(調査)
ラグナ自身がルナティックパンドラの中へと足を運ぶのは、“あの時”以来だ 攻撃と墜落の衝撃でぼろぼろになったこの場所の調査をしたのは、ウォードが率いた兵士とエスタの科学者 使い物にならない程の破損 動いている機械 内部に生命体が居る様子も無いという報告を受けて、とりあえずの見張りをつけて放っておいた 手が空いたらすぐに廃棄するはずだったんだけどな 二度と使う事が出来ないように徹底的に破壊して、今度は宇宙の向こうにでも廃棄するつもりだった だが“魔女”の置き土産や後始末が一段落して、始末する段階になって横やりが入った コレを残すことを声高に主張したのがガルバディアだったなら、適当な理由と共に、処分が出来たかもしれない 主張したのは、ドールと各地の学者達 “セントラの遺産”を残すべきだ そう口を揃えて言っていたが 「相変わらず嫌な所だな」 強引に“月の涙”を発生させる装置 モンスターを呼び寄せる装置 こんな物を残した所で、何一つ益になるような事はない こんな物を解析し理解した所で、ろくな事にはならない 半ばひしゃげた扉と、裂けた隙間からコードをはみ出させた壁が見える 滅多に人が訪れる事の無い内部の空気は淀んで、嫌な臭いを発している 一つ一つの部屋を確かめていく事は、必要だろうが効率が悪い “モンスターの異常発生”という事態との関連を確認するなら、“月の涙”を発生させる装置の所に行くのが正解だろう ラグナの足は幾つかも扉を素通りし、奥深くへと向かう 幾つかの足音が無言のままラグナの後を追う あの時“魔女”が居た部屋を通り過ぎる 部屋中に残った戦いの跡 踏み出した足の下で何かが砕ける音が聞こえる 背後から着いてきた兵士達が微かにざわめく 扉が3つ ここから先は、ラグナは行ったことの無い場所だ 「………どっちだ?」 ウォードが無言のまま、1つの扉へと踏み込んだ 明かり一つ見えない暗い部屋
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