Endless SHOCK

at 帝国劇場 2007.01.08 / 2007.01.25 / 2007.01.26


 今回は内容としては大きな変更なしですし、われながら2006年のレポがよくできているので(オイ)、ただ感想をずらずら列挙です。「*」は光一さん作曲のナンバー。書く前にDVDで復習しようと思って一応見ましたけど、見れば見るほど「これは今回ワタシが見てきた『Endless SHOCK』とは全然別のものだ」と感じました。大きな変更なしのハズなのに。
 相変わらずライブカメラあり。ロールシャッハテストのような不気味な幕はなくなってて、NYの摩天楼が緞帳(というか全面を覆うスクリーンですね)に映し出されてた。不穏なベルは健在。



OVERTURE
  「SHOCK OVERTURE」「SHOCK MEDLEY」
 8日、光一さん登場時のファーストインプレッションは、「…寝起きですか?」って感じ。いや絶対ワタシの勘違いなんだけど、ちょっとボーッとしてるような。光一さんが舞台でボーッとしていることなんて絶対ありえないんだけれども。髪の毛が若干モシャついてたからかなあ。コンサート時のような洗いっぱなしのサラサラヘアで、頭頂部がちょっとクシャっとしてたんですよね。ちょっとねぐせみたいに。
 個人的には舞台の時はバリバリヘアメイクして欲しいなあと思っているのですが、光一さんは回を重ねるごとにナチュラルになっていってる気がします。ドーランは塗ってるけどアイメイクとか全然してない。それにヘアメイクだけじゃなくて、今回は衣装もまるで光一さんの普段着のようでしたからね。黒いジーンズに、ジャケットでも黒とか茶とか。せいぜい赤のがあったぐらいで。以前はオフステージのコウイチの衣装は、白とかピンクのジャケットとか、革ジャンでもカラシ色とか舞台栄えするものが多かったと思うんですけどねえ。ありのままの自分をぶつけてこその「Endless SHOCK」だ、という思いからなんでしょうか。いずれにしても髪の毛で目の表情があまり見えなかったのはちょっと残念でした。
 …と思ったら、25日に見たときは、ちょっと髪が軽い感じになってました。8日は結構髪が黒くて長めでサラサラで、いつかのヒカル兄さんみたいな感じだったと思うんですけども。切ったのかな。屋良くんは26日、バッサリ髪切って登場してました。オンナノコみたいー。かわいいー。25日はまだ「FAME」終わりのモシャモシャヘアーだったのでこれは一目瞭然でした。



OFF Broadway・アキヤマの劇場のショー  ........  バックステージ
  「So Feel It Coming*」「NEW HORIZON」「My Pleasure」
 劇場のオーナーであるアキヤマの口上。このとき秋山さんはオシャレメガネをかけておりまして、メガネをかけ外しすることで、オーナーとしての役割と、役者としての役割を切り替えるというようなことをしていました。
 8日の光一さんは「NEW HORIZON」の3回転ターンとかでもちょっとぐらついてたり、なんか上がりきれない感じかなー、と。マチネだったからかな。それともお疲れなんだろうか。かなり早い段階で汗だくだったのも気になった。あ、でもこの曲の終盤、コウイチがソロで歌った後、くるっと後ろを向いて両手を広げてばっと駆け出して、愛すべきカンパニーの面々を迎え入れるところがなんかぐっときたなあ。一瞬なんですけど。「カンパニーが最も幸福だった頃」の情景として印象に残りました。
 26日は斗真さんがステッキを取り落とし、その後しばらく光一さんは斗真をじーっと見つめながら踊ってました。その後の打ち上げシーンでは、斗真は自分から「千秋楽なのにステッキ落としちゃってごめんなさーい!」って言っててかわいかったですね。まりかちゃんも「そういうトウマもステッキ落としてたじゃない!」とか言ってました。ちょっと前まで舞台で共演してただけあります。芝居の息が合ってるというか、普通に仲良いんだろうなって感じ。
 ここのトウマとリカのラブコメみたいなやりとり。ここで「ああ、斗真は普通の人だなあ」と強く感じたんですよね。翼は立ってるだけで圧倒的な「華」があるけど、それが故に人間ぽくないというか…。観てるときはそれが普通だと思ってましたけど。「そうそう、普通の人間の感情表現ってこうだよなあ」となんか妙にホッとした自分がいました。
 バックステージに現れたコウイチは、「舞台のバラシやっちゃおうぜ!」ってことで、白いヘルメットにガチ袋をつけたスタイルで登場。ぴかいちさんを思い出した…。でも結局そのセットをアキヤマに押し付けて、結局「千秋楽にカンパーイ!」となってました。それから8日は、コウイチが飲んだシャンパングラスをそっとポケットに忍ばすマチダにお客さんが大ウケ。25日はさらにエスカレートしてて、箱馬に乗って踊るコウイチのオシリのニオイを嗅ぎ回り、26日には隙あらばオシリにタッチしようとしてました。もう自分でも自分を止められないのね町田さん…。



