畑山の世界挑戦

 飽食の時代、近代分明の何でもそろう日本に無いものがある。世界チャンピオンのベルトだ。
 私がボクシングファンになってから日本に世界王者がいなくなったことが4度有る。昭和56年5月
に大熊正二が王座を転落したとき、これは半年後、三原正が王座を獲得したことでストップされる。
2度目は昭和61年3月、渡辺二郎が王座を明け渡したとき。これは4ヶ月後、戦慄の初回KOで浜
田剛史がストップ。3度目は昭和63年に井岡が王座を終われたとき。このころの日本は最悪の状態で
挑戦者が21連敗という不名誉な記録を作ってしまった。ようやく王座不在にストップをかけたのは1
年3ヶ月後の大橋秀行の王座獲得の時である。4度目は平成3年6月畑中清詞が敗れたとき。これは3
ヶ月後に辰吉丈一郎がストップし、それ以後は日本に世界王者が耐えることがなかった。
 現在、勇利アルバチャコフが王座を保持しているが、日本人のボクサーではない。日本人世界王者と
言うなら5度目の王座不在時代である。
 この不在時代をストップさせるのに一番近い位置にいるのが、畑山隆則だ。10月5日、両国国技館
で崔龍洙のもつWBA世界Jライト級王座に挑む。このタイトルは昭和56年4月に上原康恒がサムエ
ル・セラノに王座を持ち去られて以来、日本には無縁のタイトルだ。
 果たして畑山は崔に勝てるだろうか?崔は決して一流の世界王者ではないが、最後まであきらめを知
らない不気味な底力を持った選手だ。これまで三谷大和、松本好二ら日本選手の挑戦を退けている。
 三谷の世界挑戦1戦目、そして前回の松本戦で分かるように崔は以外にも接近戦に手こずる。逆に三
谷の2度目の挑戦の時のような動く戦手に強い。崔はどちらかというと中間距離戦を得意とするボクサ
ーだと思う。畑山がアウトボクシングに徹するようだと崔の馬力がものをいいそうだ。崔が至近距離戦
を必ずしも不得意だとも言い切れない。接近戦はうまくないがねばり強い攻撃を見せる。畑山としては
接近戦から離れてからの打撃も必要だろう。
 接近戦が今回の試合の行方を左右しそうだ。崔に接近戦で打ち負けるようだと苦しい戦いとなるだろ

予想はKOなら中盤まで畑山。後半のKOなら崔。判定にもつれ込むならきわどい試合になると思う。
いずれにしても王座不在時代にストップをかけるのは畑山隆則だと信じたい・・・。期待したい
 拳キチより    (9月29日作成。)
 


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