がんばれ元気

男の約束




 WBA世界フェザー級チャンピオン、関拳児は31歳となった今も無敵を誇り、世界王座に就いてから12 年間無敗を誇っていた。この関が打たれたり、顔を腫らしたりする事はこれまでになかった。唯一、元気の父 シャーク堀口との試合を除いてでは有るが・・・。
 そんな関に挑戦状をたたきつけたのは、一階級上の前チャンピオン、アルバス・レイデュランだった。この かつて無い強敵を前に、関の心は沈んでいた。招待したはずのリングサイド席に愛する芦川先生が現れないのだ。 それもそのはず、この日にゲスト解説で呼ばれている元気が別のリングサイド席のチケットを芦川先生に渡していたからだ。 芦川先生は二人の招待に戸惑い、どちらの席に行くべきか悩み、会場に来れなかったのだ。
 試合開始からパンチこそ受けないが、関は気力を失い防戦一方が続いた。自コーナーに帰ってきては芦川先生 を招待した席を気にしていた。無気力な関はズルズルとラウンドを費やし、10ラウンドを越えても状況は変わらず 仮に判定まで行っても勝てる状態ではなかった。元気の心も揺れていた。思いも寄らぬ、関の防戦一方の展開に、唖然とし、 たまりかねてコーナーに戻った関に近寄る。
「関さん!KOして下さい!お願いします!!」
その声で、関はコーナー下にやってきた元気に目をやると元気は関に向かって叫んだ。
「関さん!!僕はプロテストの約束通り全部KOで登って来ました。関さんもすべてKOで勝ち続けて下さい!! 僕は無敵のままの関さんと戦いたいのです!!・・・・。お願いします!!」
会場は元気の言葉に静まり返った。そして関は元気に言葉を返した。
「よし!!このラウンド1分30秒でノックアウトする」
KO宣言を発した関はグロープを元気突き出して
「そして、この次の相手は堀口・・・お前だ!!」
そして元気は関の言葉に・・力強く答えた。
「はい!!・・・・」
元気との対決宣言に会場は割れんばかりの大歓声となった。ここにWBA、WBC両チャンピオンの統一戦が約束された。
元気との約束通り11ラウンド開始から、関はコーナーを飛び出してレイデュランに攻勢を仕掛ける。強引すぎる関の 攻撃はレイデュランの強打と相打ちになった。そして強烈な左の返しを受けた関はたまらず膝をキャンバスに落とした。
 何と関がプロ入り初めてのダウン!。そして右瞼を切るという最悪の展開に元気は声が出ない。5歳の時から目標として 追い続けた関が絶体絶命のピンチである。更にノックアウトを予告した1分30秒を過ぎ、苦しい展開になった関は 立ち上がって、何が何でも倒すと執念の反撃に出る。レイデュランをコーナーに追いつめ、必死の攻撃。相打ち覚悟の強引な関の 攻撃にレイデュランは関の強打を浴びてキャンバスに沈む。
 ノックアウトタイム1分55秒。予告より少しズレたが見事、元気の思いに答えたのだ。
そして元気が夢見た関との対決が実現するのである。

 
関との決戦前夜に続く

拳キチ伝言板

 
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