軍船


 
緊張に身を固める
すぐ傍まで迫った船の姿
威圧的な態度に声
成り行きを見守りながら、スコールは息を詰めた

なんのトラブルも無く、順調だった船旅は不意に終わりを告げた
映し出されたのは、ガルバディア軍船の姿
接触する迄はまだ大分時間があるが、おそらく向こうも船が近づいている事には気が付いているだろう
「ここで逃げ出す訳には行きません」
詳細を知るはずも無いだろうから、船に近づく迄の間出来る限りの偽装工作をする事は可能だ
だが、この場で唐突に方向転換をする訳には行かない
あまりに不審すぎるその行動は、相手に自分達がただの民間文で無い事を告げる結果になる
「気は進みませんが、このまま行くしか方法はありません」
船長の言葉は、確認では無く決定事項だ
提案する事も、注文を付ける事も出来ない
「いくらなんでも突然攻撃をしてくる事は無いとは思うが、充分に注意した方が良い」
警告ともしもの時の打ち合わせをし、船倉へと身を隠した

片隅に設置された、スピーカーが、外の様子を余す事無く告げる
「別に疑っているわけじゃ無いんだがなぁ」
間延びした声がねちねちと言葉を続け、船が澄むのを押しとどめる
「積荷はなんだって言った?」
船の震動が間近に聞こえる
「そう、その荷物を幾つか証拠として提出しなければならないんだ」
誰かが息を飲む音が聞こえる
「これはあたらしく出来た決まりだ、勿論お前たちは従うだろう?」
高圧的で、からみつくような態度に嫌悪感が沸き上がる
とまどいながらも、仕方なく従順な態度を取る船長が承知の言葉を返す
ここまでは、キロス達か予測していた範囲の出来事
問題は………
「ここに在る荷物だけで、納得してくれれば良いが」
不安を代弁するようにぽつりと呟かれる声
この船は商取引の為の輸送船ではない
実際に乗せているのは
各地で工作勝つ土をしてきた軍関係者等の人が乗っている
カモフラージュの為の荷物も積んでいるが、それは大した量にはならない
全ての荷物を明け渡したとして、それで満足するだろうか?
船倉の扉が開き、船員達が忙しく荷物を運び始める
彼等が荷物を運び出す
その奧で、スコール達はもしもの時の為に準備を始める
荷物は次々と持ち出され、残されたのは空のコンテナ、そして、コンテナに見せかけて幾多の個室
再び船長とのやりとりが始まる
行為に味を占めているのか、相手は当然様に荷物を要求する
交渉は決裂―――
覚悟を決め、作戦を開始する為に足を踏み出す
突然、外が騒々しくなる
騒ぎ立てるガルバディア兵の声
誰かが先走ったのか?
一瞬脳裏に浮かんだ疑問は、
「あの船、逃げ出しました」
ガルバディア兵の声に消えた
騒ぎ立てる声、甲板を走る足音、それから遠ざかる船の音
「あいつら、行ってしまいましたよ」
疲れたような船長の声が響いた
 
 

 To be continued
 
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