現在の技術危機は予言されていた
次は毎日新聞昭和62年の記事のコピーです。御覧いただいて分かるとおり、
ほぼ現在の不況や技術に関する危惧が報告されていました。
ここには製造業の賃金コスト、円高(ちなみにこの年は1ドル140円でした。現在は
もっと厳しいことになる)高齢化、技術への対応の遅れ等により世界から取り残される
と報告されているが、まったく現状を表していると言える。
とかく新聞記事の内容はあてずっぽうの傾向があるが、この記事はズバリ当たった
と言えるのでないでしょうか。
この記事を大切にして自社の改善に励んだ会社は現在の危機を乗り切っているので
しょうか。
私は多くの資料をデータベースに捕っているのですが、今回このデータを見て、改めて
情報の大切さを感じました。
ちなみにこの報告は労働省からで平井労相が担当でした。
急進展する電子機器の現状
現在の技術のあり方は以前とは大きく異なっております。
一口に言えば、「技術のオープン化」です。
昔は自社の技術はしっかりと抱え込み、外部には出しませんでした。
現在は逆で、自社製品の情報はどんどんオープン化し、自社製品を
使ってくれる同士を増やすという方向にきております。
このためには、他社よりも一歩でも進んでいる技術を外部に提供していかねばなりません。
一例を次にお見せします。
この例は信号の変換器です。USB信号をRS232C信号に変換するもので、これからは
非常に需要が増えると判断しています。といいますのは、現在急速にRS232Cを備えた
パソコンの販売が激減し、変わりにUSBの端子が付いてきています。
しかし、実際にはまだまだRS232Cは使われており、特に制御の世界ではまだまだ使われて
いきます。そのためにUSB端子の付いたコンピュータで信号変換を行い、RS232Cの制御をし
なければならないからです。
信号変換を担当するものは、+5と書かれた文字の下にある銀色に光った長方形のパーツ
です。定価は1980円です。この変換器は完成品として市販もされておりますが、8000円前後
はします。ところが最も需要が見込まれるのが、組み込みマイコンの世界なのです。
制御用のマイコンにはこの機能が必須になっていきますから、需要は無限に拡がります。
ただ価格は数百円でなければなりません。そのためにはシュアを拡大し単価を下げる作戦が
必要なのです。
さて、このFTDI社のFT8U232/245Mシリーズは急速にシュアを伸ばしています。
その秘密はインターネットの活用にあります。
約100ページある回路、特性、使い方等に加えて、ライブラリソフト、ドライバソフトも全て
提供しているのです。私も組んでみましたが、ソフトのインストールもスムースで、すんなりと
動いてしまいました。
同様なことは海外製品のほとんどが行っています。
マイコンのPIC,開発ソフトのMPLAB,いやはや全て徹底して無料提供なのです。
このような行動を日本はとれるのでしょうか。やはり英語に関するハンディが存在する限りは
困難であると思われ、このままでは今後の日本製品の普及は難しいものと思われます。
とにかく言いたいことは、時代は大きく転換している。何とか遅れないように努力していかねば
ならないということです。
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