劇場の屋上
  「N.Y. Night」
 やっぱりここの、特に歌のシーンが好きですね。光一さんここの歌すごく上手ーい。もしかしてパク?「Endless SHOCK」が日本の「RENT」にならないかな、とかちょっと夢見たりした。輸入モノじゃない、日本発の、しかも若い世代による、自分たちのためのミュージカル。そういうものができないかなと。このシーンとかにその片鱗がみえたりしたんですよね。「SHOCK」は表向きは「作・演出 ジャニー喜多川」となっておりますが、実質は、「作・演出・音楽・主演 堂本光一(を中心とするチーム)」であるわけで、こんなことを商業ベースでしている人は国内では光一さん以外いないと言っても過言ではないと思ってます。
 それにしても仕事帰りに見たときは、このシーンの夢とか希望とかがささくれだった心にいちいち沁みて、「ああもうそんなに優しくしないで!ワタシをそんなに癒さないで!」って思いました(笑)。



Broadwayの街 ........  裏路地
  「It's a Wonderful Day」
 ブロードウェイに観劇にきたカンパニーご一行様。様々な名作ミュージカルへのオマージュ的なシーンがダンス主体で挿入されます。元ネタはほとんどわかりませんが、唯一わかるウエストサイドな感じのところがカッコよかったです。以前は「コレの何がいいのかなあ?」とか思ってたんですけどねえ。観る側・演る側ともに理解度がUPしたのかな。なーんかエンジンかかりきらないような感じを受けていた8日の光一さんは、このブロードウェイメドレーあたりからは全開だなあという気がしました。
 このへんで 「So Feel It Coming」とか、「CONTINUE」とかを変奏して歌います。このミュージカルをゆくゆくは全て光一さんの曲で作り上げたい、というような方向性なんだろうな。あ、でも「CONTINUE」は、裏路地におけるナオキとの出会いによってインスパイアされてできた曲、って感じに提示されてて、ナオキとの絆をより強固にするいい材料だなと思いました。
 相変わらずワタシにはあまり理解できない「オン(ブロードウェイ)の先に何が見えるのか」というコウイチのセリフ。これをどう言うのかと思ってじーっと観てたんですが、あんまりオンとかオフとかに興味がないんだなあ、ってわかるサラリとした感じだったのが良かったですね。それよりも、ナオキとの出会いによって新しいショーの構想が沸いてきたことに気を取られてる、ってところも。



