目撃データ
バラムガーデン入り口
機械のゲートが無機質に並ぶ空間
ガーデン内へ出入りする人々を自動的に判別するシステム
それと同時に、ゲート脇には常時1人以上の人間が詰めている
話を聞く為に詰めかけた彼等は、ゲート脇に設けられた監視室へと通された
こんな感じに見えていたのね
壁一面を覆う機械類
そして、ゲート側の壁面いっぱい透けて見える外の光景
人通りの無いゲートの様子が詳細に見える
「それで?知りたいのは何だった?」
物珍しげに辺りを見渡す私達へと、のんぴりとした声が掛けられた
「ああ、覚えてるどうかしらねぇが……」
私達は知っている限りの言葉を使って、謎の男に関しての情報を求めた
ゲートを見張る様に設置されたカメラの映像は、年単位で保管されている
ただし、データ数が膨大な為、時期、期間が判明しているならばともかく、今回の様に何時のデータを確認すれば良いのか不明の場合は、データを洗い出すのに時間がかかりすぎる
こういった場合すぐに役に立つのは人の記憶
「他の奴の仕事時間の場合に出入りしたなら役に立たないぞ」
人の記憶は曖昧な上に、ガーデンを出入りする人間はそれなりに多い
まして、目的の人物が出入りしたと思われる期間はガーデン内部が混乱していた
そして、24時間のゲートの監視をしている彼等はその仕事上、交代制で仕事をしている
「あいつなら、随分前に立ち去った」
思わずお互いに交わした視線
「まだ騒ぎが起きる前だったな」
いつ頃?と問いかけるよりも早く、続けられた言葉
騒ぎが起きる前
「……いったい何時の騒ぎだ?」
ずっと立て続けに起きていた騒ぎ
それでも随分前と言う位だから、ガーデンが動き出す前なのは確実
………そんな事は当たり前だったわね
「ガーデンを訪れてさほど時間が経たない内だ」
畳みかけるような私達の言葉に、ゆっくりとしたペースを崩さずに応える彼から得られた答えは……
「何時の事だと?」
そして、目まぐるしい変化の中で忘れていた疑問を
「………ガルバディア大統領の演説の後だな、風神達がガーデンを出ていった後だったな」
思い出させた
部屋の外に友人達の姿は既に無かった
きっと、僕等が居ない事に気付いてないんだろうな
アーヴァインは微かに苦笑して、ゆっくりと廊下を歩き始める
「ところでさっきの話なんだけど……」
人気のない場所にひそめた声と靴の音が聞こえる
「はっきりした事は言えないもんよ」
共に感じた“気になる事”
その内容は、厳密に言えば全く違う事なのだろうけど、多分そんなにかけ離れた事じゃない
「でも、良く考えるとおかしな事が多いもんよ」
「うん、僕の方もちょっと可笑しいなって思う事あるんだよね」
それに、あのときは良く考えなかったし、サイファー達に聞かなかったけど………
話題になっているのは、雷神が一緒にガルバディアガーデンへ行った人の事
………スコールと共にガルバディアガーデンを出立した人
「何て名前の人だっけ?」
今はまだ勘だけど
僕の勘ってそんなにはずれないんだよね
ようやく見えてきた正面入り口に友人達の姿は無い
「確か、オルロワって名乗ったもんよ」
言葉と共に雷神はゲート脇の小さな扉を指さした
To be continued
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