英雄とパンドラ
(モンスター)


 
複数のモンスターが一所に集まっている
ということはそれほど珍しい光景じゃない
だが、モンスターが1つの所に群れをなして集まっているとなれば話は違う
これほど珍しく、異常な光景は見受けられない
「気持ちの悪い光景だよな」
両手に握ったマシンガンの動きに合わせて、幾つかのモンスターが吹き飛ぶ
「先ほどよりも増えている様な気がするな」
モンスターを巧みに避けながら、冷静にキロスが言う
「それが気のせいじゃないってんなら、ものすごーく問題だせ」
増えたモンスターはどこから現れたのか
………そもそもなんでこんな所でモンスターが増殖しているのかっていう問題もあるんだけどな
車が一台、モンスターの群れの中を強行突破してくる
「相変わらず無茶をする」
軍用車に乗っているこっちはモンスターにぶつからない様に慎重に避けてるっていうのに、民間車に乗ってる向こうがモンスターの群れを強行突破なんて、な
キロスの言葉に同意しながら、ラグナは向こうからの進路を塞ぐモンスターを排除する
後を追ってきたらしい兵士達が、モンスターの群れへと攻撃を始める
モンスターの様子が変わる
この場を逃れようと、逃げを打つ気配を感じる
「ここで一気に叩いた方が良さそうだぜ」
ラグナが告げるのとほぼ同時に、キロスがモンスターを掃討する様指示を出す
一度ここに居る全部のモンスターを退治して、今後の様子を注意深く見守れば良い
今この場所で増殖しているっていうのなら、倒し続けていればすぐに解る
んな非現実的な事おきてたまるかってトコだけどな
ただ、気になるのは、後方のルナティックパンドラ
あれは“月”からモンスターを呼び寄せる機械だ
全ての機能は破壊され失われた筈だが、万が一っていう可能性がある
ま、今考えることじゃねーな
キロスの指示を受けて、車両がモンスターを取り囲む様に配置される
スコール達の乗った車両が、モンスターの中を突破し、そのまま通り過ぎていく
モンスターの動きが完全に変わる
「よし、行くぜ」
モンスターの群れへと、打ち込まれる銃弾、火薬、炎
逃れようとするモンスターへと容赦なくぶつけられる攻撃
「………嫌な光景だな」
モンスターが上げる絶叫が響く
顔をしかめながらも、ラグナは怒り狂い攻撃を仕掛けるモンスターを確実にしとめていく
不意に、炎が大きく燃え上がる
密集したモンスターの群れの上を舐める様に広がっていく
「片づいたな」
キロスの言葉に、ラグナは手にした武器を降ろす
モンスターの上に放たれたのは魔法
兵士達の中にこれほど見事に魔法を操る者はいない
「あいつらもさ、使えるならさっさと使えば良かったのにな」
ラグナの言葉に、キロスは軽く肩を竦めた
 
 
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