勝負


 
大量に出てきた、古いカードを前にして
ゲームをしようと提案したのはラグナだった

ラグナは、目の前に置かれたカードをじっくりと睨み付ける
「ここにコレを置いたら……」
……この後返されそうだよな?
手持ちのカードと照らし合わせて、長い間ラグナは悩み続けた
ここでこうしててもしょうがねーよな?
意を決し、カードを一枚置く
なんとか、一枚カードが返った
……………どうする?
ラグナはそっとスコールの顔を伺い見る
小さなため息、そして躊躇うことなくカードを置く
「あっっ」
返したばかりのカードが置いたばかりのカードと共に返されていく
……また負けか?
一枚分のスペース、カードの枚数はスコールの方が圧倒的に多い
……どうしようもねーよな?
ここでどうにか1枚カードを返したとしても、まったく意味がない
ラグナは投げやりに、適当なカードを掴みスペースへ置いた
大きく伸びをして、ラグナは手札をテーブルの上に投げやる
「あーあー」
カードを見つめていたスコールがはじかれた様に顔を上げる
「こういうのは、やっぱりむかないみたいだな」
こう連敗すると、スコールが強いってだけで済ませられないよな
「悪かったな、つきあわせて」
やっぱりカードは誘われてもやらないようにするか
相手に気を遣わせるのも悪いしな
「……いや……」
いつも以上にそっけない返事が返ってくる
こういうのは、似たような実力の相手とやった方が面白いよな
スコールが不機嫌そうに、カードを置いた
「……次はもう少しを上げてから誘うから、な?」
不機嫌そうなスコールの様子に、とっさに言葉を口をつく
当分やるつもりはないけどさ……
「………………」
長い沈黙
やっぱり、二度とやりたくないってことか?
「…………その前にルールを覚えろ」
ラグナが口を開こうとした瞬間、怒った様にスコールが言った
やっぱりルールを覚えてないってのは拙かったか……
「……わかった……」
心当たりがあった為、ラグナは神妙に頷いた

人気のない室内に灯りが灯った
テーブルの上には、カードがそのまま残されている
「片づけもしないで、無くしても知らないからね」
エルオーネは、最後の勝負の後を覗き込んだ
「これが最後のカードかな?」
一枚だけ、乱雑に投げ出されたカードを拾い上げ
「……惨敗だっていってたけど、おじさん良い所までいってたみたいね」
エルオーネは、きちんとカードを置き直すと、ルールに従って周囲のカードを返した
「うん、これでよし」
すべてのルールを使用したって言ってたものね
「逆転負けか、残念だったね」
今から片づけたら遅くなるね……
片づけは明日する事にして、エルオーネは、戸締まりを確認すると、灯りを落とし部屋を出て行った
暗闇の中に、決着がつけられたカードがそのまま置かれた

真実が知らされるのは、きっと遠くない未来
 

END