魔女の騎士2



 
鋼の打ち合わされる音
微かに見える火花
3対1の戦いは、少し卑怯な様に感じていたけれど………
雷神、風神の息の合った攻撃
真逆の方向から襲いかかる刃
避けるのに苦労しそうな攻撃は至極あっさりと回避される
勿論避けた先を狙って銃弾を撃ち込んではいるんだけれど………
軽い音を立てて床へと転がる弾丸
“魔女の騎士”へ向けて撃ち込んだ弾は、後少しでその体へ触れるというところで停止する
床へと転がる音
―――“魔女”の身体へと届かない弾丸
あの時と同じ現象
「卑怯だよね」
その身を守っているのは明らかに魔女の力
自分のものじゃない力を使うのって、卑怯だよね?
風神が魔法を発動させる
魔法の力に気付いた“彼”が腕を振る
腕から零れ落ちる魔法の煌めき
“魔女”以外使えない力
“魔女”にしかできないやり方
“彼”の背後に“魔女”が見える
「しぶといもんよっ」
気合いを入れた声と共に雷神がその身体を殴り付ける
僅かにふらついた身体
今だっ―――
僕はろくに狙いも定めずに、何度も引き金を引いた

『ママ先生の事は俺が守るんだ』
目の前に立ちふさがったのは、良く知っている子だった
『悪い奴は近づけたりしない』
無邪気に笑う顔
『絶対に守るから、安心していてよ』
真剣な眼
イデアの事が大好きでいつだってすぐ近くに居た
いつ何が起きるか解らないからってそう言って、肌身離さず剣を持って
守りたいからって、毎日稽古を重ねていた
それなのに………
―――どうして?
目の前で繰り広げられる激しい戦い
辺りに響く金属音、剣が光を反射して不気味に光っている
“敵”として“悪い魔女”の手先として立ちふさがるなんて、あって良いはずがないのに
『魔女には悪い魔女も居るけど、良い魔女だっているんだ、ママ先生は良い魔女だろ?』
光の粒があの子の身体にまとわりついている
『悪い魔女が来たら―――』
遠い記憶の世界で見た魔法の力
「どうしてあの子があそこにいるの?」
視界を覆うような眩しい光と、誰かの声
そして―――
誰かの悲鳴が聞こえた

 To be continued


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