Broadwayの劇場 第一幕『World Adventure』
  「AMERICA」「Jungle」「Step on the Earth」「Love and Loneliness」「Shrine」
 とってもワクワクする「AMERICA」。光一さんの曲はどこかじとっとしているところがあるので、こういうノーテンキな曲があるとよりスカッとします。腕を右、左と広げて上にクーッと持ち上げる振りが目に焼きつきました。家でやってみた(笑)。最後の方、まりかちゃんのカウントが怪しくなってきて、まるで親の気持ちで手でカウントとってたワタシです。
 「Jungle」。今まではネットでのフライングだったと思うのですが、今回はステージ中央にスモークおよびレーザー光線がスコールのように集中的にたかれたかと思いますと、そっから光一さんが飛び出して、ターザンロープでのフライングになってました。バトンの華麗な振り回しにも萌えましたね。
 「Step on the Earth」。Chineseでは秋山さんとまりかちゃんのペアでタップをしてました。チャイナ服(ドレスではありませんが…)のまりかちゃんはもうくしゃくしゃってしたくなるくらい可愛かったー。観てるだけで笑顔になってしまうというか。「頑張れ貧乳!」とかって声かけたくなった(笑)。リカ役は芝居要員だったハズですが、今回はダンスシーンが以前に比べ3、4シーン増えてると思います。ダンスはシロートさんみたいだからすごく大変なハズ。それだけに、とにかく笑顔は絶やすまいとニッコニコしてる様子がケナゲです。Brasilは黒人ダンサーさんの高速タップと屋良くんのダンスバトルになってました。ダンサーさんは相変わらずカーニバル仕様な衣装なんですけど、屋良君はダウンなんかを着てて、実際にストリートで踊ってる時みたいなカッコでしたね。なんか屋良君がダンサーさんに迫っていきながら頭を数回はたいていたけど、アレは何だったんだろう?踊りながら頭はたいた方が勝ち、っているルールのバトルだったんだろうか(違うだろうが)。
 「Love and Loneliness」。今回、初めてこの曲をとてもイイと思いました。「我が愛しきDiva」に比べて地味だなあという印象でずっと来てたんですが、光一さんの情熱が非常に伝わってきました。両足を踏ん張った時の腰の落とし具合あたりに。特に25日はここだけでなく、ダンス全般のキレが大変素晴らしかったです。
 「Shrine」。逆さ吊りになってグルグル回るロープアクションは、以前はステージの真ん中あたりでやってたように思いましたが、今回はステージのかなり前方、ほとんど客席の上あたりでやってました。おかげで下方向から光一さんの顔を見ましたよ。グルグル回っちゃうと表情までは追いきれませんでしたが、最初上がっていくときの表情は、表情っていうか「形相」って感じですごい緊張感でした。



バックステージ(Intermission)
 「立ち止まったらそこで終わりがきちまうんだ!」と叫ぶコウイチ。なんか声の出し方が堤真一みたいなドスの利かせ方になってるところがあって、「こーわーいー」と思いました(笑)。いや、でも全然OK。ここでコウイチは割とストレートに怒るんですよね。ある種身勝手さを感じてしまうほどに。そこがイイなと。コウイチは別にスーパー・マンじゃない。只のステージ・バカなんだと。理想を追い求めるということはある種エゴイスティックな営みです。コウイチもそういうエゴのある人間なんだ、ってことがわかって、個人的にはちょっと嬉しかった。
 そして「走り続けるって、疲れないか?」とヤラに言われて、ちょっとだけみせるコウイチの戸惑い。あるいは自分の気持ちがわかってもらえないことへの苛立ち。私自身としてもここは、カンパニーメンバーと同じ目線で、「どうして?」という気持ちでコウイチを見てしまっていたんですが。だからこそ、ふと「コウイチの孤独」というものに気付いてちょっと愕然としてしまいました。彼のことを本当に理解できている人は誰もいないんだろうなあ…。



