英雄と伝言
(遺跡情報 SideL)


 
エスタの奥深く隠された部屋
誰も知らないこの場所に、時間を見つけて滑り込んだ
「ガルバディアの端なんだが………」
ドールの彼らに教えられた場所
なんの因果か、スコールと鉢合わせした場所
地図上に正確な位置を書き記す
「なんか情報を持っていないか?」
ラグナの問いかけに微かに機械音が聞こえる
検索中
もしくは問い合わせ中
回答がラグナの目の前に示される
「科学者?」
とある科学者が住んでいた土地
「何かの施設か?」
問いかけに対する答えは否定
なにかを研究していた施設というわけじゃないらしい
住んでいたってことは単に家があったってことか?
それならあの場所に何か貴重なものが残されているということは考えにくい
「………誰の家なのかはわかるのか?」
名前を聞いたところで、その人物を知っているはずはない
セントラ時代の人間で、現在までその名前が残っている人物なんて、エスタ限定でも、ほとんどいない
名前が表示される
知っている気がする名前
「………何者だ?」
すぐさま情報が表示される
その発明品のほとんどは役にたたないものばかりで、変人として有名な科学者
「変人?」
しかし、後世においてはその技術の殆どが有益なもので、現在の基礎技術を確立している
「どっかで聞いた話だな?」
彼の公的立場は―――
書き連ねられた情報に思わず声を上げる
「って、オダインの祖先!」
室内の明かりが瞬く
―――傍系のそのまた傍系という立場ではありますが、間違いではありません
表示された文字がどこか嫌そうに見える
「ああ?………いや本人が自慢げにいうもんだからな」
人以外にも嫌われているらしいぞ
心のうちで何となくオダインに話しかける
以上の事と合わせて、事実の一端ではありますが、そう言われると全力で拒否したくなります
変人の科学者で、オダインの祖先
そんなことを聞けばイメージはオダイン一直線だ
本人の一端を知っているのならば、否定はしたくなるかもな
まぁ、そんなことはどうでもいい
「あそこに何があるか、知っているか?」
彼等が知っている、なんて思ってはいなかった
ただ、いつものように確認しただけだ
文字が表示される
そしてすぐ側に“鍵”が置かれた
 
 
 
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