魔女イデア(3)


 
強い圧迫感を感じる
ただ単純に戦う相手と言うならば、目の前の敵には隙も多く、攻撃を仕掛ければ当たりそうに見える
だが、本能がそうは行かない事を告げてる
攻撃が当たった所で効くことがないのか………
隙だらけの筈のそれは、隙では無く自信
倒れた“騎士”達を冷たく見下ろし、イデアが小さく1歩足を踏み出す
―――武器の届かない距離
絶妙に計算された距離は、自分達が持つ武器が直接当たらないぎりぎりの位置
魔女との間に張りつめた緊張感
魔女へと向けた意識を逸らすことなく、仲間達と視線で意思を交わす
各々の武器が直接当たらなくても攻撃する事は出来る
例えば、魔法で
例えば、衝撃で
だが、それはきっと決定打にはならない
魔法は魔女に属するモノ、魔法の力を間借りしている自分達によりも魔女の力が圧倒的に強い
魔法で直接敵に渡り合うのは圧倒的に不利と見て良い
ゆっくりと魔女が手を上げる
独特の空間の歪み、魔法の力が魔女へと集められる感触
もし正面から魔法の力に対抗出来るとするならば、それは同じ魔法的な存在、G.F.しか居ない
まずはG.F.の召喚
立ち位置を変え、確実にG.F.の召喚に入る
そして牽制
攻撃に対し、絶対の自信を持った魔女の態度
それでも攻撃を叩き込めば、その動きの妨げに成り得る
例え武器が届かなくても、攻撃が弾かれるとしても、魔女の気を逸らす役目は果たせる
それに、召喚の邪魔をさせる訳にはいかねぇ
空気を切り裂く鞭の音が軽く響く
そして、空を突き抜ける小さな物質、火薬の臭い
煩わしそうに腕を振る魔女の手から広がりこぼれ落ちる魔法のきらめき
魔女の身体の周囲に生じる透明な薄い皮膜
すべての攻撃を弾くバリアの様なモノ
思った通り、攻撃は吸収され魔女へは届かない
だが、コレで魔女の攻撃は封じる事が出来る
攻撃される事が無ければ、少なくとも負ける事はない
―――どうにかして勝たなきゃ意味はねぇけどな
魔女の正面、顔の位置に攻撃によって生じた波紋
苛立たしげに、魔女が眉を潜める
無意識に動いただろう腕が顔を庇う
ほんの一瞬気がそれた瞬間
―――武器を握る腕に力が入る
―――牽制の為の攻撃が鋭さを増す
―――召喚の呼びかけに気が籠もる
生じたのは本物の隙
辺りの気配が変わる、空間を切り裂き現れる異空、走り抜ける力の衝撃
G.F.の力が魔女を直撃する
衝撃に揺らぐ身体
一瞬のチャンスを見逃さず繰り出された各々の攻撃
持てるだけの力がたたき込まれ
それぞれの“力”がぶつかり合い、爆発する
爆発した力の破片が分散し、身体に襲いかかる
強い閃光が辺りを埋め、視界が白く染まる
巨大すぎる轟音がもたらした、静寂
白い視界の中で、崩れ落ちる人影と、崩れ落ちた人から抜け出し消えていく影が見えた
 
 
To be continued


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