事情


 
仲間達と考えた作戦は失敗
―――計画した作戦自体は成功したけれど、計画の前提の所から失敗していた
解放されるはずだったティンバーではレジスタンス狩りが始まって
私達はみんなに進められて街を逃げ出した
安全な場所へ
今までと同じ様に、時間が経って街が落ち着くまで
コレまで何度も失敗した他のレジスタンスと同じ行動
ちゃんと自信があったし、何度も打ち合わせて、その上SeeD迄雇った
今度の作戦は絶対に上手く行くはずだった
上手く行かない訳は無かった
………けれど失敗
「とりあえず、バラムガーデンに向かいましょう」
まだ依頼契約は切れていないはずだから、きっと悪いことにはならない
なんて最もらしい言葉を聞いて、確かにバラム方面に逃げるのが安全に思えたから、此処に辿り着いた
バラムガーデンに来るのは2度目
初めは依頼の時
あの時は、少し苦労したけれど、あいつの口添えもあって、破格の条件でSeeDを雇えた、らしい
そして、今回
ガーデンにたどり着いて学園長への面会を申し込んで、実際に会えるまでに数日
ようやく会えたと思ったら、顔を合わせたのはほんの数分
「状況が改善される迄の間、ガーデン内に滞在して下さい」
人の話をろくに聞かずにそんな事を言った
色々と頭に来る事はあったけれど、ガーデンで安全を保証してくれるっていうのは有り難いから当然その申し出は受けたけれど
部屋に案内されて、学園内を出歩く事は禁じられた
僅かに立ち入りを許可された空間も、必ず誰かが着いてくる
監視されてるみたいで冗談じゃない
そう思って、抗議したら“命令です”と“許可されていません”しか言わない
それなら、学園長本人に掛け合うから会わせてよ、って言った所で完全に無視
ティンバーの状態とか、あいつの行方とか私達だって知りたいことがいっぱいあるのに、誰に何を聞いても何も教えてくれない
「もう我慢の限界!」
そんな生活を何日か続けて、どうにも我慢ならなくて仲間達とここからの脱出を相談した
バラムガーデンを脱出する方法と、脱出してからの行動、今度は失敗しない様に念入りに計画を立てたのに、実行に移す前にドアには鍵が掛けられ、文字通り部屋の中に閉じこめられた
呼んでも叫んでも開かない扉
外から時折聞こえる喧噪
訳が解らないまま時間が過ぎて
気が付けば窓の外には一面の海
そして、それからようやく扉が開いた

「依頼内容は、ガルバディア大統領のデリング統治下におけるガルバディアからの独立、それに附随しガルバディア大統領の拉致、でしたね」
今までの扱いに対する文句をあっさりと受け流し、学園長が契約書をテーブルの上に置く
初めての時に交わした契約書
私が持っている簡略化された契約内容よりも、細かく規定が記された物
「そうですけど?」
私達レジスタンスの望みは、ティンバーの独立
その第一歩として、大統領の拉致が作戦の内容だった
………偽の情報に踊らされて失敗したけれど
「では、あなた方と取り交わした契約は無効となります」
契約を交わした時と同じ笑顔があっさりととんでもないことを口にした
「どういう事!?」
両手を叩き付けたテーブルの上から契約書が宙に舞った

何も知らずにいた時間
知らない間に起きていた様々な出来事
ガルバディアの大統領は既にこの世には無く、ガルバディアは魔女の支配する国に変わった
取り交わした契約書に潜んでいた大きな落とし穴
“ガルバディアの支配者がデリングである事”
前提条件として隠されていた言葉
どんなに抗議しても、双方納得の上で取り交わした契約ということで受け入れては貰えなかった
もうSeeDの助力は受けられないし、依頼者として保護も得られない
「安全な場所に辿り着いたらお知らせしますよ」
会見の最後に告げられた言葉
つまりそれは、ここから出ていけって事!?

「ガルバディア軍だ!」
何処からか聞こえた声に窓の外を見た
外の光景に見覚えのある兵士の姿
「何が一体どうなってるんッス」
状況が解らずに居る私達の耳にも聞こえる戦いの音と、放送
「………魔女が居るんだ」
ガルバディアの新しい支配者
私達の望みはティンバーの独立
もうSeeDの力は借りられない
支配者が変われば方針だって変わるし、もしかしたら上手く行くかも知れない………
「ねぇ、ちょっと………」
私はメンバーを集めて、新しい作戦を提案した
 
 

To be continued


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