増富ラジウム温泉 不老閣

温泉名ますとみらじうむおんせん
増富ラジウム温泉
施設名ふろうかく
不老閣
所在地やまなしけんほくとしすたまちょうおび
山梨県北杜市須玉町小尾6672
場所概略中央自動車道の須玉ICより増富ラジウムラインを経由して、県道23号線(韮崎増富線)に入る。そのままひたすら直進すると、左側にある。
駐車場専用駐車場あり。30台くらい停められる。無料。
営業時間9:00〜15:00?
料金\800
風呂数混浴露天風呂1、男女別内風呂各2
脱衣所男女共用1、男女別各1
泉質放射能泉
湯色赤茶色
問合せ先0551-45-0311
入湯日2001/12/23
感想岩風呂は冬季中だったので閉鎖されていた。残念。でも、内風呂のほうは入り湯とラジウム泉があり、入り湯はちょうどよい温度で、ラジウム泉はぬるいというよりむしろ冷たいと感じる温度だった。入り湯とラジウム泉を交互に入るといいらしい。ラジウム泉は15分くらい入っていると、少しずつだがほてってくる感じがする。お湯は飲湯できる。飲んでみると、鉄分の味がするとともに、サイダーのように口の中で炭酸ガスがはじけていた。今度は岩風呂に入りたい。
評価5

 増富ラジウム温泉は山梨県北部にあります。
 増富ラジウム温泉に行くには、中央自動車道の須玉ICより増富ラジウムラインを経由して、県道23号線(韮崎増富線)へと向かいます。あとはひたすらまっすぐに行きます。ずっとまっすぐ行くと、湯橋という小さな橋がかかっています。それを渡ったすぐ左側に増富ラジウム温泉 不老閣はあります。
 私たちが行ったときは、雪が積もっていました。でも、雪の中でも不老閣は立派にたたずんでいました。
 不老閣には館内に男女別の内風呂があります。そして外に湯小屋があって、そこに内風呂があるそうです。その湯小屋に有名な天然岩風呂があります。しかし、その湯小屋は基本的には宿泊客のみの利用になっているみたいです。また、雪などが積もっている時期だと、危険なため閉鎖されてしまうそうです。実際、私たちが行ったときには看板が立っていて、湯小屋への山道は閉鎖されていました。ということは、天然岩風呂に入るためには宿泊客として、なおかつ雪が積もらない時期に来なければならなかったのです! しかし、私たちは大した準備もせずに雪が積もっている時期に行ってしまいました。そして、天然岩風呂に入れないことを知ったのです! これにはかなりショックでした。天然岩風呂に入るために来たのに、と思いつつ、下調べをせずに来てしまった私たちって、一体・・・。(T_T)
 そんな衝動にもめげずに、せめて館内の内風呂に入ろうと意を決し、不老閣の中へと進入しました。
 館内の内風呂は男女別で、それぞれに2つの浴槽があります。1つは「入り湯」、もう1つが「ラジウム湯」です。入り湯というのは普通の水を加熱したお風呂です。そして、ラジウム湯が源泉のお風呂です。入るときに受付の方に言われたのですが、入り湯とラジウム湯を交互に入るといいそうです。私はそのとおりに、最初にラジウム湯から入りました。ラジウム湯のお湯はかなり冷たいと感じました。冬だからというわけではなく、夏でも冷たいと感じる人のほうが多いと思うほど、冷たかったです。しかし、15分くらい経てば体が温かくなると受付の方に言われたので、じっと入っていました。すると、確かに体がほてってきました。ポカポカと温かくなってくるというほどではありませんでしたが、じわ〜っとした温かさが体を駆け巡るような感じでした。これがラジウムの効果か!と感激してしまいました。
 源泉は飲泉もできます。源泉を飲んだところ、鉄分が多く含まれている味とともに、炭酸ガスが口の中で踊っていました。う〜ん、すばらしい源泉です。これがガンにも効くといわれる源泉かあ、と感激してしまいました。また、アトピー性皮膚炎にも効くと言われています。アトピー性皮膚炎の方はぜひ行ってみて下さい。

