「・・・お前を崖につき落とした魔物を、不自然だとは思わないのか?」

いきなりクラトスの奴がそんな事を聞いてきた。
そりゃ気になるっての。
あんなどデカいモンスター、普段から堂々と道歩いてたらこっちが困る。
でも今はそんなことより、ありったけのTPで回復する方に専念したいんだよな。

「・・・誰かが操って俺さま達を殺そうとしたってことだろ?
 そんなん良くあることだし、いちいち気にしてらんないね。」
「・・・そうか。ならば余計なことは言うまい。」
「どーせまたアンタ達の、って言うかあのガキのお遊びなんだろ?」

それ以外に考えられることってあるか?
クラトスがんなこと聞いてくるって辺り、尚更な。

「・・・何故わかった?」
「・・・アンタ以外と抜けてるなぁ。」

そうやって大袈裟に溜め息ついてやったら、蛇見たいな目で睨まれた。
あー、怖い怖い。

「巻き込まれるこっちの身にもなって欲しいよなー。
 これじゃ、幾ら命あったって足りないっての。」
「・・・すまない。お前を巻き込むつもりでは無かったのだがな。」
「うぇー・・・アンタが素直に謝るなんて、天変地異でも怒るんじゃねぇ?」

「・・・少くとも普段からお前よりは何倍も素直だが?」

いちいちムカツク奴。
まぁ、俺さまが素直じゃないのは認めてやらないこともない。
素直になったって良いことなんてこれっぽっちもありゃしねぇんだから、
直そうなんておもっちゃいねぇけど。

それでも、ロイドくんみたいなのはちょっとだけ羨ましい。

・・・嘘。

かなり、羨ましい。
俺さまがあいつみたいになることなんて、有り得ないってわかってるから、余計にな。

「・・・外、雨降ってんの?」

「あぁ、大分激しい。・・・ここから出るのは、雨が治まった後にした方が良い。」
「・・・わかってる。」

わかってるけど、抑えられない気持ちって有るだろ?
俺さま、あいつらに忘れられない内に追い付かなきゃなんないんだよ。

・・・追い付き・・・「たい」・・・んだよ。

こんな洞窟の奥にも届く雨の音がもどかしい。
こんな時だって俺さまはロイドくんのこと考えてるんだぜ?
頭ん中一杯にあいつの顔が浮かぶんだ。

会いたい。

そんな気持ち、どうやって抑えろってんだよ。

「・・・無理はするなよ。」

うるせぇ。
人の心見透かすな。

でも、そんなとこもあいつに似てる。




ロイドくん。
もう、俺さまのことなんか忘れた?

なぁ。
寂しいよ、ロイド・・・。














近くで誰かの足音が聞こえた気がした。














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