温泉名 | おおさわおんせん 大沢温泉 |
施設名 | さんすいかく 山水閣 |
所在地 | いわてけんはなまきしゆぐちあざおおさわ 岩手県花巻市湯口字大沢181 |
場所概略 | 東北自動車道の花巻南ICより県道12号線を西へ行く。そのまま直進していくと右側に見える。 |
駐車場 | 専用駐車場あり。50台くらい停められる。無料。 |
営業時間 | 7:00〜20:30 |
料金 | \400 |
風呂数 | 混浴露天風呂1、男女別半露天風呂各2、男女別内風呂各2 |
脱衣所 | 男女共用1、男女別3 |
泉質 | アルカリ性単純温泉 |
湯色 | 露天風呂:緑がかった透明、内風呂:無色透明 |
問合せ先 | 0198-24-2111 |
入湯日 | 2001/7/5 |
感想 | 日帰り入浴客は「豊沢の湯」、「薬師の湯」、「大沢の湯」、そして「南部の湯」と4つの風呂に入れる。他にも「山水の湯」と「貸切家族風呂」があるが宿泊客専用。どれもすばらしい。薬師の湯は常時浴槽からお湯があふれているほどぜいたくにお湯を出している。 |
評価 | 5 |
大沢温泉は、私が「一人旅 −北へ−」編で43番目に行った温泉です。そして、36番目に入った温泉です。
大沢温泉は岩手県の花巻市の山奥に位置しています。
大沢温泉に行くには、東北自動車道の花巻南ICより県道12号線を北西、豊沢湖方面へ向かいます。約8km、時間では約15分くらい車で行くと、右側に「ゆ」と大きく書かれた看板が見えます。大沢温泉に到着です。その看板の手前にあるのが山水閣の駐車場です。下の方にも駐車場があるのですが満車のときが多いので、道路沿いの駐車場に駐車することをお薦めします。ちょっと山奥にありますが、ICからも近いし、花巻空港からも近い場所にあるので交通の便はいいと思います。
ちなみに、看板の「ゆ」と大きく書かれた文字は、私の最も好きな詩人、相田みつをの作品だそうです。相田みつをはこの「ゆ」という文字を作るのに700枚以上の習作の末に書き上げて、大沢温泉に寄贈したそうです。「ゆ」という一文字にこれだけの情熱をかけるなんて、ますます私は相田みつをが好きになりました。(^o^)
大沢温泉は相田みつをのほかにも作家や詩人にゆかりのある温泉です。
作家であり詩人でもある宮沢賢治は大沢温泉によくきたそうです。宮沢賢治は少年のころから信仰心の厚い父、宮沢政次郎に連れられて、花巻仏教会の講習会場だった大沢温泉を訪れていたそうです。その当時の写真が山水閣に飾ってありました。その写真には少年期の宮沢賢治がちゃんと写っていました。また、花巻農学校の教師時代には生徒たちを連れて来ていたそうです。
彫刻家であり詩人でもある高村光太郎も大沢温泉にゆかりがあります。高村光太郎は1945年(昭和20年)の空襲で東京のアトリエを焼失してしまいました。そのときに宮沢賢治の父、宮沢政次郎の誘いを受けて花巻市に疎開しました。以後7年間、高村光太郎は花巻市で自炊生活を続けました。大沢温泉にも何度か行ったようで、「本当の温泉の味がする」と言って喜んだそうです。
私は宮沢賢治も高村光太郎も好きです。宮沢賢治の作品ではやっぱり『雨ニモマケズ』が好きですね。冷夏や厳冬に負けずに一所懸命に頑張っていた宮沢賢治が想像できるすばらしい詩だと思います。ちなみに、私は単行本の『銀河鉄道の夜』を持っています。この作品は、最初を読めばすぐわかるのですが、宮沢賢治の思想がそのまま作品になったものだと思います。
