対策


 
キスティス達が手早く情報交換をしている間
サイファーは、上階へと足を運ぶ
話をする事よりも早くやる事がある
ばかげた争いをしている奴等に状況を教えてやる事
現況を知った上でやりたい奴だけ争っていれば良い
いつもなら嫌みな程強固に拒む通路があっさりと開く
どうやら馬鹿馬鹿しいこの騒ぎでガーデンの機能は大幅に低下している様だ
今ならミサイルなんかに頼らなくてもやれるぜ?
混乱に乗じれば、戦力も機能もこのままそっくり手に入る
鈍い震動と共に、機械が作動する
上へ行くための唯一の通路
透明な硝子の壁の外側に、秩序を失った人々の姿が見える
自然と皮肉げな笑みが浮かぶ
「ざまねぇな」
呟きと共にドアが勢いよく開いた

騒ぎが止まない
絶対にここから動かないように、と言われた部屋の外から聞こえる音
昔何度か聞いた事のある争いの音が聞こえる
仲間達は、蒼白な顔をして扉の外を伺っている
―――ここに来れば安全
だったはずなんだけどな
初めはどこかざわざわしていただけだった
気が付いたら、何故か戦っていた
私達は依頼主だから、どう転んでも安全だと、双方の人間が言い置いていった
けれど何か起きているかは教えるつもりは無いみたいで、状況はさっぱり解らない
苛立ちに蹴りつけたドアはびくともしない
介入されるのを恐れたのか
逃げられたら大変だと思ったのか
ドアは外側から鍵が掛かっている
背後から、恐る恐る名前を呼ぶ声が聞こえる
もう一度思い切りドアを蹴りつける
微かにドアが揺れる
「コレ、壊せないかな?」
慌てたように仲間達が動いた

「放送が使えない、だぁ?」
非常事態だというのにのんびりとしたシドの言葉に怒りが湧いて来る
「ええ、そうなんですよ」
大して困っている様には見えないシドとの会話の間に、近くに居た学生達が自主的に姿を消す
「それで、どうするって?」
シェルター?
MD層?
ようは、地下にあるはずの機械を動かせばどうにかなるらしい
「行けば良いんだろ」
自分がどうにかする、なんて言いながらどうする気も無い事位明白だ
「おら、行くぞ」
気まぐれに風神とゼルに声を掛け、サイファーは学園地下へと足を運んだ
 

 To be continued
 
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