はじまり7
流れ込んできたのは長い魔女の歴史
彼女達の絶望と後悔
………そして怨嗟の声
過去から続き、今を通り過ぎて未来へと続く歴史
そして、未来から再び過去へ、この時間へと戻る幾つもの道筋
幾重もの跡を残し、数を増す毎に弱くなる力
―――今度こそ、終焉を
幾つもの魔女の声が聞こえる
魔物達―――モンスター達もを倒す事は出来る
どれほど強い魔物にも“死”は訪れる
戦いの果てに
そして、時の流れの果てに………
魔女の力の源は魔物の力
強い魔物の力が幾つも幾つも交じり合って生まれた力
力と共に魔物の性質を受け継いだのだとしたら?
果てのない時を生き続けるのは、魔物の長い寿命のせい
どれほどの怪我を負っても死ぬことが出来ないのは、魔物の強い生命力と回復力のせい
魔女達の意識の下で、長い時をかけて思い至ったこと
魔女の成り立ちを知る私以外、きっとたどり着くことの出来ない真実
それならば、長い時の果てに“魔女”が滅ぶことも在るだろう
そして再び訪れる長い時の果てで、1人の力弱き魔女が死んだ
その光景はどれほどの希望を私にもたらしただろう!
そして、彼女のおかげで知り得たことがもう1つ
その魔力を使えば使うほど“魔女”の生は短くなる
魔女の力は奪い取った力、使ってしまった力が自然に補充されることはない
―――再び魔物から奪い取らない限りは
私は彼女達の意識に働きかけた
より多くの魔力を放出するように………
再び流れる長い時間、訪れた戦乱の時代
遠い記憶の果て、ただの人だったころの私に似た魔女の存在
力を望み、争いを好むその魔女の意識へ私は数々の働きかけをした
ほんの少しでも早く魔女の滅びが近づくように―――
遠く未来の魔女、時間の果ての最後の犠牲者
魔女アルティミシア
あなたのおかげで“魔女”は消える
今この時が、魔力の流れが消え去る時
私が抱えた罪の力は遠い時の先、あなたの中で消滅する
後少し、ほんの少し………
その道筋に、さぁ“魔女”にとどめを
よろめき歩く、力尽きようとする“魔女”が見えた
銃声にざわめく声が聞こえた
―――まずい
音に誘われて、誰かが顔でも出したらやっかいな事になる
早く決着をつけねぇと、まずいな
突然、魔女の身体が強い反応を示す
聞こえてくる声が大きくなった気がする
「来るんじゃねぇっ!!」
とっさに上げた声は聞こえただろうか?
来るなと言った所で素直に聞くはずもねぇな
俺や、セルフィ、そしてキスティスなら十中八九近づいてくるはずだ
魔女の視線が俺へと定まる
先ほどよりも安定した足取り
魔女がなんらかのアクションを見せるよりも早く、ガンブレードを振り落とす
先ほどとは違う感触
―――いける
そう思った瞬間遠くない場所で、ガキの声が上がる
気を取られたほんの一瞬、魔女の身体から魔法が飛んだ
「サイファー!?」
目に飛び込んできたのは“魔女”の姿と攻撃を受け膝を突いたサイファーの姿
状況の把握も出来ないまま、スコールはガンブレードを手に“魔女”との距離を詰めた
To be continued
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