未来へ
合図と共に、エルオーネとリノアが倒れ込んだ
ジャンクションの発動
これで作戦通り、“魔女アルティミシア”は過去の世界へと移動したはず
後は、その時を待つだけ
時間圧縮が始まる時を―――
「それで、未来へ行く人員なんだけれど………」
倒れたイデアから離れた場所で、SeeD達が口早に今後の方針を話している
未来へと向かう人員
そして、アルティミシアと戦う人員
―――全ての決着を付ける為の戦い
声高に交わされる意見
スコールはエルオーネの側を離れ、彼等の方へと足を向ける
背中に感じる視線
「―――俺も行く」
SeeD達が一斉に振り返る中で、背後から止める声は聞こえなかった
意識の上を嫌な気配がなぞっていく
今のが“アルティミシア”
一瞬感じ取れたのは、様々な負の感情
氷つきそうな暗く冷たい心
―――呼び声が聞こえる
アデルの絶望や、後悔とは違う暗い感情を断ち切る声に導かれて、元の場所へと戻った
接続が切れる
直ぐに意識が覚醒する
………複数の人の話し声
そして、開けた目に飛び込んでくるよく知っている人達の顔
ほっと息を吐いて、エルオーネは身体を起こす
「成功したよ」
暖かな手が髪に触れる
「がんばったな」
穏やかで優しい声に笑みが浮かぶ
返事を返そうとして
「始まるよっ!」
エルオーネは周りの景色が歪むのを感じた
エルオーネの声に緊張が走る
時間は無い、時間圧縮が始まる
後の仕事は未来へ辿り着き“アルティミシア”を倒すことだが………
サイファーはスコールへと視線を移す
着いて来るなと行ったところで、時間圧縮が始まればあっさりと未来へと辿り着くことが出来る
至極面倒だが、本人が納得しなければ意味が無い
時間も足りねぇって言うのに………
「悪いが、スコールも連れて行って貰えるか」
驚いたように、スコールが後ろを振り返る
「それは、誰か見届ける人が居なければ信用出来ないと言う事かしら?」
「いやそれはねぇよ、第一“魔女”が斃れた事は時間圧縮の解放で自動的に解る事だろ」
キスティスの冷ややかな声にラグナが苦笑する
「ただ、俺達も“魔女”との関わりは嫌になるほど深いって事だ」
笑顔の中に、暗い影が見え隠れする
「戦えるだけの力は付けているつもりだ」
少しは戦えるのは間違えねぇけどな
部屋の壁がぐにゃぐにゃと波打ち始める
時間圧縮の始まり、か………
「足手まといになったら見捨てるぜ」
時間がねぇし、仕方ねぇ
「解ってる」
護衛しろだの、怪我しねぇ様に護れだのと言うんじゃないなら問題は無いだろう
後は何が起ころうと自己責任だ
目に見える光景が大きく曲がった
To be continued
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