雨なんて全然心配するような天気予報ではなかったはずなのですが、時間予報を見るたびに、 ライブの時間だけ降水確率が70%とかになっていき、これは降るかも、とカッパを買って臨みました。 ずっと工事中だったロームシアターができてる。変わらないようで変わりゆくもんですね。 ステージ上には竹を並べたいろんな形のオブジェが所狭しと置いてあります。竹の中はLEDの明かりがともされていて、なんとも日本昔話的な雰囲気。 剛さんの白いマイクスタンドの周りには、shipで使ってたあのお立ち台が配置されています。高まる期待。 暗転。メンバーがスタンバイ。最後に剛さんが登場します。
01.I gotta take you shamanippon
いきなりこの曲かっ。イントロのギターリフは封印して、軽やかなアレンジになってましたが、しょっぱなからアゲアゲであることには変わりない。 つよっさんはギターは持たずにノリまくってて、お立ち台にも早速のってましたです。
そして間奏に「TU」のフレーズも歌ってたりと、なかなか遊び心があります。
カッコは上が黒っぽいゆったりとしたTシャツ、下が深緑のワイドパンツで、そこに赤い布をアクセントで垂らしてました。
布には絞りの跡もみえて、素材といい染めといいナチュラルテイスト。 竹のステージセットと共になんだか奈良っぽいなと思いました。靴はよく見えなかったな。腰にはゴッツイ水晶のアクセ。
タイジさんのシャウトはなかったんですが、ピッチリ短パンがセクシーでした。
02.Clap your mind
とってもメロウなイントロが流れてきたので何なんだろうと思ったら、とってもスローになったこの曲でした。
つよっさんはステージ左右に設けられた少し小高い台のところに大きく移動しながら歌ってましたね。
いつもなら胸をトントン!と叩くところを、指を胸の上で滑らかに動かしていたのでオレは一回そこで死んだね。
歌部分がすっごくスローになった半面、間奏部分では激しいアレンジで、緩急のついた面白い構成でした。
03.Believe in intuatuion…
剛さんはベースを持ちます。とても和風なインストで、剛さんのボーカルが入ってようやくこの曲だとわかった次第でした。 碧瓦には織りの文様のような、家紋のような和の文様が、黒と金の抑制的な色彩で浮かんでは消えていきます。
ゆっくりと左右から、鬼の面をもったダンサーさんが登場。ダンサーさんの格好は和のテイストが入ってますがレオタード風。 そして鬼の面は能面というより神楽の面のような荒々しいもので、白面と黒面がありました。
ゆっくりとした動きから、左右の台にそれぞれ面を固定すると、熱を帯びる演奏に合わせて激しく踊り始めます。 また、面を持ちつつセンターにきて、演奏する剛さんの後ろで踊る場面もあり。
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この辺りにきてふと気付いたんですが、この曲の最初に碧瓦に映った大きな輪。 あれは日蝕を表したものだったのではないかということです。この曲の後半に再びその輪が現れ、
そこからいろんな異形のものがあふれ出てくる…みたいなイメージの映像になってたかと思います。 日蝕の時には鬼や化け物が跋扈するという言い伝えもありますよね。
「直観を信じろ」というシンプルな楽曲と、その眩暈のするような音の回り方、なんとも京都にぴったりなパフォーマンスと演出が、 「目に見えないものを感じよう」というメッセージとなって、ライブが終わって何日も頭の中に残ってましたね。
04.TUKU FUNK
ギターに持ち替えての和風なソロから始まります。この曲ではレーザーの演出がすごい綺麗だったなあ。 一本の線じゃなくて、縦長の面になってるレーザーがあったんだよね。
思わず正面の門に当たっている方の光を振り返って確認してたりしました。
この曲の途中では、スティーヴが竹でできた打楽器を前に出てきて、立て膝でソロプレイする場面もあり。
オリジナルの楽器ぽいけど、非常に綺麗な音で、どこかで聴いたことのあるような懐かしさもあった。 初日はこの辺で雨がぽつぽつときて、スティーヴさんはしきりに空を見上げてました。しかもちょっと嬉しそうに。
05.音楽をおわらせよう
剛さんはセンターよりちょい下手に置かれたエレピに座り、思うままにソロプレイ。
