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男はつらいよ・寅次郎夢枕
 
シリーズ10作(1972年)

●監督
山田洋次

●キャスト
渥美清
倍賞千恵子

八千草薫
田中絹代

■ ストーリー ■


 旅先で仲間の孤独な死を知らされた寅さんは、地道に生きようと決心し柴又へ帰ってくるが、寅さんが使っている部屋には、大学の助教授をしている岡倉という男が下宿していた。寅さんは、ヘソを曲げてすぐに出て行こうとするが、ちょうどその時、幼なじみのお千代さんに再会して機嫌が良くなり、寅屋の物置部屋で生活する事になる。ところが、インテリで色恋沙汰とは無縁だった下宿人の岡倉が、お千代さんに一目ぼれしてしまい、寅さんが仲を取り持とうとするのだが・・・。

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■ レビュー ■

 

 1972年日本映画。監督は『学校』『息子』『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次、出演は、渥美清、倍賞千恵子、八千草薫など。日本を代表する長寿シリーズ『男はつらいよ』シリーズの第10作。

 『男はつらいよ』シリーズ初期の傑作です。オープニングから、近所で評判の悪い寅さんの縁談話で爆笑シーンの連続ですが、マドンナ役のお千代さんの子供と離れ離れになって暮らす母親の悲しみなど、泣いたり笑ったり忙しい作品です。今回は、寅さんに恋敵が登場、しかも、大学の助教授というインテリで、下宿先に高価なステレオを持ち込みクラッシック音楽を楽しむような、寅さんが一番嫌いなタイプの人間。難しい事の嫌いな人情味のある寅さんと、インテリ教授の対照的なキャラクターが笑いのツボになっています。また、このインテリが寅さんの幼なじみに恋をしてしまったのをいいことに、寅さんが徹底してインテリをイジメるなど、これまでのパターンとは違ったユーモアの効いた作品です。マドンナ役で出演している八千草薫さんの良妻賢母タイプのおっとりとしたキャラクターも、寅さんとお似合いで、縁談話にもリアリティがあります。70年代初期の作品なので、親しい近所付き合いの描写も自然で、人情の温かみが感じられますし、山梨県、長野県の晩秋を背景にした仕事仲間の孤独な死のエピソードにには、人間の生の儚さがしみじみと感じられます。かなり古い作品ですが、初期の作品の中では、特別な存在感のある作品としてオススメの1本です。

 一番最初に観たのは、小学生の頃で、家族と一緒にテレビで鑑賞しましたが、みんなクライマックスシーンでは、ハッピーエンドにならず残念がっていました。ハッピーエンドで終わってしまうと、続きがなくなってしまうので仕方がありませんが、幼なじみとの再会という展開は、寅さんの結婚という問題に現実味があり、しかも、珍しく相手がその気になっていただけに残念でした。しかし、中年になってから鑑賞すると、旅先で急死した寅さんの仲間のエピソードと、山梨、長野の山並みが、今も昔も変わらぬ自然の美しさと、世の無常、人間の人生の儚さを痛感させてくれるので、子供の頃に観た時のイメージよりも深い感動が味わえました。大人にならないと分らない深い意味のある作品なんでしょうね。

人間は、褒め合わなければいけない

 寅さんが改悛したと聞いた御前様が虎屋を訪れ、ありがたいお言葉を一言。ほとんどの人は、どうしても人の欠点に目が行ってしまいますが、人の美点を見出し、それを褒める事によって長所を伸ばし、お互いに成長できるのかもしれません。

本当につらいのは・・・

 俺が一番ツライ思いをしていると怒り出す寅さんですが、内心では、自分を心配してくれる身内が一番ツライ思いをしている事を知っています。学歴も浅く、社会常識にも疎い寅さんですが、人の気持ちが分るという意味では、最高の人間ですね。


 

名シーン

あたし、本当にうれしいの

 離婚して、自分の子供に会うことができずに落ち込んでいるお千代さんを励まそうと、寅さんが食事会を開きますが、やる事なすこと裏目に出てしまいます。でも、お千代さんは、そんな寅さんや、寅やの人々の気持ちが嬉しくたまりません。この作品の中で一番泣けるシーンです。

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ガイド

田中絹代さんも出演

 旅先で、寅さんの仲間の死を知らせてくれる夫人を演じているのは、戦前から日本のトップ女優として活躍していた田中絹代さんです。私は、年齢的に世代が違うので、ほとんど出演作品を観ていませんが、このシーンの存在感だけでも、強烈なオーラを感じます。



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