「討論のある授業」の実際


国語:『わらぐつの中の神様』(6)

 
◇いよいよ最後の問題です。

この物語の主題は何か。
 
「“主題”とは、作者がこの物語を通して、読者であるみなさんに
最も伝えたかったことです。今までで最も難しい問題です。
 ‘わらぐつ’‘神様’‘登場人物の名前’な どの言葉は、使わないで考えましょう。
 『〜の〜』という形にしましょう。」
上のように話し、制限を加えました。
 『〜の〜』という制限だけで自学に書かせたら、
『心の中の神様』と書いて来た子が多かったからです。
『心の中の神様』では、わかったようで、わかりません。

 さて、授業は進みます。
 一つ書いたらノートを持ってこさせ、チェックを受けた後、
黒板にも書かせました。ネームもはらせました。
 数分後、全員分のネームが黒板上にありました。
難しい問題なのに、よくぞ考えられたものです。

@心のやさしさ(3人→話し合い後2人)
A物の大切さ(17人→話し合い後16人)
B心をこめることの大切さ
       (4人→話し合い後5人)
Cていねいさの大事さ
        (3人→話し合い後2人)
D一生けん命作った物の大切さ
       (1人→話し合い後3人)
 
 
 人数の少ない意見から、考えを発表させました。
 最も少なかったのは、DのMさんでした。全体の発表の後、
もう一度選ばせました。それが、→の後の人数です。
 この後、私の考えを話しました。
「これは、あくまでも先生の考えです。他の先生が選ぶと、
 また違う選び方をするかもしれません。」
と言ってから、説明しました。
「◎はBとD、○はC、△は@とAですね。」
 もうちょっと詳しく説明したのですが、微妙なニュアンスもあり、
ここには表現できません。子どもたちは、どの程度納得したでしょうか。

(Kさん)二つ質問したかったんだけど、「心のやさしさ」で、「心をこめて」と言ったけど、それはMさんたちが選んだ「心をこめることの大切さ」と同じだと思う。
 それと、ぼくが「一生けん命作った物の大切さ」にしたわけは、これは「心をこめて」などにつながっていて、その大切さをうったえているんだと思うから。
 
 他の意見までよく考えています。Kさんは、CからDに変わりました。
変わった理由も、きちんと書いていますね。

(Kさん)今まで、私はあまり物を大切にできなかった。なくしたり、こわしたりして・・・。でも、この勉強をして、大切にしなくてはと思った。私が、「これ!」と思ったのは、やっぱり、Rさんの「心をこめる事の大切さ」かな。
 やっぱり、心をこめて作った物には神様がいるかも!
 
 「自分の生活と関係づけて見る目」ができています。
こんな物語の読み方もありますね。
 
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