Broadwayの劇場 第二幕『Japanesque Show』
  「プロローグ」「合戦」「死闘」「罠」「落城」
 帝国劇場とは思えないぐらいの鬼気迫る殺陣シーン。パンフで光一さんは「ちょっとのけぞるぐらいのものを見せたい」と言ってましたね。でも、以前よりは集団戦のウワーッて感じが若干整理されて、展開を見やすくしてくれたような感じがしました。ほとんどが刀使いの中で、槍使いのアッキーがカッコ良かったな。
 8日に見たときは、この合戦シーンではワタシ、9割方斗真さんを見ちゃってました。殺陣の上手さもありますが、ヒールとしての姿かたちのカッコ良さ。ボロボロの着物とか、わざと汚しとか刀傷がつけてある銀の鎧がめちゃくちゃ似合ってて。刀を肩に乗せる姿とかもキマってた。一番すごかったのは、大階段の上から瀕死の武将(コウイチ)を見下ろしている時の顔ね。「悪」な感じがああ憎たらしい!だけどどうにもかっこいい!翼の時は、このシーンでこの武将役をこんなに憎たらしいと思ったことも、カッコいいと思ったこともなかったなあ。
 次に見たときは反省し(オイ)、8割方光一さんを見てました。それでも8割。よく見ると別に斗真は殺陣が上手い、ってほどでもないんだよなあ。光一さんの方が断然型はキレイです。でもなんか強そうなんだよな。それから、大階段の上から見下ろしてるシーンですが、これは8日見たときと全然違う印象を受けました。なんかねえ、「コウイチはやっぱすげーよ」って感じてるふうなんですよね。武将の役というよりは、素のトウマとして、コウイチのステージングを「嫉妬」と「尊敬」がないまぜになった思いを持って見ているという印象。特に表情作ってるわけじゃないんですけど。これは幕が開いてステージをこなすにつれ、彼自身そういう思いを光一さんに抱いているからなのかもしれないですね。



Prologue
  「死への招待」「In the Cemetery」
 30分の休憩を挟んで、ここから2幕。光一さんもメイクし直して出てくるわけですが、やっぱドーラン白いなあ。mirrorコン、冬コンと実はずーっと気になってる。首の色より濃いの塗ったほうがいいですよー。光一さんは元々役者顔なんで、白すぎて新派みたいだったッス。あ、でも25日・26日に見たときは、髪型はここからオデコをガッと出してていいなあと思いました。やっぱ目の表情が見えないと魅力半減ですから。
 ゴーストに翻弄されながら、どこか大慌て!って感じで踊ってるのが大変ツボ。ステージから足がはみ出るくらい前の方に出てきて踊ってるところがありました。冬コンでもMCの時前に出すぎて剛さんにツッコまれてたなあ。



Off Broadway・アキヤマの劇場 『シェイクスピア・シアター』
  「ハムレット」「リチャード三世」「ロミオ&ジュリエット」
 「ハムレット」。「MILLEMIUM SHOCK」から連綿と続いてきた「父の腰にすがりつく」というシーンが遂に消失。これはジャニーからの卒業なのか。
 「リチャード三世」。翼もなかなか振り切った芝居をしてるなあと感心してた演目ですが、斗真さんがやるとまた全然違う。なんか説得力が格段に。以前は「馬だ、馬をひけ!」っていうセリフが浮きに浮いてて、何のことやらサッパリだったのですが、今回はすんなり意味が通じました。
 「ロミジュリ」。やはりロミオ様の死に顔は横顔でした…。ちょっと正面向いてくれるだけでいいんだけどな…。キスシーンは完全にエアーでしたね。必ず観客の涙を絞るジュリエットの自害シーンですが、まりかちゃんではちょっと泣けない人多数のような。多くの人がネックになってるまりかちゃんの「声」については、ワタシは知っていたので気になりませんでしたけど、セリフのテンポが遅いかなあと思うところはあって、ちょっとまどろっこしかった。ただでさえシェイクスピアなんてまどろっこしいですからね。



