アマガエル
 北海道、本州、四国、九州と佐渡島、隠岐、壱岐、対馬、大隈諸島などに分布する。
 体長3〜4cm。体色は黄緑色から灰色まで周囲の環境に応じて変化し、雲形の斑紋が生じることもある。アオガエル類とよく似ているためしばしば混同されるが、本種は鼻孔から鼓膜の後まで黒条があることから簡単に区別できる。繁殖期のオスはのどが黒ずむ。幼生(オタマジャクシ)は尾高が高く、左右の目が広く離れた顔つきをしているので他のオタマジャクシとの区別は比較的容易である。平地から高地までどこにでもふつうに生息し、低い木や草の上で生活している。林や草原のほか、公園の植え込み、民家の庭先など市街地でも見られる。
トノサマガエル
 トノサマガエルは、関東平野から仙台平野を除く本州と四国、九州に分布する。トウキョウダルマガエルは、本州の仙台平野、関東平野、新潟県中部・南部、長野県中部・北部に分布する。(両種とも北海道の一部に人為移入) 一部の地域を除いて両種の分布域は重ならない。両種の共通点の最も高い地域は新潟県の新発田で、遺伝子距離は0.133である。ここでは両種の雑種がしばしば目撃されている。約8万年前の富士山噴火後に日本に入ってきたのがトノサマガエルで、それ以前からいたのがダルマガエルといわれている。トウキョウダルマガエルはダルマガエルの亜種である。
 平地から低山地の水田や小川とその周辺の畦、草むらに生息する。トウキョウダルマガエルは繁殖期以外でもあまり水辺から離れないが、トノサマガエルはかなり水辺から離れることもある。[トノサマガエルは絶滅危惧U類:RDBニイガタ]
ヤマアカガエル
 ヤマアカガエルは、本州、四国、九州、佐渡島に分布する。ヤマアカガエルの体長は、オス4〜6cm、メス4〜8cm。体背面は褐色、赤褐色、暗褐色と変異がある。ふつう、のどと体側部に黒い斑点が散在する。背側線は鼓膜の後方で外側に大きくカーブしている。
 ニホンアカガエルとヤマアカガエルは、背側線のカーブの仕方で見分けることができる。両種の幼生もよく似ているが、多くの場合ニホンアカガエルの幼生は背面に一対の黒点があるのに対し、ヤマアカガエルの幼生にはないことから区別ができる。平地や丘陵地にも生息するが山地に多く、標高2,000m近い高地にまで達している。
ウシガエル
 北海道、本州、四国、九州のほか、徳之島、沖縄島、石垣島などの島嶼に分布する(すべて人為移入)。原産地は北アメリカ東部。成体の体長は約15〜18cmと大型で、日本に生息するカエルの中では最大である。背面の皮膚はサメ肌状で、目立ったイボや背中線、背側線はない。体色は、ふつう背面は緑褐色で、腹面は白色と黒色の斑紋がある。他のカエルに比べ鼓膜が大きく、目の直径の2倍近くもある。後肢は長く、ジャンプ力に優れている。幼生(オタマジャクシ)も大型で、成長すると全長12〜15cmに達する。平地性で、池や沼、水田、水路などの水辺に生息する。
ツチガエル
 本州、四国、九州、佐渡島、隠岐、壱岐、五島列島などに分布する。北海道西部、伊豆大島には人為移入。体長はオス約4cm、メス約5cmでメスの方が大きい。体背面は暗褐色で黒い斑紋が散在し、大小多数のイボ状隆起がある。とくに目立つ模様はないが、淡黄色の背中線のある個体もいる。腹面も顆粒状で黒斑があることが多い。西日本に分布するヌマガエルとよく似ているが、ヌマガエルの方がイボが少なく、腹面も白いことから区別できる。平地から低山地に生息し、流れのゆるやかな小川や、溝、水田、池沼などにすむ。繁殖期以外でも水辺を離れることはない。
シュレーゲルアオガエル
 本州、四国、九州、五島列島に分布する。
 体長は、オス3.5〜4cm、メス5〜6cm。腹面は白色、背面は緑色で、暗褐色から鮮やかな緑色にまで変化する。指先には吸盤があり、繁殖期のオスはのどが黒くなる。
 アマガエルやモリアオガエルとよく似ておりしばしば混同されるが、アマガエルは鼻から鼓膜にかけて黒条があること、目の虹彩はシュレーゲルアオガエルが黄色、モリアオガエルは赤色と色が異なることなどから、見分け方は比較的容易である。おもに平地から丘陵地の水田や湿地とその周辺の林や草地に生息する。

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