緊急事態


 
エスタ軍本部
突如、辺りに警報が鳴り響いた
辺りに緊張が走ると同時に、全員が自分の持ち場へと走る
警報と同時に稼働を始めた計器類の数々が情報を映し出していく
睨み付けた画面に表示されるのは、幾筋も浮かぶ点と線
遙か遠い場所から送られてくる酷く不鮮明な映像が徐々に浮かび上がる
息を飲む彼等の耳に、呼び出し音が鳴る
「何があった!?」
相手を確認する事も無く、条件反射的に繋げられた回線から緊迫した声が響く
映し出されたのは、幾十ものミサイルの姿
「ガルバディアが攻撃を開始しましたっ」
悲鳴の様に叫び返した声が、静まり返った室内に大きく響いた

「退去命令は出したな?」
騒然とした室内にラグナの声が響く
「はい、こちらに全員戻るそうです」
慌ただしく行き来する人々の足音
様々な情報が集められ、発信される
「特に何も問題は起きてないな?」
通信士へと質問を重ねる傍から、無造作に書類が積み上げられていく
「はい、特に報告しなければならない事はない様です」
タイミングを計り、話しかけようとした兵士を待たせ、命令を重ねる
「念のため、バラムの方にも同じ事を言っといてくれ」
ラグナの言葉に、彼は慌ただしく持ち場へと帰っていく
「ソレで、どうしたって?」
待ちかまえていた兵士が、口を開く
2、3の質問
幾つかの確認事項
彼の相手をしている間にも、用事が増えていく
「今の所は警戒をきつくする程度に留めておけ、それとトラビアの状況がどうなってるのかも気になるな……」
周囲に設置されたディスプレイが様々な情報を映し出している
「ガルバディアの様子を見張っておくのも忘れるなよ」
走る様に退出して行く姿を見送り、情報へと目を通していく
「―――大統領」
情報を頭で処理するよりも早く、呼びかける声が続く
「今度は何だ?」
振り返った先に、秘書官が困惑した様な顔をして、立ちつくしている
「エアステーションの方から連絡が入っています」
「……なんだって?」
「それが………」
告げられた言葉に、室内の空気が変わる
「とりあえず、向うに行けるように準備をしててくれ」
ラグナの言葉に、室内の人間が不安げな視線を向ける
「ああ、それとオルロワを至急呼んでくれ」
了承の返事を聞くと同時に、エアステーションからの連絡を受ける
何かが動き始める強い気配を感じる
それがどんな動きなのかは解らないが、やる事は強引にでも良い方向へと動かすだけだ
っていうのは良いんだけどな
あの時、全ての決着つけなかった――つけられなかった―――のは自分達だ
こんな時が来るのは覚悟していた事だ
………してたんだけどよ
………どうして彼奴等がいない時を狙って事が起きるんだ?
次々と出現する問題に対応しながら、心の中で2人の友人に文句を呟いた
 
 

 To be continued
 
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