途中からクリックが入ってきて、一体何の曲かな…と思ったら、「音楽をおわらせよう」でした。
あの日のZepp Nagoyaにいた者としてはこの曲はスペシャル中のスペシャルなわけで、テンション上がりましたね。
でも歌詞は、♪どうしたんだい 時代よ…以外はほとんど新曲に近い改変がなされていました。
この曲は、「音楽をおわらせよう」というタイトルにはなっていますが、
「終わりたくない音楽がある」のに、処々の事情で「終わらせなきゃいけない」という惜別の念から、
あの日あそこで生まれた音楽だと個人的には思っているんです。 その証拠に「おわらせよう」というフレーズは、最後の最後にならないと出てきません。
ですから、この曲の根幹に時代や世の中に対する強烈な憂いが渦巻いているのは間違いないにしても、
「音楽をおわらせよう」というタイトルにまつわるいろいろな剛さんの想いってのは、それとリンクさせた後付けだったんじゃないかと思ってるんですよね。
でも、今回の改変では最初の方から「♪音楽をおわらせよう」と何度も歌っていて、 ということは、
その後付けの想いをもって最初から作ったら、この曲はどうなっていただろうか…?というifを示したものなんじゃないかと。
そんな風に思いながらみてました。しかもその歌詞がとてもイイ。
どうしたんだい 時代よ どうしたんだい 時代よ
僕らが僕らを傷つける 笑顔をおわらせよう
信じられない時代を 感じられない時代を かばうなら見蕩れあうこの今もいらない
どうしたいんだろう 未来を どうしたいんだろう 未来の僕らを
あきらめた振りしているだけなら おいでよ 一緒に行こう
どうしたんだい 時代よ どうしたんだい 時代よ
僕らが僕らを忘れてく 音楽をおわらせよう
地球を抱いて ぼくらの誰が 他の星の誰かと愛し合う そんな日が訪れる
そんな君のために 歌うよ 聴いてよ
形じゃない愛というものを 言葉じゃない愛という壁を 逃げるならこの今もいらない
♪他の星の…で空を指差してたのが印象的。失うぐらいなら最初っからいらない、という潔癖さは、とっても剛さんぽいなあ(しかも昔の!)と思うわけですが、 少年のような歌声でものすごくキッパリと歌いあげていたので、ますますその思いの無垢な美しさを感じました。 同時に「で、キミはどうしたいの?」と問われているような恐ろしさもあった。 碧瓦には、コスモスの咲く草原や、工場や街、夕焼けなど、ありふれた、しかし美しい日常の風景が広がっていて、 どこかの誰かのことじゃなくて、僕らのことなんだ、という想いにさせられたな。胸に迫るものがありましたね。
06.Paint it, fill it with love
そのままエレピを弾きながら。CDとは全っっ然違う曲になっている。いやこのライブで演奏した曲全部そうなんですけど、 一番変化度合が大きかったな。変化というか解釈が全然違う感じ。こっちの方がすごいイイ。
よりジャジーな感じなんですけど、演奏に迫力があったんだよねえ。剛さんのエレピ弾いてる様もなかなか黒かった。 ♪塗りつぶせ全て 雨で…、って変えて歌ってるところがありました。
07.NIPPON
今回はやっぱり「Grateful Rebrith」を中心にした構成になるんだろうなとは思ってましたが、ここでまさかの剛紫名義曲。すごい久々に聴いた気がします。
碧瓦には大きな月の映像。でもアレンジはやっぱり全然違う。
なんだろう、このキーボードの感じ、上手く言えないけどすっごくSWING-Oさんぽいなあと感じましたね。十川さんだったらすいません。
音数が少ない感じのアレンジのなかを剛さんの言葉が漂う感じで、ちょっとラップっぽくもあった。
途中のタケちゃんのソロとかかなり前衛的だったな。こんなプレイする人だっけ?と思ったぐらい。
剛さんはマイク持って歌ってたのかな。早くもうろ覚えですが。
この頃になるとかなり雨が降ってまいりまして、
演者はそのまま続行してますけど、スタッフが出てきて、楽器やスピーカーにビニールシートを被せ出したりしはじめました。
08.これまでの日を跨いできたのだから
歌の雰囲気としては「TU FUNK ALL STARS」の時と近いのかな。よりゆったりと。
ステージを左右にゆっくりと動きながら、時に真横を向いたりして、客にではなく、何かに話しかけるように歌っているさまが、とてもドラマティックでした。
