英雄と契約
(約束)
遙かな昔、眠りについたのは偉大な1体のG.F.
果てしなく長い時を過ごした彼は、休息の為の眠りを欲した
彼にとってはほんの一時の眠り
他の者にとって、それは果てしなく長い眠りの時間
人々は彼の眠りに不安を覚え
他のG.F.達は、彼等の王の決定に沈黙を守った
彼の王は、眠りの前に一つの約束を示した
1つは、何事か起こった時に彼を呼び出すための2つの手段
1つは、眠りから目覚めた彼と再び契約を交わす為の方法
2つの約束を残し、彼は深い眠りについた
残された人々は、彼の王が残した一振りの剣を大切に祭り
彼が眠りについた土地に巨大な神殿を築きあげた
彼の王が眠る神殿の周囲には、残されたG.F.達が居住地を造り
眠りを妨げるモノが現れぬよう見張りについた
―――時が過ぎ
G.F.達は、自らの手で清めたこの土地から離れていった
月日はさらに流れ
人々は次第にこの地の事を、彼の王の事を忘れていった
残されたのは、2つの約束
彼の王を目覚めさせ、契約を結ぶために自らの肉体より作り出した一振りの剣
そして、彼の王を目覚めさせ、契約のきっかけさえも作る一体のG.F.
剣は、その意味を忘れた人間達に大切に保管され
G.F.は、人間が足を踏み入れぬ地へとその姿を隠した
遙かな時の果て
その存在すらも忘れられた遺跡の中で、一振りの剣は光を放った
遙か遠く、海底に沈んだその場所で、新たな契約は結ばれた
いくつかの偶然
いくつかの必然
彼の王は、長い時の間の出来事をG.F.達から知らされる
口元に浮かぶのは穏やかな笑み
驚きに目を見張り、困惑し、声を立てて笑う
世界のいずこかに生じた新たな大地
周囲に張り巡らされた強固な結界
人間達が足を踏み入れる事のできないこの地で、G.F.達は、穏やかな時を過ごす
微かにつながれた精神の糸
正常に結び直された契約は、G.F.達が世界に存在する事を妨げない
彼の王の存在により、すべては正しいあり方に戻された
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