紫雲寺町のキアゲハ
 キアゲハ
 北海道,本州,四国,九州(種子島,屋久島をふくむ)。分布は北に偏り、北半球の寒冷地に棲む。平地から見られ山地にも多く高山帯でよく姿が見られる。そして一部は高山帯で発生を繰り返す。前翅長36〜70mm。本種は地色が黄色、前翅表基部が黒色。春型は小型で黄色が淡い。夏型の♀は♂よりずっと大きく、前翅表の基部にある黒色部が広がる。3〜4月から11月ごろまで、年3〜4回発生。寒冷地、とくに高標高地では7〜8月に春型が見られ、年1回の発生に終わることがある。蛹で越冬する。明るい開けた畑や草原に棲む。山の上にたくさんの♂が集まり、そこで占有行動をとる。♀が飛んでくると、すぐに交尾をする。飛ぶ力は強く、食草がまったくない場所にも姿を現す。♂は地上で吸水することが多い。時には群れをつくる。アザミ類、ヒャクニチソウ、ツツジ類などで吸蜜する。食草は、セリ科のニンジン、ミツバ、パセリなどの栽培植物、同科のシシウド、シラネニンジンなど多くの野生種を食べる。ごくまれに、ミカン科やキク科を食草している事がある。
サカハチチョウ
  北海道(利尻島・礼文島を含む)、本州、四国、九州に分布する。
前翅長20〜25mm。季節型が見られ、春型は翅長の地色が黒褐色、後翅の亜外縁と前翅に橙赤色斑があり、前・後翅にかけて黄白 色帯をもつ。裏面は赤褐色、黄色線が入りみだれた複雑なもようがある。夏型はイチモンジチョウ 類のように、前・後翅表に白帯をもつ。♀は♂より翅型が丸く、春型では赤色部が発達する。夏型 では白帯の幅が広い。ふつう年2回の発生。4〜5月に春型が現れ7〜8月に夏型が見られる。暖 地では9〜10月に第3回目が羽化する。寒冷地では7〜8月に春型だけが羽化する年もある。蛹で 越冬する。やや山地性、樹林の周辺に棲む。細かくはばたき、路上や草に翅を開いてとまる。ウツ ギ類、ヒヨドリバナなどで吸蜜し、地上でよく吸水する。汚物・動物の死体で吸汁することもある 。卵は食草の葉裏に、1個または数個積み重ねて産まれる。食草はイラクサ科のコアカソ、メヤブ マオ、エゾイラクサ、ホソバイラクサなどである。
[参考文献:検索入門 チョウ@〜A渡辺康之著 保育社]
 コミスジ
 北海道、本州、四国、九州(対馬・種子島・屋久島を含む)。
前翅長22〜30mm。地色は黒褐色、翅を開いてとまると3本の白色黄帯に見える。裏面の地色は茶褐色(チョコレート色)。♂は後翅長の前縁に、灰白色の性標がある。♀は♂よりやや大きい。年2〜3回の発生、4月末から羽化、9〜10月まで見られる。寒冷地では、年1回の場合もある。終齢(5齢)幼虫で冬を越す。低山地の林縁に棲み、市街地にもいる。滑空とはばたきを繰り返して林間を飛び、葉上に翅を開いてとまる。クリ、イタドリなどで吸蜜、獣糞・腐果で吸汁したり、地上で吸水する。食草はマメ科のクズ、フジ、ニセアカシアなどである。
 ゴマシジミ
 北海道(利尻島・礼文島・奥尻島をふくむ)、本州(東北地方北部、関東地方北部、中部地方、中国地方)、九州(中部)に分布する。前翅長14〜28mm。裏面は灰白色、褐色をおびるものがあり、小黒点が散布する。大きさには変異があって、高地や寒冷地では小型。翅長は外縁が黒褐色、内側が青色である。黒点の大きさ、数には個体差がある。♀は♂よりたいてい青色部がせまく、全体が黒褐色の個体も見られる。年1回の発生。7月中〜下旬より羽化、8月に多い。9月に羽化する場所もある。終齢(4齢)幼虫で越冬する。湿原、草原に棲む。植物相の還移によって姿を消したり、別の場所に移動する。食草の周辺をゆるやかに飛び、アザミ類やハギ類などで吸蜜する。♀はあまり遠くに移動しない。
4齢初期までは、バラ科のワレモコウ(本州、九州)、ナガボノシロワレモコウ(東北地方、北海道)、カライトソウ(本州高地)の花を食べる。体長4mmぐらい成長すると、食草を離れて歩き回る。そしてシワクシケアリに出合い、アリによってその巣に運ばれる。 アリの幼虫を少し食べて越冬に入る。翌年5月ごろより越冬からさめ、再びアリの幼虫・蛹を食べる。体色は最初、赤紫色であったものが次第に白色をおび、老熟すると乳白色になる。アリの巣の出口付近、もしくはアリの巣から出て地表で蛹になる。蛹殻から脱出して翅がのびるまで、7分とかからない。