この曲に入ったところで雨が本降りとなり、大きな雨粒が勢いよく落ちてきて。何となく間奏部分で客席がカッパを着出すという流れになりました。
最後には雨粒の中を沢山のシャボン玉が飛んでいくという、普通ではありえないトゥーマッチな演出になってましたが、
まあそんなありえない光景であるからこそ心が浮き立ちましたね。
09.SESSION
レーザー光線が雨にあたってすごいキラキラしてる。これは雨の日しか見れないんだよねえ。 いつもだったら雨の時には演者の上にテントが張られてるんですけど、今回はそういうのもないもんで、なんだかんだみんなずぶ濡れのままセッションへ。 ギターもってる剛さん含め、手持ち楽器の人はしきりに白いタオルで楽器をふきふき演奏してました。
ここからはセッションタイムです。SWING-Oさんがボコーダーで演奏してたときに、rain,rain,dancing in the rain…とか歌ってたな。 そしてスティーヴはまさに雨を見方にしたソロという感じがしました。シンバルやドラムを叩くたびに上がる水しぶきが演出としか思えないぐらいの完成度でしたね。 最後はDUTTCHのソロから剛さんのギターソロになりましたが、ここでステージ中央にあったリフターが、剛さんを載せてどんどんせり上がっていきます。 目測5mぐらいかな?これまで平安神宮ではステージを平面的にしか使ったことがなかったと思いますので、この演出はかなりのサプライズで、客は大盛り上がり。 ハンズアップして煽ったよね。剛さんは最後まで上でギターを弾ききりました。これにて本編終了。
びっちゃびっちゃなのに誰もきてくれへんやん。もー。
※スタッフが他のタオルとか持ってきてくれなかったからぶーたれてた模様。
明日、楽器の音鳴るかな。解体してすぐ乾かさなきゃいけませんね。
管楽器の人は全然かまへんみたいな感じですけど。
※かわ島さんだけ全力で否定してた。
竜神さんも一緒にセッションした感じでよかったと思います。
いろんなことが起こっている世の中ですが。
それをみて感じた怒りを、怒りを通り越した悲しみ、悲しみを通り越した涙にして、
生きていることにたどりつくような涙をテーマに考えました。
そしたら空が泣いているというね。こんなに泣かなくてもっていう。
皆さんも僕らがめちゃめちゃいい感じで演奏しているときに、ガサゴソってね。
一瞬さびしかったですけど(笑)。
僕らに許された鼓動の数は人それぞれです。少しでも楽しい時間を自分で作ってください。
自分が変わることで、周りは変わらないけれども、景色は変わって見えます。
これは、僕がこの事務所に入って出会ったいろんな方々から学んだ大きな宝物です。
この宝物を惜しみなくあげますから、皆さんもその宝物を手にして、自分らしく日々を過ごして下さい。
MCの途中で皆で合同参拝。カッパのフードはマストで脱ぎましょう(笑)。一人っきりになったはけ際、
「みんな気をつけてね」「おやすみなさい」「どうも」って、グダグダっとしてしまい自分で苦笑しながらはけてった姿がかわいかったです。
まあいつでもかわいいのですが!
平安神宮ライブは、ビジョンもないのでどうしても席によって印象が全く変わってきてしまうのですが、
「Believe in intuatio…」をはじめ、まさに野外の平安神宮でなければ、あんなふうにあの演奏を感じることはできなかっただろうな、
と思った曲がいくつもあった。それだけで足を運んだ甲斐はあった。プラス雨で、より楽しめました。雨降るとなんというか、場が和む。緊張感が解けて、より楽しい。こんなことも平安神宮さんに通ううちに教えてもらいました。
あと、平安さんでのライブは神に捧げるものかなって勝手に思ってたけど、敢えて言挙げする場かなって思えてきた。いずれにせよ観客はその場に居合わせた目撃者。今回は煌びやかな音の中に、シンプルなメッセージを感じたなあ。なんか痛快と言うか、スリリングだったんだよねえ。
Gt. 竹内朋康、佐藤タイジ
Bs. 森多聞
Dr. DUTTCH
Key. 十川ともじ、SWING-O
Tp. 溝田喬士
Tb. SASUKE
Sax. かわ島崇文
Cho. 平岡恵子、TIGER、OLIVIA BURRELL
Per. スティーヴ エトウ
Dancer TAMA&HACHI
Vo.&Gt.&Bs.&Key. 堂本剛
以 上
堂本剛
平安神宮公演 2016
@平安神宮, 2016.08.26
