クサガメ
本州、四国、九州、佐渡島、隠岐、見島、対馬、壱岐、淡路島、五島列島などに分布する。一部は移入個体群。メスはオスより大きくなり、背甲長は最大でオス20cm、メス30cm前後である。甲羅の周縁にはほとんど鋸歯がなくなめらかで、背甲に3本の隆起があるが成熟個体では目立たなくなる。背甲の色は黒褐色で、各甲板の周縁が細く黄緑色に縁取りされている。頭部には、側面から頸部にかけて鮮明な黄色い筋模様がある。ただし、成熟した雄ではこれらの黄色い模様がまったく消失し、全体が黒化する個体が多い。 雑食性で魚や甲殻類、カエル、水草などを食べる。イシガメに比べ頭部が大きく、巻き貝や甲殻類など固いものを食べることに適している。基本的に昼行性で日光浴を好む。冬季は河川の岸辺の横穴や水の淀んだ池沼の深みなどの水中で冬眠する。メスは5月後半から7月に、畑や草地、畦、川沿いの土手の上などの比較的乾燥した場所に、後肢で穴を掘り産卵する。白い楕円形の卵を1回に4〜11個ほど産み、そのあと再び土を埋め戻す。産卵回数は年に1〜3回で、同じ場所を繰り返し利用する。孵化した幼体(子ガメ)は背甲長30mm前後で、ほとんどの個体が翌年の春まで産卵巣にとどまるが、その年の秋に出てくるものもいる。中流から下流の水の流れがゆるやかな河川や低地の湖沼、およびその周辺をおもな生息環境としている。灌漑期にはこのような水域の周辺の水田でも見られる。イシガメが山麓部の河川や池沼に生息するのに対し、クサガメは平地の河川や池沼に生息する傾向がある。カメ類は、寿命が長いので各地でよく見かけるように思われがちだが、繁殖して世代をくり返している産地は少ないようである。日本産のカメ類のほとんどは、生息環境の悪化により各地で個体数が減少している。カメ類は寿命が長く成体が何年も観察され続けるため、生息環境の悪化がなかなか確認されないことがある。したがって「生息する」というだけでは環境指標とならず、「常にさまざまなサイズの個体がいる=繁殖を繰り返している」ことではじめて良好な生息環境が保たれているといえることを認識しなければならない。
ヒメタニシ
本州から九州にかけての各地に分布する。殻高は30mm、殻径は23mmで殻は卵円すい形の小型の巻き貝で、殻の頂点は腐りやすく、殻の皮ははげたものが多い。色彩は緑褐色、平滑で光沢のあるものから螺旋状に殻が角張り、その線上に微毛の生じるものまで変異が大きい。蓋の色は赤褐色。マルタニシ、オオタニシに似るがより小型である。繁殖期は6〜8月頃で卵胎生。体内には20〜30個の仔貝を持つ。雌雄異体で片方の触角が巻いている方が雄。食性は雑食性で、底泥や植物などに付着する藻類など有機物を食べる。平野部の潟、沼、小川、水田の用水路などの浅いところに好んで生息する。やや流れのあるところから全くの止水まで生息し、やや汚れた水質でも生息できる。
アメリカザリガニ
1930年(昭和5年)にアメリカ東南部から移入された外来種で現在は本州、四国、九州に分布している。形態はエビに似ているが全身が太短く、赤褐色で殻も堅い。ハサミや脚はとれてしまっても再生し脱皮の度に大きくなる。第一触角の付け根に聴のうがある。産卵期は5〜11月で、雌は交尾後受精卵を腹部にある腹肢で1.6mmくらいの卵を100〜600個抱える。卵は約1ヶ月ほどで孵化し、二度の脱皮後に雌の体から離れて自由生活をする。食性は雑食性。都市近郊から田園地域の河川、池沼、水田、用水路などで普通に見られる。
シマヘビ
北海道、本州、四国、九州。島嶼では、国後、飛島、粟島、佐渡、隠岐、見島、壱岐。五島。御蔵島以北の伊豆諸島、大隈諸島などの諸島に分布する。全長80〜200cmで、メスよりオスの方が大きい。名前の通り、ふつうは黄褐色からオリーブ色の地色に4本の黒い縦縞が走っているが、色彩変異が多く、まれに縞が薄れたり全く欠く場合もある。また、全身が黒くなる黒化型や、一見アオダイショウに似る個体もいる。ただし、目の虹彩の色がシマヘビは赤く、アオダイショウの虹彩はオリーブがかった褐色をしているため識別が可能である。昼行性でおもに地表で活動する。行動はすばやく、積極的、活動的に餌を探しまわってさまざまな脊椎動物を捕食する。なかでもカエルを食べる割合が最も多く、次いでトカゲやカナヘビなどが多い。また、鳥や小型哺乳類、他のヘビを食べることもある。気性が荒く、興奮すると尾を激しくふって威嚇する。
4〜6月に交尾し、7〜8月頃に石や藁の下などに4〜16個の卵を産む。卵は40〜50日で孵化し、孵化直後の全長は約30cmである。冬季は地中で冬眠する。平地から低山に生息し、石垣や草むら、石積みの下などをすみかとする。林内より明るく開けた太陽の当たる環境を好み、堤、草原、農道、水田の畦などでよく見られる。
カワニナ
北海道南部、本州、四国、九州、沖縄の各地に分布する。殻は細長く先端がかけていることが多い。殻の形や色彩は環境によって変異が大きいが、一般的には若いときには淡褐色で成長に伴い、黒褐色になる。殻長は15〜30mmになる。殻の形などは変異が著しく大きく、今後研究が進めば、いくつかの種に分かれる可能性もある。産仔は5〜10月頃に行われる。雌雄異体の卵胎生で、年間で50〜100個の仔貝を産む。食性は環境によって異なるが、おもに泥の中の有機物や石の表面についている藻類、落ち葉などを食べる。時にはミミズ、ザリガニ、ドジョウなどの死肉を食べることもある。ゲンジボタルのエサになることで知られている。
シジミ
本州から九州の各地に分布する。殻はハマグリ型で、殻長は40mm、殻高35mm。殻皮は黒いが若いときには黄褐色で焼けこげ上の斑紋があり、殻の内側は濃い紫色であるところは、放射状のすじがあり、汽水域に生息するヤマトシジミと区別できる。アサリなどと同じく入出水管が発達する。繁殖の最盛期は5月下旬から8月中旬である。エサはおもに有機物などである。河川の中〜下流の砂底中に殻の縁を出すくらいで浅く潜ってすむ。イシガイ類とは異なり、あまり移動しないようである。