(依頼 SideS)
「変わった依頼だな」 「そう?護衛して欲しいって事だもの、そう変わってはいないんじゃないかしら?」 危険な場所へ行く為、もしくは要人からの依頼ということで護衛を依頼される事は良くある これも同じ、危険と思われる場所へ行く際の護衛を依頼している 確かに、そういった意味でなら良くある依頼かも知れない 「依頼内容はそれだけじゃない」 もう一つの依頼内容と、依頼者の職業 SeeDへの依頼として考えれば、珍しい部類に入る筈だ 「………そう、かもしれないわね」 依頼書を覗き込んだキスティスが、歯切れの悪い返事をする だが、内容としては悪いものじゃない 問題は 「依頼料が払えるのかどうかだ」 職業欄に書かれた文字は、“歴史学者” 『シーガン・ホーキス』という依頼者の名前も聞いたことが無い もしかしたら、ゼル辺りなら知っているかもしれないが、有名な人物でない事は確かだ 「そうね、SeeDにも様々なランクがあるとはいえ、学者個人で負担するには少し厳しいかもしれないわね」 歴史学者個人が護衛としてSeeDを雇用 よほど危険な土地へ行くつもりなのか それともよほど危険な事をするつもりなのか そして、依頼内容に付け足しの様に書かれている一文 “古代セントラもしくはエスタに対する知識を有する者を希望する” “古代セントラ”という一文だけならば、歴史学者であるという事を考えれば、話し相手が欲しいのか、それとも学者としての仕事の一端を手伝わせるつもりなのだろうという解釈が出来たが、“エスタ”という文字が気になる “エスタ”はセントラの技術を継いでいる国だから、その件に関して関わりがあるということなのか それども、エスタに眠るセントラの遺跡が目当てなのか 「………本人に直接聞いてみない事には解らないな」 「そうね、連絡を取ってみましょう」 キスティスが依頼書を手に取り、部屋を出て行く 「………歴史学者か………」 “セントラ”という国に対する幾つもの謎が思い浮かぶ そして、さらにそれに関係する様々な謎……… 歴史学者なら、その謎の幾つかに答えが出せるんだろうか? 最近“セントラ”には随分関わっている 関わるに連れて浮かび上がる疑問 ――――不審点 自分には関係のない事、関わりが無い事 今までだったらそう言って切り捨てていた事だ だが……… “セントラ”には何かが隠されている モンスターの姿が思い浮かぶ 古代セントラに対する一般的な常識は何かが間違っている “セントラ”が関わっていた幾つかの出来事 考え込むスコールへ依頼人と連絡が取れたとキスティスが告げる 「………随分早いな」 「今バラムに居るらしいわ」 今すぐに、来る事が出来るという言葉にスコールは納得し頷いた |