英雄と契約
(ガーデン SideS)


 
憔悴した姿にスコールは眉をひそめる
その全身には無数の傷が走っている
出来たばかりの新しい傷
帰還したばかりのSeeD達は誰もが尋常ではない傷を負っていた
……どういうことだ?
読みを間違い、新たに自分たちが請け負うことになった任務だということは承知している、だが、ここまでひどい惨状になる程、実力に違いがあるのはほとんどあり得ない
『なんともいえない状況で……』
煮え切らないシドの言葉が思い出される
出現するというモンスターが予想外に強かったというならば、はっきりとそういうことができるはずだ
だが……シドはそうは言わなかった
そして、まるで生気を失ったかのように、重く沈んでいるSeeD達の姿
……どういうことだ?
3人が抱いた疑問、問いかけ
ゆっくりと顔を見合わせる
視線のみでの会話、譲り合い
ゆっくりとキスティスが彼等の方へと近づいていく
近づいていく靴音にゆっくりと顔があがる
「聞きたい事があるんだけど、良いかしら?」

彼等が立ち去った後の室内に、重い空気が立ちこめた
「……スコールはどう思うんだ?」
おそるおそるといったアーヴァインの声
スコールは、無言で首を振る
とぎれる事無く現れるモンスター
徐々にその数を増やす……
彼等が恐怖に震えながら話した内容
神殿の奥から現れ、数を増すモンスター
「……疑ってる訳ではないけれど、信じられないわね」
キスティスの言葉に、アーヴァインが深く頷いている
モンスターであってもソレが生物である限りは、個体数に制限がある
モンスター同士だからこそ、弱肉強食の力関係は強く
モンスター同士であっても、種族が違えば……種族が同じであっても……捕食関係からは逃れられない
どれだけ倒しても減らない程のモンスターが一カ所に生息している可能性は極めて低い
それなら、生き物ではない可能性は?
機械仕掛けのモンスター
正体は狂った機械、暴走した機械、そういった類のものだ
遺跡がいつの時代のモノなのかという情報は無い
だが、機械が存在する時代のモノならば?
スコールはすぐに思い直す
あまりに古い時代のモノは、エネルギー供給を絶たれていると考えるのが普通だ
「地下が広いなんてことはないよね?」
アーヴァインの問いかけともつぶやきともとれない言葉に二人は首を横に振った
いくら地下が広いとしても、空間には限りがある
無限にあふれ出るということは無い
だが……
「矛盾するわね」
彼等の身体に刻まれた傷跡が
彼等の体験が真実のモノだと教えている

真実を知るためには
「……行ってみればわかる」
実際に状況を見てみなければわからない
 
 
 

 
次へ そのときのラグナは?