 増富ラジウム温泉の泉質は放射能泉です。放射能というのは、物質から自発的に放射線が放出される性質をいいます。また、放射線とは、電離性のある高いエネルギーを持った電磁波や粒子線のことをいいます。つまり放射能泉とは、お湯から自発的に電離性のある高いエネルギーを持った電磁波や粒子線が出ている温泉の泉質を指します。
 増富ラジウム温泉というくらいですから、ラジウムが放射能を出しているということがわかります。そのラジウムというのは、フランスのキュリー夫妻がウラン鉱石から発見した最初の放射性元素です。元素記号はRa、原子番号は88です。白色の固体金属です。そのラジウムが水を通過すると、放射性を持つラドン、トロンというガス体(気体元素)が発生します。ちなみに、ラドンは別名、「ラジウム・エマナチオン」とも呼ばれています。これは、発見当時はラジウムから放出されるものという意味で、ラジウム・エマナチオンと呼ばれていましたが、現在ではそれを縮めてラドンと言われるようになりました。また、トロンはトリウムが崩壊したもので、化学的性質はラドンと同じです。これらの気体元素を含んだ温泉が放射能泉と呼ばれています。つまり、ウラン鉱石が崩壊して固体のラジウムへ、ラジウムやトリウムが崩壊して気体のラドンやトロンが放射されるわけです。その近くを水が通ることによって、水が温泉へと変わっていくのです。実に神秘的ですね。
 放射能泉はガス体の量の多さによって、ラジウム泉、ラドン泉、トロン泉などと呼ばれています。増富ラジウム温泉はラドン泉です。増富ラジウム温泉のパンフレットによると、ラドン(ラジウム・エマナチオン)が1リットル中に12,800マッヘあり、世界でも有数の量だそうです。ちなみに、マッヘ(mache、記号:M.E.)という単位はドイツで使用されている、ラドンの放射能を測る場合に用いられている単位です。これとは別に、放射能の単位でキューリー(curie、記号:Ci)という単位があります。これは、先ほど出たキューリー夫婦の名前をそのまま単位としたものです。1910年に定められました。キューリー夫婦がフランス人なので、フランスで主に使われている単位です。1キューリーとは、1gのラジウムと平衡にあるラドンの量を示しています。これは標準状態で0.66mm3のラドン量で、6.50×10-6gに相当します。また、1M.E.=3.64×10-10Ciになります。
 同じ尺度が国によって違った単位で表記されているのはあまり好ましくはありません。そこで国際単位(SI単位)というものが定められました。もちろん、放射能測定の単位も定められました。その単位がベクレル(becquerel、記号:Bq)です。ベクレルも人の名前がそのまま単位になったものです。ベクレルはキューリー夫人と同じフランス人で、物理学者です。ウランの放射能を発見し、放射能の強さはウランの絶対量に比例することを確かめた人です。1ベクレルとは、放射性核種の壊変数が1sにつき1018であるときの放射能または壊変率のことです。1M.E.=13.5Bq、そして1Ci=3.7×1010Bqになります。
 ということは、増富ラジウム温泉のラドン量は国際単位で表記すると、
12,800[M.E.]=4.6592×10-6[Ci]=172,800[Bq]
となります。
 物理の授業でもないのにこんなことやってしまいました。物理や数学が苦手な方は飛ばして読んでください。職業柄どうしてもSI単位に換算してしまう癖が出てしまいました。(-_-;)
 蛇足はこのくらいにして、放射能泉でラドン量世界一をうたっているところは日本でいろいろあります。島根県の三朝(みささ)温泉は683.3マッヘ/kg、同じく島根県の池田ラジウム鉱泉は6,640マッヘ/kgといわれています。でも、それらに比べても増富ラジウム温泉は12,800マッヘ/リットルという驚異的な数値を出しています。ということは、増富ラジウム温泉が世界一ということになるのでしょうか。でも、他の資料では増富ラジウム温泉のラドンは730マッヘ/kgと掲載されているものもあります。また、現在はラジウムの量が減っているかもしれません。そうなると、池田ラジウム温泉が世界一ということになるのですが、実際はどうなのでしょうか? 詳しいことをご存知の方は教えてください。
 ラジウム温泉に入ると、体内に入ったラジウムのガス気体が血液中で強力なイオン化作用を起こし、生理的代謝を促進させ、体内の停滞している老廃物を取り除く効果があるそうです。また、自律神経系統の復調に効果を示します。これらにより自然治癒能力が高まり、さまざまの病気に対して効力が発生するという大変すばらしい温泉です。

 今回は天然岩風呂に行けなかったので、天然岩風呂の報告は書くことができません。しかし、今度は天然岩風呂に入って、その報告をしたいです。

[追記]
 やませみさんからの書き込みがありました。以下は抜粋です。
 ガウスさんの調べたところによると、この測定値(12,800M.E.)は1939年(昭和14年)に出たもので、この源泉は現在は枯渇しているそうです。1994年の山梨県資料では、7源泉のうち療養泉のラドン基準(8.25M.E.)を満たすのは3カ所あり、それぞれ730M.E.、196M.E.、10.4M.E.となっています。
 ということは、増富ラジウム温泉のラドン量は730マッヘ/kgということになります。

 書き込みしていただいたやませみさん、そしてお調べいただいたガウスさんにこの場を借りて厚く御礼申し上げます。m(_ _)m

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