バックステージ
  「Don't Look Back*」「Reunion」
 あの刀の事故から1年。ピアノの上にコウイチの写真が置いてあるのですが、その写真が稽古場で頭にタオルを巻いた姿で思いっきりダブルピースをしている、というもので、客席からは目に入った途端にくすくす笑いが。突然現れたコウイチが、「これじゃ俺が死んだみてーじゃねーかよ」って裏返したら、裏は秋山さんの写真でした。「暗闇なのに浮かび上がって見える!」とピアノをガーンと鳴らしながら驚愕してた。このコウイチの再登場シーン、8日見たときは赤い革のジャケットだったような気がするんですけど(気のせいかなあ)、25・26日は白いライダースジャケットでした。ステージ映えという点でも、ゴーストを示唆する意味でもこっちの方がいいなあと思いました。何より大変似合ってましたし。
 突然現れたコウイチに驚きながらも、後ろからコウイチをぎゅーっと抱きしめるリカ。リカとはアドリブのやりとりはあまりありませんでしたね。そこにアキヤマらがやってきたので、コウイチはまるで「痴漢してません」ってアピールするように両手を上に挙げます。8日はコウイチ、「あ、今取り込み中で…」って言ってましたけど、25日はユラユラ左右に動きながら、「新しい振り付けの練習をしてたんだー」と。26日はそのままリカをおんぶしようとして、「亀仙人みたいに訓練してたんだ」と言ってました。毎日ちがーう。「こんなに元気だ!」と何故か四つんばいになって床を這い回り、ケツを向けて「ナーイスアングル」を連発したりもしてました。光一さん、ナニゲにケツネタ多過ぎです。
 ラターニャがいなくなった分、ここは光一さんとMAの再会ダンスに変更になってました。劇場に長い間ほっとかれてた帽子とステッキを持って踊るんですが、その帽子に大量のホコリがついていてむせるという演出つき。