高村光太郎の作品も、私は持っています。『智恵子抄』を単行本で持っています。相田みつを以外の詩集では『智恵子抄』が一番好きです。『智恵子抄』の詩一つ一つを読んでいくごとに高村光太郎の智恵子に対する真摯な愛が私の心に切実に伝わってきました。この詩集の中で、特に私が気に入っているのが「レモン哀歌」です。この詩は本当にすばらしい! レモンからあふれ出る果汁と智恵子を対比することによって、生と死を表現しているところがものすごくすばらしいです。高村光太郎の文学的才能を感じ取ることができます。
文学的な話になって、ちょっと脱線してしまいました。詩人が出てきたので力が入ってしまいました。前置きが長くなって申し訳ありません。m(_ _)m このように、大沢温泉は詩人たちにゆかりがある場所なのです! さっそく山水閣の温泉について述べたいと思います。
山水閣は、別館として菊水館と自炊部があります。これら3つの旅館に浴場が点在しています。山水閣には「山水の湯」、「貸切家族風呂」、そして「豊沢の湯」があります。菊水館には「南部の湯」があります。そして、自炊部には「薬師の湯」と「大沢の湯」があります。これらのうち日帰り入浴客は豊沢の湯、薬師の湯、大沢の湯、そして南部の湯の4つのお風呂に入ることができます。山水の湯と貸切家族風呂は宿泊客専用です。
受付に行くと、日帰り入浴者である私に4つのお風呂に入ることができると説明してくれました。さらに、これらの浴場がどこにあるか絵で示しながら説明をしてくれました。丁寧に説明してくれたので好印象でした。
まず、私は受付から一番近い山水閣にある半露天風呂、豊沢の湯に行きました。豊沢の湯は建物の中にあるのですが、一方が開放されていました。その開放されたところには豊沢川が流れていました。豊沢川を見ることができるから、豊沢の湯と名付けられたのかな。川のせせらぎを聞きながら浴槽に入ることができてよかったです。ちなみに、強風だと開放部がガラスで覆われてしまうみたいです。強風ではない日に入ることができてよかったです。
次に、自炊部に行って薬師の湯に入りました。薬師の湯には2つの内風呂がありました。四角い浴槽と丸い浴槽がありました。まあ、普通の内風呂といった感じでした。
それから私は曲り橋を渡り、自炊部から菊水館へと移動しました。この曲り橋は文字通り木造の橋が途中で曲がっている橋です。少年期の宮沢賢治が写っている写真が飾ってありました。菊水館には南部の湯があります。南部の湯は木造風呂でした。比較的新しいのでしょうか、とてもきれいな浴場でした。木もまだ新しいといった感じでした。この南部の湯は浴槽からあふれ出るほどお湯が注がれていました。ぜいたくにお湯を使っているなあと思いました。南部の湯は浴槽の一方が開放されていて、ベランダみたいになっていました。思わずベランダに出て、豊沢川を見下ろしてしまいました。南部の湯は高い場所にあるので、眺めは豊沢の湯よりもいいと思います。開放された場所からは初夏の強い日差しが降り注がれていました。日差しに反射したお湯の美しいこと。私のお薦め浴場です。
最後に、混浴露天風呂である大沢の湯に行きました。大沢の湯はこれまた豊沢の湯と同じように川沿いにある浴場です。露天風呂なので、豊沢の湯よりも開放的です。脱衣所が男女共用なので、女性の人は入りづらいかもしれません。でも、開放的に間近で川のせせらぎを聞きながら入浴することができるので、リラックスできると思います。
4つ全てのお風呂に入った私の感想は、どれもすばらしい浴場で甲乙つけがたいです。しかし、木造なのに新しくて、湯量が多い南部の湯が一番気に入りました。皆さんはどの浴場が気に入るでしょうか? 大沢温泉はそんな感じでいろいろとお風呂に入ることができて、とても楽しめる場所だと思います。今度は宿泊して山水の湯や貸切家族風呂にも入りたいです。