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30分弱で4人が泳げた
バタフライの
指導法

小林正樹(TOSS山形)

以下の条件でバタフライを指導した。(平成21年7月31日)

1 4年生4人・・・4人とも、50M自由形を泳げる。夏休み中の泳げない子の指導「かっぱ教室」に参加し3日目。その最初の二日間で泳ぎ切っている。

2 私は出張があり、3日目のみの指導に参加。すでに合格している子たちにバタフライを指導した。
3 一つのコースだけを使い、時間は30分弱だった。


動機付け じゃあ、バタフライ、やってみようか。これができると、校内水泳大会で泳ぐとかっこいいよ。来年の町の水泳大会でも、出場選手は少ないから、入賞できるかもよ。

軽く目標を持たせ、練習をスタートさせた。


指示1(キック:コースロープにつかまって)先生、やってみるから見ててね。・・・・・・水中で今のようにキックします。両足をそろえるだけです。やってみましょう。

細かいことは言わず、やって見せ、両足を揃えることだけを伝えた。
数回させた後、すぐに一人ずつテスト。「合格!」「合格!」と、言いながらテストを続けた。
一人の子を見本に、「こんな感じで、おしりがモコモコってなるといいよ。もう一度、練習しよう。」と伝え、さらにほめながら練習をさせた。上下に、おしりが水面から出る、沈むが、はっきりわかるようにキックするのが、ポイントの一つ。


指示2(4回キックで立つ。)4回、バタンバタン、バタンバタンと泳いだら立ちます。ゆっくりだよ。見ててね。・・・・・・さあ、やってみましょう。

腕はまっすぐにそろえたまま。同じように、やって見せて、練習させた。
ポイントは、4回で必ず立たせること。苦しませないこと。
これまた、テストで合格させる。


指示3(キックのみで25メートル×2)今のバタフライのキックだけで、向こうまで行ってみよう。4回で立っていいよ。続けたい人は、もう少し長くバタンバタンってやってもいいからね。バタンバタンは、ゆっくりだよ。

バタフライのキックだけで泳がせた。初めての経験ながら、楽しんでいる様子だった。
折り返しの時には、「手の先の方向を底の方に向けると、水中の下の方を泳げるから、試してみて。」とアドバイスした。楽しんで、バタフライのキックのみで進めるようになっていた。


指示4(バタフライの腕)次は、腕の動かし方です。(立ったまま、腕をまっすぐに伸ばし、膝をバタンバタンに合わせて曲げながら)バタンバタン、2回目のバタンの時だけ回します。先生に合わせてやってみましょう。 

膝を曲げる(キックをしているイメージ)、2回目だけ回す、これがポイント。「鍵穴のような形」「ハートの形」などとも言われるが、「回す」とだけ言う。正確な腕のかきは、リズム良く泳げるようになってからの指導で十分修正できる。
これも、「合格!」「合格!」と言いながら、自信を付けさせていく。


指示5(バタンバタンで立つ:呼吸)泳いで見ましょう。バタンバタンで、立ちます。

ここまでのテスト。1回で全員合格。


指示6(バタンバタン×2で立つ)今度は、バタンバタン、バタンバタンバタン、まで泳ぎます。必ず、立ちます。

1回、呼吸が入る。このリズムが難しい。これができないから、バタフライは難しいと感じてしまう。
またまたテスト。これまた全員合格。


指示7(挑戦)何回息継ぎができるか、やってみましょう。先生が前で何回って数えるから、泳いでね。

一人ひとりに目を合わせるつもりで、後ろ向きになって水流を作りながら歩き、指で示して数えていった。

一人目の子は、一番泳げそうな子を指名した。
待ってる子たちにも聞こえるように、大きな声、大きなジャスチャーで数を伝えた。6回目からは両手を上げて、伝えることになった。10回を越えると、半分を過ぎた。なんと、一人目で25Mを泳ぎ切った。遠くから待ってる子たちの拍手が聞こえた。
「やったね!」
「はあはあ、はあはあ。」・・・子どもはしゃべれない。苦しそうな、それでも笑顔。

スタートまで戻って、待ってた子たちに話す。
「○○君、17回の息継ぎで、25M泳げちゃったよ。何回、息継ぎができるか、だからね。じゃあ、次、行ってみようか。」
「何メートル泳げるか」という目標もいいのだろうが、あくまでも息継ぎの回数にこだわっていることを伝えた。

2人め、27回の息継ぎで泳ぎ切る。3人目も27回で泳ぎ切る。

4人目。今日、初めて50Mクロールを泳いだ男の子。ラスト5M、プールサイドから泳ぎ切った子たちの応援の声がとんできた。この子も、29回で泳ぎ切った。

終わりに みんな、たいしたもんだなあ。さすが、4年生だ。かっぱ教室に参加してよかったねえ。校内水泳大会、楽しみにしてるよ。

水泳には自信のなさそうな子が、
「バタフライで出てみようかな。」
と言ったのがうれしかった。

「一時に一事」で指導し、テストで合格させ続け、励まし続け、挑戦意欲を持たせながら指導すれば、バタフライで25M泳げるように指導できることを実感した30分間弱だった。


参照:45分間で12人が初めてバタフライ25Mを泳いだ指導法


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