会議6



 
“魔女”
それが全てのキィー

現在未来の魔女はアデルの中に居る
けれど自分達が立てた作戦を実行するには、アデルの中に居たままでは不可能だということが判明した
エルオーネが知る過去のイデアの中へと、という意見も出ているがそれは出来ない
それをやってしまえば過去が変わる
イデアにアルティミシアがジャンクションしたという記録や感覚は一切無いのだから………
「ジャンクション相手はアデルだ」
これだけは譲れない、譲ることが出来ない
例え、この言葉が全ての事柄の始まりだとしても―――
「ではどうする?新しい魔女が居るとは言うが、魔女を連れて行った所で未来の魔女がその居場所を移す可能性は低いが?」
低いというよりも、きっとそれはあり得ない
「そうだな、自主的には無理だろうな」
だが、どうしても移動しなければならないならどうだ?
「無理にでも移動して貰うことになるだろうな」
未来の魔女がその器を移動するようにしむける
その為に必要なモノは………
「それで新しい魔女はどうしているんだ?」
魔女アデルから確実に魔女の力を継承する事のできる人物

悪夢が続いてる
私じゃない私
誰かが行う行為
誰かの中にある強い感情
けれど、その誰かは私で
私は誰かの行動を止められない
怯えて震えて、そして絶望の中で祈り誓った

目に飛びこんで来た強い光
「気が付いた様です」
ボンヤリと巡らせた視線の先に見えた白い服を着た男の人
近づいてくる人の姿
幾つか話し掛ける言葉が聞こえた
「頼みたいことがある」
一つだけはっきりと聞こえた声
ようやく認識した視界の中に見覚えのある人達がいた
「私ができる事なら、頼まれてあげるけど?」
暗い世界から抜け出した事を感じて、何も考えないままに、言葉が滑り落ちた

作戦は決まった
魔女アデルを倒し、アデルの力ごと未来の魔女を新たな“魔女”が引き受ける
そして、その魔女ごと過去のイデアの元へとジャンクションする
直ぐに、アルティミシアを残してジャンクションを解除
あとは、アルティミシアが動くのを待つだけ
言葉にして並べたてれば極簡単な事だ
だが実行するには生半可な覚悟では到底出来ない
まずアデルを倒すということ
そして、新たな魔女の元へ無事に継承が行われるかということ
最後はタイミングだ
例えジャンクションがうまく行ったとしても、解除するタイミングを一つ間違えれば、二度と戻れなくなるかも知れない
そして新しい魔女の協力
SeeD達は自分達が話してくると言って出て行ったが、それが上手く行くかどうかは解らない
「………難しいな」
イデアの記憶が可能性を示す限り、過去に起こらなかった事は極力避けた方が良いに決まっている
イデアが示したアルティミシアの姿は、それは“勝利”という言葉へと文字通り繋がっているのだから
それならば実行が難しかったとしても、新しい魔女を経由して、アデルへとジャンクションを行わなければならない
それが、温厚だった魔女の生き方を変えるものだとしても
―――ジャンクション先を変更すれば、突如アデルが戦いを起こす事が無いのだとしても
「やらなけりゃならねぇよな………」
人が散り閑散とした巨大な部屋の中で、ラグナは一人窓の外を見つめていた
 

 To be continued


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