英雄とセントラの謎
(セントラ)


 
セントラは、どこの国にも属さない
あの場所は今はもう存在しない“セントラ”という国の所有地になっている
長い間、変わることなく
誰一人、どこの国も、あの場所を自国の領土とはしなかった
―――する事が出来なかった

かつて、セントラの地を手に入れようとした者達
そんな人々が居なかった訳じゃない
例えば、支配欲の強いガルバディア
例えば、巨大な力を失ったドール
広大な大地を求めなかったはずが無い
だが、何処もあの土地を掌中に収める事は出来なかった
セントラへと訪れた者達、比較的近い過去、あの場所へと居住しようと試みた者達
セントラは人の住む場所ではない
彼等は揃って、同じ言葉を口にする
―――何故?
純粋な疑問に明確な答を返す者はいない
言い難そうに口をつぐむ者
思いもかけぬ事を聞いたとでも言うように、戸惑った視線を向ける者
あの土地は恐ろしい
聞くことの出来た言葉は、理由のない感情
確かに、セントラに生息するモンスターは類を見ないものも多い
質の悪い、強力なモンスターもまた多い
だがソレは、軍を投入した国が諦める理由にはならない
何かもっと深い理由が在る

「結構その筋では有名な話だけどさ」
告げられた言葉はセントラという土地の特異性
セントラでは“月の涙”の発生回数が多い
セントラではモンスターに襲われる確率が高い
人が生きる事を邪魔するようにどこからとも無く発生するモンスター
その存在が、セントラを人の住む土地では無くしているという、噂
真実は解らない、だが………
「実際に、集落がモンスターに襲われて壊滅したなんて事もあるみたいだぜ」

手に入れる事ができたのは憶測を含んだ情報
その情報がどこまで正しいのかは、まだ解らない
 
 

 
 
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