がんばれ元気
WBC世界フェザー級挑戦 VS海道卓
WBC世界フェザー級のタイトルを海外から持ち帰った海道は、初防衛戦の相手に元気を指名してきた。
これを元気が受けたことにより、海道vs元気の再戦が実現した。
元気が夢見てきた世界タイトルへ初めての挑戦である。しかし海道は中南米での激戦で深くダメージを受け、
パンチドランカーとなっていた。そこまでなるほど海道をボクシングにはまらせたのは元気が原因である。
この堀口戦を最後の試合と心に決めた海道は、海道グループの力で地元高知に海道記念体育館を設立させた。
この会場でかつて苦杯をなめた元気を叩きのめし、最後の炎を燃やすつもりでいた。元気がプロになってから
指導してきた永野ジムのトレーナーは海道のドランカー症状に気を病んで、元気の元を離れた。海道の天才と
海外転戦によるキャリアと実績は大きく元気の実力を上回り、絶対に勝てない状態にあった。
そして試合の日がやってきた。元気は控え室で、廻りが見えないほど緊張していた。そして昔、父が良く
口ずさんでいた歌を思い出そうとするが、良く思い出せない。時間が来て元気はリングを入場しようとして
リングの上で脱ぐはずのガウンを脱いで、走ってリングに入場。そして海道も悠然とリングに入場した。
1年前、二人は全日本新人王で激突し、元気必殺のアッパーストレーと一発で海道はリングに沈んでいる。
そのとき以来の再戦で今度は世界タイトルマッチだ。両者、この思いを胸に開始早々パンチを繰り出す。
海道のパンチは強烈だった。元気はかすったパンチの威力に恐れを成し、腰が引け始めた。そして強力な海道の
右ストレートを顔面にまともに受けた元気は一発でダウン。何とかカウント4で立ち上がったが実力差は歴然で
第1ラウンド終了間際にも左を受けてぐらついた。
第2ラウンドからは海道のパンチを警戒するあまり元気は防御に徹して逃げ回る。無意味なラウンドを重ねた
元気は「打ち合います。次のラウンドから勝負に出ます。こんな戦いじゃ海動さんに申し訳ない」とセコンドに
行った元気は6ラウンドに勝負に出る。しかしすぐに海道の強打に捕まってダウン。立ち上がって相打ち勝負
に挑むがダメージは明らかに元気の方にある。元気はそれでも足を止めて打ち合いに持ち込むが、海道の破壊的
なパンチにラウンドを失うばかりだった。
第9ラウンドが始まろうとしたとき、試合前にどうしても思い出せなかった父が口ずさんでいた歌を思い出した。
「うん。思い出した。赤い靴だ」
元気は赤い靴を歌いながら海道と打ち合う。壮絶な打ち合いだ。元気はダウンしても立ち上がり必死に食い下がる。
そして元気のパンチが強烈に海道の顔面を捕らえた。これに怒った海道は猛烈な連打を元気に浴びせる。メッタ打ちされた
元気はロープダウンを取られ、リングに崩れ落ちる。必死に立ち上がるが猛反撃の力は残っていなかった。
顔面を血みどろにして海道の猛打の嵐にさらされ、たまりかねたレフリーはストップを命じた。しかし海道の
攻撃は止まらない。レフリーを突き飛ばし、立っているだけで何もできない元気を滅多打ち。再びレフリーが
二人の中を割ってはいるが、またも突き飛ばし、海道は狂ったように元気を滅多打ち。
一方的に打ち続ける海道だったが、何故か動きか止まる。そのままズルズルと倒れ込み、身動きしない。元気は
顔面を血みどろにして立っている。レフリーは慌てて海道にカウントする。「ワン、ツゥー・・・」海道は
まるで身動きできず動かない。そのまま10カウント。そして元気の勝利の手が上がった。海道は試合前の
パンチドランカー症状による脳障害に元気の強打を受けたための自滅だった。海道の力は既に尽きていたのだ。
元気はそのまま意識を失い、ベルトも賞状も受け取らずにリングを下りた。元気はWBC世界フェザー級チャンピオン
となってリングを担架で運ばれて行くのだ。
数日後、意識を回復した元気の前に小学校時代からの恩師、芦川先生が現れた。そしてその後に関拳児が現れたのである。
関が見舞いに来たことに喜ぶ元気ではあったが、関と芦川先生が呆然と顔を見合わせている姿に不思議な気持ちでいた。
「私、ちょっと出ているわね・・・・・」
席を外した芦川先生の事を関にたずねた。
「知ってらっしゃるんですか?芦川先生を・・・」
関は戸惑いながら答える「ああ・・」
元気は芦川先生が小学校の先生だったことを説明し、三島栄司と戦った頃に関と芦川先生が知り合いだったことを知る。
「三島さん、死にました。僕は三島さんにボクシングを教えていただきました」
関は三島が既に死んでいたことを知った。元気は知らないが、昔、関と三島栄司が芦川先生をかけて戦った因縁があるのだ。
元気の見舞いを終えた関は芦川先生の前に現れた。
「二人(三島と)で幸せに暮らしているものだと思っていた。そのことが俺を意地にまで、この世界にしがみつかせた。
片時も貴方のことを忘れたことはなかった・・・」
関は未だに芦川先生を愛し続けていた。三島が元気にボクシングを教えられ、芦川先生が元気の教師だったことは
何という不思議な巡り合わせであろう。そして関は数日後、一階級上から下りてくる前ジュニアライト級王者アルバス・レイデュラン
の挑戦を受けることになっている。元気はテレビ解説のゲストで呼ばれ、お互いに試合のチケットを芦川先生に送った。
関、元気が招いたはずの席に芦川先生は現れなかった・・・・。そして関vsレイデュランのWBA世界フェザー級
タイトルマッチが開始されるのである・・・。
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