Broadwayの劇場 トウマのショー  ........  バックステージ
  「Watch Me!」「Why don't you dance with me?*」「What 10 wanna say」
 1年後のトウマは、1幕のナチュラルな感じで下ろしてたメッシュヘアをガーッとツイスト入れたオールバックにして、毛先を上のほうにハネ上げた、なんとも戦闘的なスタイルに。1幕の髪型好きだったけど…よりヒール感が強まった感じ。このショーのシーンをまじまじと見て思いましたが、斗真さんはダンスで言うとMADでも真ん中あたりの上手さかなあ。福ちゃんよりは上手いと思うが、松崎くんなんかに比べるとそうでもない。
 「SHOCK」のナンバーとしては最も好きな「Why don't you…」。サビのところで、顔をはさんで腕を上下から前に出す振り付けが非常に印象的ですが、そのときの光一さんの目線がこの曲の全てですね。顔を後ろに残して、目だけキッと前を見るんですよね。その白目が一瞬ながら網膜に焼きつきます。ここの振りをこんなふうに踊る人は、少なくともこの板の上にはいなかった。これがセンターに立つべき人なんだなあと改めて思いましたね。
 コウイチが踊っている間、トウマはコウイチに全くあわせる顔がない、というように、小さな子供みたいに身体を固くして立ち尽くしています。自分の罪に怯えている。斗真さんはこういう芝居がいちいち説得力ある。それでもコウイチの執拗な挑発に応えて、遂に踊り出します。自分は踊るのをやめて、そのトウマの踊る様子をじっと見ているコウイチ。ここの光一さんの佇まいが非常に男らしくて素敵でした。決して、ただ温かく見守ってるわけじゃないんですよね。この1年のトウマがどのように過ごしてきたかを値踏みするよう。対抗心もある。でも根底には、きっと期待に応えてくれるだろうという信頼がある。2人の関係にはちゃんと対等な部分があるんだってのもわかる。セリフのない芝居は光一さんすごくいいです。
 歌終わりからのシーンは、芝居として最も盛り上がるシーン。以前から、ここをキチンと制することができればツバサは「Endless SHOCK」の主役になれる、とすら思ってたんですが。今回のトウマはそれをちゃんと理解して臨んでいたと思います。ブラボー。8日に見たときはまんまと「トウマが主役だ」と思っちゃいましたからねー。感情過多で息苦しいって人もいるかもしれませんが、ワタシはやっぱり自分の感情をステージ上で存分に解放できる役者が好きなので、斗真さんは見てて気持ちが良いです。ちょっと客席の方見て芝居しすぎかもしれないけど、のっぺりした感情垂れ流しじゃなく、機微に富んでるしね。8日は福ちゃんとかももらい泣きしてた。
 しかしここで一番泣けたのは、実はリカのセリフでした。まりかちゃんは毎回へたりこんで、光一さんに支えられながらの熱演です。前半の無邪気さがある分、コウイチを失った悲しみがとても深いのがわかる。そのリカが「前に進まなければ」と言わなければならない辛さや切実さが、周りを動かすんですよね。トウマは「コウイチが死んだなんて信じねえよ!」と取り乱すも、コウイチに諭され、結果「一緒にステージに立たせてくれ」と懇願するんですが、ここの皆への頭の下げ方とかも涙腺に来ましたね。
 この時点でかなりテンションが上がってしまい、「Endless SHOCK」はもう理屈じゃない世界に突入していきます。それがこのステージの醍醐味だということは重々承知なんですけれども、やはり、コウイチの「俺も全てを受け入れるさ!」と「思いっきりやろう!」というセリフはどうにかしなければならないのではないかと。再演見て納得したつもりでいたんですけど、やっぱり死んでる人が中心になってるってことがどうも引っかかってて。…「死んだなんてウソだよな?」という問いに答えず、これ以降のコウイチは全てを悟っているような人物造形にしちゃって、実はコウイチはカンパニーメンバーにしか見えない幻であって、ショーステージが展開されるけど、他の人にはセンターはただ空いているようにしかみえないとか(トウマがミラーをやるとか)…そういう感じでも感動的かなあと思います。あと、「全てを受け入れるさ!」って言う時に、すがりついているリカの手をそっとほどいて上手に立って移動する感じがちょっと段取りくさくて残念。あの体勢のままで、しっかりリカを抱いてあげて欲しいと思いました。でも顔はしっかり横向けて欲しかったな。上手側から見ると完全に後姿でしたから。
 ああ、でも「What 10…」が始まってしまうとやっぱりそんなことはどうでもよくなってしまうんですよねえ。もうカンパニーメンバーの前向きさが眩しくって。それだけでいいじゃん、って思えちゃう。「Endless SHOCK」、恐るべし(笑)。一人で踊り出したコウイチにトウマ、アキヤマらが加わっていく時、「踊ってる場合なんかじゃないと思うんだけど…もうやるしかねえ」、みたいな気持ちのねじれが表情に出てて非常にぐっときました。特にアッキーは凄い形相だったッス。ヤセて一層顔がリアルになったんじゃないでしょうか。1回プレス発表を挟んでのカンパニー全員による大サビの時に、コウイチのもとにトウマが駆け寄ってひざまづくんですが、まるでのようで大変ツボでした。



『It's a New World on the Earth』
  「NAOKI」「Ribbon Flying」「KOICHI and NAOKI Session」
 髪が伸びた直さん。ステージングは非常に即興性が強い(お客さんの反応如何でもありますね)ので、毎日違った味わいです。25日はスティックを取り落としてすぐさまニュースティックを手品のように取り出しましたが、ステージ自体は早めに切り上げてた。26日はしょっぱなから技が冴えまくっててビックリしました。
 光一さんが登場し、まずは客席にに背中を向けて一番大きい大太鼓を叩きます。この時の背中がなんか、大変光一さんです。なんと言うか、光一さんなんです。「背中で引っ張る」という言葉がありますが、その背中っていうのはこの背中なんだなー、と。そんなことをつくづく思う背中です。この時、足をがっと広げて踏ん張ってるんですが、その踏ん張り具合も大変光一さんでした。しかし、かつて「腕の筋繊維が切れる」とまで言っていたリボンフライングの直後にあの大太鼓を叩くんですから、一体この時の光一さんの腕はどんなことになっているんでしょうか。
 その後のドラムセッションもこれまでの中で一番見ごたえのありました。高いところに並んでるドラムを直さんと光一さんが時に腕が錯綜しながら叩きまくるところとか。あと何といってもラストの床置き和太鼓の乱れ打ち。ここにきてダンスとパーカッションが遂に融合したという気がしました。素晴らしい躍動感。ここで使用された太鼓はYAMAHA(REMO?)のやつで、ロビーにも展示されてましたね。メーカーとのコラボレーションもいい感じで、「和」と「洋」の融合がこういう楽器そのものにも表象されてたということで、ドラムセッションとしてはある完成形を見たのかなと思いました。



