決意
悲しい事
でも、喜ぶべき事なのかも知れない
戦わなくても済む事に
辛くて悲しい思いをしないで済む事に………
初めて訪れた場所で
見知った顔に会った
一人探索した、施設内で、すれ違った人影
その時点で誰だったか、なんて分かっていなかったけれど、どこか気になってその後を追った
あの子達に守られながら歩いた館内
古い記憶の底に沈んでいた、小さな子供達の面影
次々と見つかるその姿に
私は、ほんの少しだけ期待した
期待して姿を探して…………
教えられた現実
あの子は、スコールは、ここには居ないという事
子供の頃にどこかに引き取られて行ったと、そう告げられた
会えない悲しみとか、いろいろな感情が沸き上がって来て
最後に、良かったと、そう思った
守られてる立場の私が思う事では無いのかも知れないけれど、大切な人に戦いになんてして欲しくない
傷つけて、傷ついて………
辛そうで、悲しそうで、そんな姿は見たく無い
だから、スコールがここに居なかった事が悲しいけど嬉しい
『その後の事は分からないのです』
悲しげな顔と共に告げられたシド先生の言葉
話を聞いたら、他の子達がここに居る事も全部“偶然”だっていう
『………………仕方ないですね』
私はそういったけれど
そんな事、本当に偶然だなんて思えない、思える筈が無い
バラムガーデン―――戦いの為の学園
集められてるのは子供達ばかり
笑って楽しそうに話してる彼らの姿を見ていると、気持ちが悪くなってくる
―――戦いの為―――
記憶の中の優しかった筈の人は、何故こんな事を望んだんだろう
「わからない、よ……」
示された現実に、不安が広がる
優しいとそう思ったのは、もしかしたら錯覚かもしれない
私の為に……
と、申し訳なく思っていた事も……
あれから、長い時間が経っている
とても長い、長い時間
向かえに行くからといったおじさんとはまだ会えない
……当然だね、誰にも見つからないように、各地を移動しているんだから
私は今、誰から逃げているんだろう
時々抱いていた疑問が強くなる
おじさんや、スコールは何処にいるんだろう
二人の消息を辿る手段が私には有る
ずっと、危険だからと止められていた能力
でも…………
もしも、望まない結論を知る事になったら?
心を占める躊躇い、不安
突然学園内が騒がしくなった
聞こえてくる“魔女”の言葉
近づいてくる争いの気配
どこか緊張感に欠けた場所で、エルオーネは決心を固めた
To be continued
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