの放棄ですから、いつまでも騒ぎ続けるようならきっちりした手段を検討すればいいでしょう。「支配人を出せ!」とかいうクレーマーには主任がでていき「この店のことは私がまかされていますので・・」と対応し、相手が本当に困った客なら「私どもでは解決致しかねますので、警察の意見もうかがってみますから・・」と粛々と対応する。支配人に「お客がめちゃくちゃ怒っていて手のつけようがありません。どうしたらいいでしょう」などとお伺いを立てるようでは主任の力量が問われます。  

 お客さまとの会話では正確さが大切です。あいまいな言葉、「一応」「たぶん」「・・と思います」「かなり・・」というようなあいまいな受け答えをすれば、「言った」「言わない」とこじれていきます。その言い方も「いえ違います」などという言い方ではデリカシーがありません。「何でしょうか」「何ですか」と言えばぶっきらぼうになります。店員から「何ですか」などと問い返されると「いえ、何でもありません」と答えてしまうかもしれません。「どのようなご用件でしょうか」と言われれば言葉を続けやすいものです。「それじゃどうしますか」ではなく「どのようにいたしましょうか」と対応するのが接客業のプロというもの。この心得無くして、周囲を激怒させながら、「私はまちがったことをいっていませんよ」とか「失礼な言葉は口にしていません」「実際、そんなことはできません」と弁解するその姿勢が周囲を不快にさせるのです。無礼なお客の態度に腹立つこともあるでしょうが、相手にどのような事情があろうとも自分が怒ったら自分の負けです。応対の挨拶として最低なのは、怒った客につられて感情を表してしまうことです。それでは、収まるものも収まらなくなる。いくら怒っていても、人間とはそうそう長い間怒りを持続することはできません。それに、真剣に聞いてくれていると感じると不思議と怒りはおさまるものです。断らざるを得ないにしても、「できません」「無理です」などと簡潔に済ませてはいけないのです。無理なことでも、「お力になれなくて申し訳ございません」という心持ちなら誠意が伝わるでしょう。反論するにも「なるほど、わかりました。たしかにそういう考えもありますね」と受け止め、「私の意見が必ず正しいとはいえませんが、私の考えでは・・」と前置きするぐらいの心持ちならば、相手は自分の意見を否定されたという気持ちにならずに済みますから話も円滑になりますし、何より早とちりで恥をかくことも少なくなります。
要は頑なな「正しさ」より誠意ある言い方がポイントでしょう。

話の中身に気を使う人でも、話し方には意外に無頓着という場合が多いようです。
 話の中身と関係なく「損する」「誤解される」話し方があります。
◎ 声が小さい(自信や情熱が伝わりにくく、小さな声の「ハイ」はやる気のなさととられかねない)
◎ 声が大きい(周囲との兼ね合い、配慮不足になりがち)
◎ 早口の人(本人は感じていないようだが「まくしたてる」というような感じになる)
◎ 話し方に精気がない(暗い調子で語尾不明瞭だと、適当に聞き流されてしまう)

 人の話をしっかり聞ける人とは、対面していても電話であっても、いまどんな表情をしていて、どんな剣幕でまくしたてているのかちゃんととらえているものです。一般的に感情は呼吸や声、態度などすべてにあらわれますから、それがわかれば対応策も見えてくるのです。商品説明でも相手が説明を理解しているかどうかに配慮し、相手の視線や呼吸を観ながら対応しているものです。そのような店員ならばクレ−ムもビジネスにとっては大切な情報源と受けとめることができるでしょう。トラブルが収まってからお客から「悪かったね」などといわれても、「わかってもらえばいいです」などとむしかえさずに、「説明が不十分でご迷惑をおかけし、申し訳ありません」と応えるならば自己が見えているといっていいでしょう。自分でサ−ビス業を志したのであれば、ぶちキレている人からは逃げるのではなく、自分をどなりつけている人をニコニコさせることに喜びを感じるぐらいでなければならない。
 クレ−ムをつけたお客はなかなか足を運びにくいものですから「お客様からいただいた御意見を反映させていただきますので、また、是非足をお運び願います」とほほえんで言えるならば、苦情客からも上司からも信頼され、クレ−ムそのものが善縁となるでしょう。

蔵王山頂付近  遠景は山形市街と月山方面

  酒井得元老師談
 昔、沢木老僧からこういうことを聞いてる。「ワシはなあ、大いに相手をどやしてやる」「そのどやしてやるのにこつがあってなあ」なんて昔、言いましたよ。「相手をう−んとひどい目に遭わしてやる」。その時に「決して怒ってやっちゃいけない」「このヤロウ!コンチキショウ!」と思って頭へきてね、怒ったら絶対にいけない。「その時はやめとけ」と。最も心が広々としてね、ニコニコ!いざという時にはすぐ笑えるような気持ち、穏やかな気持ち。無理かも知れんけれども、そういう時に叱ってやるんだそうだ。「そういうように叱る」「これはしょっちゅう気を付けているよ」と。そうしませんことには、「このヤロウ!」と怒ってね、ぶん殴ったりなんかしますと、向こうに傷が付くんだ。人間的に傷が付く。ところが、こちらが温か−い気持ち、仇討ちみたいにのぼせた気持ちは全然ない。本当にニコニコっとして一番気分のいい時に叱れば、決して後味が悪くない。また相手を傷つけることもない。