英雄と契約
(剣 SideL)
厳重に隠された扉の先に、一振りの剣が祭られていた
読む事ができない、一冊の古代の文書
挿し絵として載っていた地図、2つの遺跡
一つは、見つかったばかりの遺跡のモノ
もうひとつが………
『どうやら当たりのようだな』
……この場所
「地図が間違ってない限りは当たりだろうけどな…………」
遙か昔の地図のため、当然地形が変わっていたが、その辺りの事は現存する遺跡等と照らし合わせて割り出した……らしい
『その辺は大丈夫だ』
自信たっぷりにウォードが言い放つ
「どうせ俺が調べた訳じゃないからとか言うんだろ?」
『よく分かっているじゃないか』
ラグナは、軽く肩をすくめ、祭壇へと一歩近づいた
その場所で足を止める
何が起きるかわかんねーしな
立ち止まったまま、しばらく様子を見るが変化は現れない
同じ行動を繰り返しながら、少しずつ祭壇へ歩みよる
罠が仕掛けられていないかどうか
モンスターが潜んでいないか
特殊な仕掛けが存在していないか
勘と運を武器に、辺りを警戒しながら、祭壇へと歩みよった
捧げられた剣
台座に刻まれた文字……らしきモノ
「で、コレはどういうモノなんだろうな?」
腕組みをして、台座を見つめる
『関連があるのは確かだろうが……』
ウォードもまた、台座の文字をのぞき込む
「…………」
『…………』
数分に及ぶ長い沈黙
「こういうのは、一か八か……」
剣へと手を伸ばすラグナの手を慌ててウォードが止める
「眺めてたってしょうがないだろ?」
何か言いかけたウォードを制し、躊躇うことなく剣を取り上げた
柄に施された流麗な細工
華やかに彩られた刃先
「……実用品ってわけじゃないのか?」
剣には鞘が存在しなかった
遠目で鞘に見えたのは、金属の輝きも、質感も持たない刃先
ウォードは無言で肩を竦める
「これも実験してみねーとわかんねーか」
『理屈ではそうなるな』
視線はラグナの手にある剣へと注がれる
「……まぁ、どうにかなるだろ」
楽観的な言葉が、石造りの壁にこだました
次へ そのころのスコールは?
|