英雄と伝言
(ガーデン SideS)


 
しばらく休暇が欲しい
そう申し出るつもりだった
最近のSeeDには仕事の依頼は少ない
例え依頼があったとしても、スコール達が必要とされるような依頼はほとんど無い
スコールが休暇をとったとしても、ガーデン運営に支障は出ない
「依頼?」
訪れた嘗ての学園長室でスコールの出鼻をくじくように言葉を掛けられた
「そう、スコールを指名しての依頼よ」
SeeDへの依頼は、ランクが上がる程に高額になる
SeeD個人を指定すれば、一定の料金が上乗せされる
その料金を払える相手となると、依頼者はある程度決まってくる
「どこだ?」
「いつも通り、エスタだよ」
アーヴァインの言葉に、スコールの眉間にしわが寄る
「そんな顔しなくても良いんじゃないかな?エスタはちゃんとSeeDの実力に見合った仕事をくれてると思うよ」
SeeDという名前に意味を持たせた仕事では無く、実力が必要な仕事
確かに、エスタ絡みの仕事は実力が必要なものが多い
だが………
「依頼が入ったのはいつだ?」
スコールの言葉に、幾つかの視線が交わされる
「今日よ」
エスタからスコール宛の依頼が今日入った
あの場所で会ったラグナは何も言ってはいなかった
「依頼者は誰だ?」
エスタのどこからの依頼なのか
「ちょっと待って」
アーヴァインが手元にあった依頼書の束をめくる
「エスタ研究所からの依頼って事になってるみたいだけど………」
「っていうと、オダイン博士かしら?」
オダインが依頼者なら、ラグナは知らずにいた可能性はある
「責任者はオダイン博士じゃ無いけど、この人は名前だけって可能性があるよね」
「そうね、オダイン博士を対外的な責任者にする事はしないでしょうね」
「オダイン博士に説明されたとしても、何言われてるのか理解するのが大変だよね」
好き勝手言い合う2人を無視し、スコールは依頼書を手に取る
依頼書に書き連ねられた文字
依頼内容は、調査の補助及び護衛
依頼書の中には、調査内容は記載されていない
特殊な環境下における調査であること、モンスターが出没する危険性
派遣を希望するSeeDは複数人
依頼としては、隠匿された部分が多いが、依頼する側にも何が起きるか推測出来ない状況や、外部へ情報の流出を防ぐ目的で、エスタからの依頼は大抵がこの調子だ
問題はあるが、その辺りは大して問題にはならない
「フィーニャ?」
依頼責任者欄に書き込まれた名前
「知ってるのかしら?」
キスティスの言葉に、彼女の姿が思い浮かぶ
「………ああ」
彼女は、厳密な所属は解らないが研究員では無いはずだ
この依頼は、必要なモノなのか?
「そう、詳しい依頼内容は現地で行うそうよ」
依頼を受ける事は既に決定事項、か
「他に誰が行く事になっている?」
この依頼がどこから出た物なのか、必要なものなのかは実際に行けば解る
「そうね、他のメンバーだけれど………」
「………解った」

数日後、スコールはエスタへと向かった
 

 
 
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