ガルバディアガーデン
眼前に迫る巨大で、独特の建物
ガルバディアガーデン
記憶の底に沈んだバラムガーデンとは違った光景
覚えているとは言えないそんな記憶でも、あの場所よりも冷たい印象を受ける
敷地内へと向かった足が止まる
「嫌な雰囲気だなぁ?」
問いかけというよりも、確認するようなサイファーの声
「そうね……」
落ち着かな気に辺りを見まわす彼等の様子
辺りに満ちた痛い程の静寂
目の前を生徒達が通り過ぎるというのに、彼等は言葉を発しない
見慣れぬ人間の出現に警戒しているのか……
……それとも………
ピンと張りつめた空気に息が詰まる
整然と歩く生徒達の姿は、どこか古い映画で見た兵士達の姿に似ている
「ここは私に任せてくれる?」
見るからに機嫌が悪そうなサイファーへと話し掛け、キスティスが1人の教師へと歩み寄っていく
どこからか好奇心に満ちた視線を感じる
…………?
スコールは、さりげなく辺りを見渡す
視界に映るのは、先ほどと変わらぬ光景
すぐに、感じていた視線が消える
遠く視界の片隅でキスティスと話す教師が、横柄に頷くのが見えた
ガルバディアガーデンへと向かう道筋
バラムを出立してから、ずっと同じ方向へと歩く俺の存在が、前を行く2人には気になりはじめた様だ
気にするには時間が遅いと言えば遅いのだが
―――偶然
その言葉が何処まで通じるかは不明だ
だが、彼等が何処へ行くのか知っていて、自分もそこへ行くつもりだ、となれば、誤魔化す方法は幾らでもある………多分
こちらを伺うような大男の様子に、笑みがこぼれる
ま、上手く行かなかった時は行かなかった時だ
彼等と共にで無くては、少々難しい事になるかも知れないが、たどり着き状況を確認する位の事は出来るだろう
何事か、言い争う様な声が聞こえる
前方で、鋭い声と共に放たれる蹴り
ガルバディアガーデンが、強い結びつきを持っているのは周知の事実
後は、それが、バラムまで及んでいるかどうか……
さ、そろそろ接触してみるか?
先ほどから何度も繰り返されていた光景
じゃれ合いとも見える若い二人の側へと悠然と歩み寄る
「……大丈夫か?」
倒れ込み、立ち止まった彼等に追いついた瞬間、俺は彼へと手を差し出した
学園長との交渉が済む迄の間与えられた自由時間
ガーデンの見物に消えていったゼルやセルフィーを見習い
スコールは、ガーデン内をゆっくりと見学していた
当然の様に存在する生徒達の姿
だがそれは、スコールが知っている学生達のにぎわいとは全く無縁で、建物を覆うのは規制された静けさ
小声で雑談を交わし、足音すら立てずに歩く彼等の姿
建物の周辺や、訓練施設らしき場所の近くでティンバーで見かけたガルバディア軍と同じ兵器が見える
何事かあったのか、急ぎ足で歩く生徒の手に、ガルバディアの印の入った武器が握られている
………嫌な感じがする
政府との結びつき
それだけではない、何か独特の気配
―――兵士の養成機関
さりげない風を装いながら内部を彼等の様子を細かくチェックするスコールの脳裏に、そんな言葉が浮かんだ
To be continued
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