  「Ladder Flying」
 これまで、ラダーフライングが「すごい」ということはわかってました。でも何がすごいのかは良くわかってなかった。8日、ほぼ真下から見て、光一さんを吊っているワイヤーのレールの動きに感嘆しました。推進の反動、左右への動きを把握し尽した上での調整がひっきりなしに行われているんですね。この辺がすごいのかと、ちょっとわかったような気になってたんですが。25日、初めて2階席から見て、「Endless SHOCK」は一度は2階席で見るべきだったんだ!って心から思いました。光一さんはラダーを飛び回りながらも、しっかり芝居をしています。その真剣な表情。なんだかわかんないけど泣けてきた。すげー。アンタすげーよ。心から「ラダーフライングはすごい!」って思いました。「今回は2階に降り立つ」ってことも聞いてはいて、なんかフワッと着地、みたいなものを想像してたんですが。実際はそんなヌルいものではなく、ほんと数十センチの幅しかない足場に思い切ってジャンプしてくる、って感じでした。その心意気にも泣けた。25日はどっかに足ガーンとぶつけたような音もしてたし。
 このラダーフライングの出だしのところがまたイイんですよね。今回ワイヤーを光一さんにつけるのは米花くんです。ワイヤーをつけ終わった様子の後ろの米花くんに、光一さんはちょっとだけ顔を向けて、「行ってくる」という感じで、頷くとも笑いかけるとも、どちらにも満たない合図をするんですよね。それはただの飛び出しの確認なのかもしれないんですけど、カンパニーの面々に支えてもらっているから俺は飛べるんだ、っていうコウイチ(=光一さん)の思い、カンパニーに対する全幅の信頼や愛情みたいなものが伝わってきて、もうなんかタマラン一瞬でした。光一さん、「SHOCKやってると、一緒にやってる皆のことを本当に大好きだって思う」って言ってましたけど、それがあの一瞬に出てたんじゃないかなあ。だからその後のラダーフライングが余計泣けるんだよな。



  「MASK」「夜の海*」
 ここのインターミッションからマスクイリュージョンという流れが、「Endless SHOCK」のショーとしてのシーンメイクで最も難儀しているところなんじゃないでしょうか。今回は、インターミッションをトウマとリカの日舞でシンプルにまとめてみたけど、どうもしっくりこなくてダンサー追加したみたいですし。っていうかあの音楽に日舞はキツいッス。花柳先生に振り付てもらった手前なかなか変更しにくそうだが。個人的には、その後マスクの怪人が出てくるわけですから、それを活かしていきたい所ですよね。マスクの怨霊にとりつかれたコウイチを、トウマとリカが祓う、ってことでやっぱり剣舞の方がいいなあ。マスクイリュージョンでは、竜とか出てこないでシンプルな感じになってて良かったと思います。
 「夜の海」。このナンバーは不変なんですね。mirrorコンで「下弦の月」に大変感動したので、差し替えアリかなとも思ってましたけど、光一さん自身は全然念頭になかったみたいですね(「Love and Lonliness」も実は「One more XXX...」に差し替えかと思ってたんですが)。今回は間奏にトウマ、リカ、ヤラ、ヨネハナ、マチダ、アキヤマの(主にコウイチに対する)想いがセリフで語られます。個人的には、コウイチの最後のステージを余計な説明なしにフルに堪能したいという気持ちが強いんですが…。あんまり説明的なのもなあ。特にリカは「私は現実を受け入れて生きていく」と、前のシーンを踏まえた語りをしてくれるんですけども、ここまで繰り返されると「女=現実的な生き物」っていう定型にハマリ込んでる感じがしてちょっと嫌。「現実」っていう言葉は強すぎて、夢のステージに載せるときには結構注意が必要だと思うし。でも、コウイチに対する畏敬が込められたアキヤマの独白明け、光一さんのパフォーマンスは、その言葉に背中をさらにぐーっと押されたように更なる高みへと向かっていくのがアリアリとわかり、なかなかエキサイティングでした。
 ここは大きな変更点。「夜の海」のラストで、空から桜の花びらが舞い落ちてきます。その花びらを仰ぎ見ながら、全てを悟ったようにちょっとだけ微笑んで、コウイチは「その時」を迎えます。最後の光一さんの手の演技が見れなくなったのはちょっと残念ですが。



