目的
「行き先はバラムガーデン」
いつもとは違った場所で、いつもの確認
「こっちは依頼者だから、全然問題無いよ」
そんな確認の後、バラムガーデンに身を寄せた
「間に合ったみたいね」
闇の中を抜け、車窓には見慣れた光景が見える
既に此処はバラム国内
ガーデンを確認は出来ないが、時折見える風景や人々に変わったところは無い
「なぁ、ミサイルってのは、ガーデンだけを狙ってるんだよな?」
「そういう話だったわね」
狙っていたのは各地にあるガーデン
交渉も、警告も、政府との話し合いは一切していない
「じゃあ、ガーデンを離れればとりあえずは安全だよな?」
多分、とりあえずはそう言えるはず
そうとしか言えなくて、そうである事を願うしか無い
ミサイルが発射する前にガーデンに無事に辿り着いたとしても、私達に出来るのは警告する事くらい
ミサイルが実際にどうなるかは、雷神達次第
「とりあえずは、だけどな」
サイファーが面白く無さそうに呟くと同時に、列車はホームへと滑り込んだ
―――混乱
今の状況を一言で現すのにこれ以上最適な言葉は無いかもしれない
―――不安
もう一言言葉を追加しろと言われたら、思い浮かぶのはこの言葉
きっかけは“魔女”
はじまりは任務の失敗?
きっと、それは違う
魔女と敵対するべきでは無いと、声高に声を上げ始めた制服組の弁は何かおかしな所が多い
ガルバディアから……魔女からの要求は
ガーデンの開放、そして全SeeDの引き渡し
そんな条件を私達が飲める筈がない
そのはずなのに
彼等は自分達の保身を第一条件に上げた
彼等は全ての要求を飲み、魔女との敵対を回避しようとした
そんな事許せるはずが無い
そして、全てが分裂した
さらけ出されたのは危うい均衡で成り立っていた学園の姿
何もかもが二つに別れて争っている
「あなた、何派?」
幾度と無く口にした問いかけ
返事は返って来ないけれど解っている
日頃の素行態度が悪くて、殺気を向けてくる相手なんて、マスター派に決まっている
向かってくる相手を難なく倒して、次の場所へと向かう
熱病の様な時間が続いている
マスター派も学園長派も、生徒達の大半の心にあるのは不安
不安だから、その不安をどうにかしようとして、一時的な感情で動いている
廊下で立ち往生した生徒を助け、走る
何か打開策はないの?
争っている場合じゃないと、そう思わせる様な事
教師達はどうしようも無いとしても、生徒達はきっとそれで収まるはず
「シュウ!」
焦る気持ちを抱えながら、奔走するその背中に友の声が聞こえた
To be continued
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