お守り
―――CELES―――


 
「……あの?」
扉の外には一人の男が立っていた
初めて見るローブ姿の男に姿にセリスは困惑して声をかけた
「いくつかお売りしたいものがあるのですが、見てはいただけませんか?」
………え?
一瞬何を言われたか解らず、セリスは相手の顔をまじまじと覗き込んだ
「お手間は取らせませんから」
物売りが気弱に言う
「え…あっ」
まじまじと覗き込んでいた自分の姿を思いセリスが赤くなる
「あの、それで商品というのは」
セリスの言葉に彼は慌てふためきながら、少量の品物を取り出した

陶器の燭台、華やかに彩色されたランプ、ガラスの花瓶………
物売りの商品はそんな細々とした身の回りの品だった
どうしよう?
そう思ったセリスの目に、小さな銀色のナイフが飛び込んできた
「これは……これも売り物?」
自然に手が伸びてセリスはそれを手に取った
「ええ、もちろんです」
心なしか彼の声に気合がはいる
シンプルな銀色のナイフ、柄の部分に、飾り穴が一つ開いている
なんの変哲もないナイフを引き寄せられるようにセリスは見つめていた
「それなら、これを……」
セリスの言葉に男は嬉々として頷いた

テーブルの上に置かれたナイフにロックは目を留めた
「これは?」
声にセリスが振返る
「今日物売りの人が来て……」
なんで、買ってしまったのだろう?
改めて見てみればそれほど引かれるものでもない
「結構質が良いな」
納得したようにロックが笑った
 
 

 
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