  「大桜」
 皆が真っ白な衣装で登場するなか、ステージの中央に真紅の衣装で倒れているコウイチ。その亡骸にトウマが駆け寄り、抱き上げます。コウイチのオデコにアゴを載せるように何度も顔を寄せてましたね。コウイチのことを誰よりも慕っていたのはトウマだったんだなあ…。トウマにはコウイチに対するそういう「愛」と、愛ゆえに屈折した「憎」が感じられたところが本当に良かった。
 亡骸はMAに運ばれて、大桜の元へ。この亡骸ゆえの丁重な扱われ方を見てて、「ああ光一さん、大好きだったMAの皆に運ばれて…」とかもう現実とごっちゃな想いがこみ上げてきてしまいました。ショーのフィナーレ、カンパニー全員がこのステージをコウイチに捧げるべく、そっと大桜に向かって手を差し伸べるシーンもとても泣かせました。



フィナーレ
  「CONTINUE*」
 26日に大変驚いたんですが、ここの出だしが生歌でした。確か25日までは生歌ではなかったハズ。一体何が起きたんでしょうか。思わず「頑張れ」と手に汗握ってしまいました(失礼)。間奏でコウイチが「皆が一つになったこのステージ…いいショーだったな」というセリフがあるのですが、「この」の言い方にとても含みがあったのが気になりましたね。「この」ステージってのは、劇中のコウイチのラストステージを指すだけではなく、今日この日、たった今行われた「この」ステージのことでもあるんでしょう。毎回ステージのラストに感じる感慨をそのままセリフに載せていたのかもしれません。
 「CONTINUE」を歌っている時、斗真はずっとトウマのままなんですよね。ずっと半泣き。かわいいなあ。犬だなあ(笑)。あれだけ役に入り込んでいると、終わった後は毎回魂が抜けたようになっちゃうんじゃないかと余計な心配をするところですが、カーテンコールではもう斗真は斗真なんですよね。いっつもなんか恐縮しているような感じで頭を下げてささっと捌けていってました。最後のラインナップのところでは、なんか足をピョコピョコさせながら出てきたり。イマドキな感じですね…。



 実は8日に見たときには、目新しさもあり、とにかく天真爛漫!といった感じの斗真の輝きばかりにが目に付いてしまって、光一さんなーんか地味だなあ、なんて印象すら持ってしまってたんですが。25日のラダーフライングを見て、ああ、ワタシは今まで一体何を見ていたのだ!と。光一さんは、いつだって自分のやるべきことを十二分にやっていました。しかも、「だって、オレができることつったらこれぐらいだし…」とか言い出しそうな勢いで。普段ストレートプレイばかり見ているので、ついつい芝居中心で評価してしまいがちなワタシですが、「SHOCK」の感動はそういうのを超えたところにあるよなあ、と改めて思った。うん。いつもやっぱりこういう結論。だってフライングで客を泣かせる役者がどこにいるよって話ですよ。芝居自体も、どんどん力が抜けて良くなってると思いますけどね。
 ただ、7年目を迎えてあまりに内容がエスカレートしてきているので、演ってる方も観ている方も何が凄かったのかがわからなくなってる気がします。この辺で1回普通の感覚に戻りたいという気もしますが、どうでしょうか。
以 上