晴れ渡った空に強く輝く星の光
白く低く輝く月の光

足下明るく照らす月の光に、ふと夜道を歩く足が止まる
途切れた雲の間から月が顔を覗かせている
引き寄せられる様に空を見上げ
そっと、手を空に翳す
昼の太陽の光とは違って、弱い月の光は手の平を透かして見える程強くは無い
翳した手の中に簡単に隠れてしまう
当たり前の事が何故か哀しい
立ち止まったままの身体に、そっと風が吹く
肌を撫でる柔らかな風に、身体が震える
翳したままの手が降りる
もう一度、今度は強く風が辺りを吹き抜けた
そして、思い出したように虫が鳴き始める
辺りで聞こえる虫の声と
辺りを巡る風の温度に
戸惑い立ちつくす

繰り広げられるのは、予想する事の無かった光景
肌を撫でる風の冷たさ
闇に鳴く、秋の虫達の声
そして……
さえざえと輝く月の光

夏の夜の終わり
 

秋の始まり

 
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