合流


 
代わり映えのしない風景
見覚えのある町並みの中を歩いていた
ほんの少し色あせた建物が過ぎた時間を告げる
変わる事の無い店の店員の顔触れが違う
心の奥底を過ぎった気のする感傷
………ラグナ君なら大騒ぎだろうな
そして、誰よりも早く現状を受け入れる
口元に浮かぶ小さな笑み
知らず立ち止まっていた歩みを再び進める
「さて、どの辺に居る事か……」
楽しそうに言葉を呟き、キロスはデリングシティの雑踏へと踏み込んだ

ガルバディアガーデン
巨大な建物の内部の雰囲気に彼は眉を潜める
………いつか見た、ガルバディア軍そのものだな
彼の視線の先で、2人が教師らしい人物を捕まえ話をしている
横柄に頷き、教師が彼等2人を何処かへ―――恐らく学園長の元だろう―――導く
「オルロワさんは………」
後を着いていった筈の雷神が戻ってきた
「ここで待っている」
彼の言葉を遮り、オルロワは最低限の言葉を返す
「分かったもんよ」
遠くでせかす風神の元へと雷神は走り寄っていき、やがて彼等の姿が見えなくなる
「………さて……」
オルロワは邪魔にならない様、場所を譲る様に、さりげなさを装いながらその場を離れる
どちらの関係者でも無い事がばれたら一大事だからな……
風神、雷神の2人には、ガルバディアガーデンと関係がある様に見せかけ、こっちには、彼等と同じくバラムガーデンの関係者である様に見せかけた
目立たぬよう、物陰に身を寄せ、そっと盗聴器のスイッチを入れる
聞こえてくるのは、3種の足音
そして程なくして、扉を叩く音が聞こえた

「サイファー!」
階段を下った所で、間近から声が聞こえた
静寂に包まれた建物の中を走り寄ってくる2つの影
「お前等、何でここにいるんだ?」
彼等に答えるサイファーの声が少し嬉しげに聞こえる
「何してるって、伝令だもんよ、シド学園長から、新しい命令持ってきたもんよ」
「新しい命令だぁ?」
……だから、まだ解放されないって言ったのか
スコールは彼等の遣り取りに聞くとも無く耳を傾けていた
…………?
「誰?」
自分に向けられた視線を感じ顔を向けたスコールへと、小声で問いかけられる
「……ああ………」
何か言おうとしたゼルをセルフィーが押しとどめる
「状況の確認は良いけど、場所を移さない?」
周囲を指し示し、キスティスがサイファーへとそっと提案する
気が付けば辺りにいる学生達が、無関心を装いながら、興味津々という感じで、こちらの様子を伺っていた
見知った人影を見た気がして、スコールは視線を戻す
困ったような顔をして、一人の男が手を上げるのが見えた
 

 To be continued
 
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